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「私の言葉は予言ではなく、予想なのだ。」


ヒイラギは全身に力を込めているように硬直していた。

ミコトは残り少ない酒つぼの中身を注ぎながら無言で聞いていた。


「何百年にも渡り張り巡らした根は沢山の情報を土を通してもたらす。この里のどの地盤でどんな事が起きているか・・・私には手にとるように解る。何百年も生きている私にとって原因が発生すれば結果がいつ現れるか察することはそんなに難しいことではない。」


ヒイラギは鼻息で大きくため息をついた


「だがそれも、私の本体である、このひいらぎの根が行き渡る土地に限られる。 里の者は皆、昔から私に頼りすぎて危機管理というものが皆無だ・・・こんな小さな里だ。争いに巻き込まれたら、あっという間に全滅だ・・・・・」


ヒイラギはミコトの前に座りなおし、目をじっと見つめた。


「ミコトよ。お前もまた悠久の時の中で沢山のことを見聞きし知識を蓄えているのだろう? 教えてはくれぬか?」


柊の大木が風もないのに揺れた。


「本体の木を切る以外に精霊わたしを消す方法を・・・・」


ミコトは空になった酒つぼを地面に置きほっぺたをかいた。


「私さえ居なくなれば 里のものは自らの力で里を守るようになるだろう。 本体である「柊」はすでにこの辺りに親密に根を張り他の生き物たちを見守る”主”のような存在になっている。

里のもののためだけに、この大木を切るわけにはいかないのだ・・・」


ヒイラギの懇願にミコトは面倒くさそうな顔しながら、両目を力いっぱいつぶり、そして、ぐい飲みを地面に置いた。

そして片目をパチっと開いた。


「結論から言うと知りません。 精霊は本体の精神そのもの・・・本来自分で姿を現したり消したり出来るはず・・・だがそれが出来ないと言われても他の生物には手の出しようがない。」


ヒイラギは一瞬固まった・・・がすぐに下を向き提灯の明かりに目をやった。


「・・・・そうか・・・・」


柊の大木の前にある田畑のあたりから水溜りに蛙が飛び込んだような音が聞こえた。


「が・・・人の前から姿を消すのなら、他に方法はあります」


そに言葉に弾かれたように ヒイラギは再びミコトを凝視した。

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