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ヒイラギの予言

その里は深い森と高い山、崖に囲まれていた。

きっと周囲の近い村でも、この里を知らぬのではないかと思われる。

だがその里には、田畑がたくさんあり、実りも多いようだ。


里の北側に大きな木がある。葉はトゲトゲとして痛そうだ。

その奥に寺のようなこの里にしては大きな建物が建っていた。

そこに、たくさんの大人が集まり拝むように、一人の娘を囲みひざむいていた。


「春に西の山で蝮の子が大量に生まれた。 2,3人噛まれるかもしれない・・・それから来年は旱魃かんばつが来る。今年の内に食料を少しでも蓄えておきなさい」


中央の娘がそう言うと大人たちは一斉に深々と頭を下げた


「ありがとうございます。ヒイラギ様。 おおせの通りに・・・」


大人の一人が代表して娘に声をかける。娘はどうやらヒイラギと言うらしい。

すると大人たちは各々立ち上がり、建物を出ていく。


「いやぁ・・・ヒイラギ様の”予言”は本当によく当たるのぉ」

「はっはっはっ ヒイラギ様あっての里じゃ」

「ヒイラギ様さえいれば、この里は安泰じゃ」


里の大人たちが笑顔で去っていく。

そんな大人たちの後姿をちらっと見てヒイラギは唇を閉め不安そうな顔をした。


「ヒイラギ様・・・・ ヒイラギ様・・・・」


ヒイラギがふと気づくと建物の壁の下部にある空気を入れ替えるようにある引き戸から子供達が数人顔を出していた。


「お仕事・・・終わった? 」


一人の子供が二カット笑いながら言った。



カーゴーメー カーゴーメー・・・・

トゲトゲの葉を持つ大きな古木の元で子供たちとヒイラギは遊んでいた。


「後ろの正面だーあーれ!」


ヒイラギを囲んだ子供達が一斉に黙る。


「イナ」

「えー当たり~ ヒイラギ様 絶対当たっちゃうんだもーん なんかつまんなーい」

「仕方なかろう、解るのだから」


その時だった。ヒイラギが大木に見入っている一人の男を見つける

ヒイラギは男を見て驚き、子供達を自分の後ろに移動させた。


「立派な『柊』の木だなぁ・・・樹齢400年ってとこですか・・・」


男もヒイラギや子供達が自分に警戒していることに気づく。


「あ、すみません・・・邪魔しちゃいました?  あの・・・どちらかで米を分けてもらえる民家はありませんかね」


ヒイラギは冷静に男を見つめる


「お前・・・人ではないな?  人でないものが どうして米を食う?・・・・ 返答次第では森中の獣を集めるぞ」


そう言うと ヒイラギは男を睨み付けた。

男はかすかにたじろいだ。

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