つり橋
ドドドドドドドド・・・・・・・・
崖だ。その下に凄い勢いで川が流れている。
男は立ち尽くし恐る恐る崖の下を覗いていた。
「・・・・・・・」
目の前には、崖を渡るつり橋が張られている・・・・だが古い。
「だいぶ古いなこら・・・・むー・・・」
男はなんとか別の道を探すか策を練っていたところだった。
ぐぅぅぅぅ・・・
男の腹の虫がなった。
腹をさすると、大きくため息をつき、橋に手をかけた。
そしてゆっくりと一歩を踏み出した。
その時だった。
「おーい!!」
男が渡ろうとする先の崖から農夫が声をかけたのだ。
「この橋は、もうすぐ落ちっから渡っちゃなんねーぞー!!」
「え?! でもこんなに丈夫なの・・・・」
ピシ! ぶち!!
つり橋を支えていた縄が突然きれた。それを機に一気に橋がくずれ落ちる。
男はあわてて来た崖に戻った。
ガラガラガラー・・・・ドボン! ドボドボ・・・・
橋とともに崩れた崖の一部が下の川に落ちていく。
男は青ざめて茫然とその様子を見ていた。
「大丈夫かー? あっちさしばらく行くともう一つ新しい橋があっからよー」
大きな声で農夫が教えてくれた。
崩れた箸の残骸を横目に農夫の言う方向に男は向かった。
しばらく行くといかにも最近作られた縄も板も新しい立派なつり橋がかけられていた。
橋を渡り終えるとさっきの農夫が心配そうにやってきた。
「大丈夫かいアンタ。」
「本当に・・・ありがとうございました。 しかし・・・よくわかりましたね。あの橋が落ちるって・・・・」
「そら、アンタ・・・オレのおかげじゃないよ・・・」
農夫は背中に背負ってる薪の束を背負いなおした。
「予言だぁ」
「は? 予言?」
「この里には未来を予言してくれる。えらい神様がいるんよ」
男は何のことかわからず、キョトンと農夫を見ていた。