ツイてる男はツンでいる
俺の人生は幸運続きだった。
平凡な一般家庭から俺の人生は始まった。
変化が起きたのは幼少期のある日の出来事。
公園でボールを追いかけ道路へと飛び出し、車に轢かれそうになったのだ。
その車は近くに住む資産家の車で、同い年の女の子が習い事に行く途中のことだった。
それが縁で彼女と近くで遊ぶようになった。
その彼女こそ、これからの人生を共に送ることとなる凛香だ。
今思えば幸運の女神だったのかもしれない。
そこから俺は凛香の勧めで、名門私立学校に共に受験をし、なんと合格!
成績もトップクラスで、生徒会長にも選ばれた!
大学にもすんなり進学でき、凛香との交際も続き、そのまま一流企業へと就職!
順風満帆なこの人生。
極めつけは、その凛香と結婚することに!
遂に婚約をし、来月には式を控えていた。政界の大物や企業家なども出席予定らしい。
生粋のお嬢様である凛香は、勝ち気で我儘なところがあるが、その反面甘えん坊で一途な可愛い奴だ。
俺は本当に幸運な男だ。
そして俺達は一足早く新居に引っ越して、同棲生活を始めることに。
今日、凛香は挨拶回りなどで外出、俺は一人で荷物の整理を行っていた。
それにしても、凛香の大量の荷物。
嫁入り道具かは知らないが、こんなに必要なのか?
片付けてやるか。
と、箱を持ち上げた時、1冊の本がこぼれ落ちる。
[彼氏補完計画]
あいつの日記か?
開いて見ると……
[飛び出してきた少年が……]
ああ、これは俺の事だな。
[この子に決めた。私の直感がそう告げている]
……?
[彼には教養を身につけてもらうため、私とピアノのレッスンを受けてもらう]
??
[学園には根回しをして入学できる準備を……]
???
[就職先は……御父様にお願いして……
宝石商から彼に、この指輪を婚約指輪として……
ゆくゆくは御父様の事業を継いで……
子どもは3人、男女男で……
結婚後も体型維持のためジムに通わせ……]
こ、これは!?
「見つかってしまったようね」
「り、凛香!」
「理想の殿方を探すより、最初から育成すればよいだけのこと。見事あなたは試練を越え、私の伴侶として相応しい人物になりましたわ」
なん……だと?
今までの幸運は、全部凛香の仕業で、俺は試されていたと?
「このことは想定外ですが、もう遅いですわ。来月には挙式、チェックメイトよ! さあ、観念しなさい!」
どうやら俺は、出会った時からチェス盤の上で踊らされていたようだ。
俺の人生、
気が付かないうちに、
すでに詰んでいた……