場所と共に去れないのかもしれない
掲載日:2022/10/17
私は今日、首吊り自殺をする。
この山の、その人の母親が首を吊ったこの木で。
その人は自分の母親を思い出すたびに、私も思い出すだろうか?
その人は、強者にへりくだり、弱者に横柄だった。
弱者であった私には、当然のように暴力で接してきた。
だからとはとても言えないが、その人が18歳の時に母親が自殺した。原因は知らない。
そしてそれから12年後、覚えているかも定かではない弱者がまったく同じ場所で自殺する。
その人は母親の事を思い出すだろうか?私を思い出し笑うだろうか?
その場所を知る時、その笑いはどうなるだろう?
そもそもどのような親子関係だったのかは知らない。
愛情深く育てられたのか、希薄な関係だったのか、まったく分からない。
その人に虐げられながらも、私はその人の事を何も知らないのだ。
その人は私の何かを知っていたのだろうか。
私は今日、死ぬ。ただもしかしたら、その人の心と共に生きるかもしれない。




