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「聖女様の逃避行」代行します  作者: 猫の靴下
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8.ついにアノマラド港町に

7日目。


誰もが皆ユーリのことを聖女様にちがいないと思っていたが、セルベス国の連中に聞かれるとまずいとかん口令がひかれていた。

そんなことは知らないユーリ。今日もおとぼけ馬車の旅。

アピオス国に行く話をすると、皆が陸路を勧める。なぜだろう?


「本当は船に乗るのが一番速いけど、危険ではある」

「ですよね。逃げる場所がないですからね」


港町に着いたらこれで皆さまとはお別れだ。

ヤンおじいさんと孫は港町にある自宅に、夫婦は実家に戻るため船にのるそうだ。

いいなぁ~船旅。

馬車にゆられながら皆で談笑する。


ガタゴトガタゴト。



昼過ぎにやっと街並みがみえてきた。

ついにアノマラド港町に到着だ。


皆とお別れを惜しみながら手を振る。

ソルトさんも護衛終了の報告をするというので一緒にギルドに向かった。

迷わなくてよかった。


ギルドにいったそうそうギルマスにつかまるソルトさん。

なんだか深刻そうだ。


私は受付に行って隣国まで護衛してくれる人たちと面接になった。

推薦されたのは2パーティ。

男性だけの2人パーティと男女混合の3人パーティ。


すぐそこにいたので先に男性だけのパーティに会ってみたが、やはりというかなんというか会ったとたんひどい。


「おー!かわいらしい人の護衛ですね!」などと盛り上がっていた。

「返事は明日でいいですか?」とギルド職員に聞いたところ、

「え?なんで?俺たちでいいじゃん?」と騒ぐ。うん、こいつらはないな。



できたら女性がいるほうがいいかなと思い次に期待だ。

男女混合パーティ『ほむらの剣』は少し遅れてくるようだ。


待合スペースで待っていたらソルトさんが現れた。

一応ソルトさんに聞いてみようかな?

少なくても初めてあった人よりはソルトさんのほうが信用できる。


「どうだった?」と聞いてきたので

「最初のはありえない。

次に会うのは『ほむらの剣』パーティなんだけどどうかな」


「そうかー『ほむらの剣』か。うーん」ソルトさんの歯切れが悪いな。

「どうかした?」

「そのパーティはなかなかいいと思うが、強さ的に頼りにならんかもしれないな」

「え?」

「護衛っていうと人間相手もありえるだろ?あいつらまだそういうの経験ないと思うんだよな」



そうこういってるうちに『ほむらの剣』がやってきた。

3人とも優しそうではあるが大丈夫だろうか?


「おおーソルト兄貴じゃないですか!」


ソルトさんの知り合いのようだ。

ギルド職員があわてて部屋に通してくれて話し合いが始まる。ソルトさんなんでいるの?


「こちらは依頼主のユーリ様。リーダーのダンカンさん、女性は姉妹のアドさんレースさん」

「はじめまして。ユーリです」

「アピオス国の最初の街まで護衛依頼ということでよろしいでしょうか?」早速ギルド職員さん始動で話し合う。



ソルトさんの知り合いなら大丈夫かな。

さっきの二人はナシなのでここで決めてもいいかな。


「なあユーリ。こいつらで決まりなら俺も護衛としてついてっていいか?」

「おお!先輩が付いてきてくれるなら心強いです。ぜひお願いしたい」ダンカンさんがうれしそうだ。

「こちらの希望も4人まででしたので構いませんよ。でもソルトさんいいの?」


さきほどギルドマスターらしき人ともめていた気がするが。


「王都に来いって依頼がきたらしいが、王都にいく金がないからとりあえず仕事してくるっていったら引き下がった」

「先輩貧乏だったんですか?あ、王国騎士の受験費用捻出ですか」

「うむ。そういうことだから、一緒に依頼を受けられるなら頼みたいんだが」


ソルトさんがいてくれたら心強い。「ぜひお願いします」と頭をさげる。

正式依頼完了だ。

細かな打ち合わせをして宿にもどる。素泊まりだけど小さな神殿があったので今日はあちらに戻れるはずだ。



思った通り、聖女エリスさんは現実世界に呼んでくれた。

お風呂に入って、エリスさんと一緒に冷凍食品を食べる。

一人暮らしは冷凍食品にお世話になる確率が高いのよね。たくさん買いだめしといてよかった。

就職が内定したら好きな物たくさんつくるぞ。


『ほむらの剣』&ソルトさんに護衛依頼をしたと伝え、今後の相談をする。

今後神殿はなさそうなので気を付けていかないとね。

調子がよければ後3日くらいで隣国へ着く予定だ。


「関所は念のためネックレスを外してくださいね」と注意を受ける。

聖女の魔力を感知すると通過できない可能性もあるのだそうだ。


なぜか『癒し手』の回復スキルは生えているらしいが、私自身は魔力ゼロなので安心だ。



そのころ乗り合い御者であるヘッグが捕まって尋問されていた。

ソルトを病院に担ぎ込んだのはヘッグの馬車であったためだ。

油断していた自分を呪ったがしかたない。


『癒し手』の聖女のことをしつこくきかれるが、乗合馬車なんていろいろな人が利用するから一々覚えてないといいはった。

だが、王から上司からあちこち責め立てられているバンズ捜査官は余裕がなく鞭で責め立てた。

一介の御者なんていくらでも替えがきく。

なんとしても思い出せと尋問は続く。


嘘でもいい、何か言わないと。いやでも嘘だとばれたら、家族はどうなるんだ?

だめだだめだ。

ソルトすまない。


ついにヘッグは馬車に乗っていた黒髪の少女のことを話しだした。


「そうか黒髪か!名前はなんというんだ!」

「いやさすがに乗り合い馬車にのっただけで名前なんて名乗りませんよ」


名を忘れたなんて言ったら思い出すまでまた打たれてしまう。最初から名乗ってないという。

かろうじて名前を隠す。このくらいなら許してくれるだろう。

痛すぎて朦朧とした頭で考える。


「む、それもそうか。まあ黒髪は珍しい。すぐに見つかるだろう」

周りにいた仲間に捜索隊に知らせるよう指示を出していた。

ヘッグはほっとしたとたん気を失っていた。


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