4.王都を観光するよ
3日目。
ギルド受付嬢に護衛の相談をする。
王都からしばらくは馬車にも護衛がつくので、途中の港町から護衛を付けたらどうかとアドバイスを受ける。
アノマラド港で護衛募集をかけておくので向こうで集まった候補者と会うことになった。
アノマラド行の馬車は朝早く出立してしまったそうなので今日は観光でもしようか。
王都の王国騎士団が歩き回っているのでここはさすがに安全だろう。
せっかくの異世界なので大きそうな通りをぶらぶら歩いてみた。
レンガ作りの街はファンタジーでかわいらしい。
街並みも様々な花が飾られており、小さな国旗も道路わきに飾られている。
金ぴかのゴージャスな馬車が通るたびに眺めたり、パンの売り子さんもいた。
細い路地から子供が飛び出してきてぶつかった。
おのぼりさん状態でぼけっとしてるように見えたのだろう。
子供は私のカバンをつかんでいたが、そこは現代社会で鍛えられてる私が勝つ。
私はぎゅっとカバンをつかんで離さない。
そのまま子供の手もつかむ。
「ぎゃあ~ひったくり!おまわり・・・じゃなかったそこの騎士さま助けてー」
騎士なのか?いや違うかもしれないと思いつつ声をはりあげる。
社会人もどきをなめるな。
騎士もどきは走ってきて子供を捕まえる。
「またおまえかよ!何度言ったらわかるんだ。」
子供は泣きべそをかきながら「お腹すいたんだもん」といいだした。
私のほうをむいて(ゆるしてくれるよね?当然お金もくれるよね?)という顔している。
もう一度言う。社会人もどきをなめるな。
「そう、お腹が空いてるのね。何度も繰り返すってことは更生させたほうがいいと思うの。一度牢屋に入ったほうがちゃんとご飯がでるわよ」
「へ?ええ?」子供はびっくりして逃れようと暴れだす。
泣きまねはとっくにバレバレだ。
ふふふ。今までは全部大人の良心にうったえて見逃してもらったんだろ。
騎士もどきさんも「最近は子供に甘い人が増えているから助かります」
そういって暴れる子供をひきずっていった。
子供だしそんなひどい扱いはするまい。
周りを見回すと子供が出てきた路地から覗いてるもっと小さい子供がみえた。
もしやあれがスラムってやつだろうか。
日本では見たことがないな。
可愛そうではあるが私ではどうにもできない。
聖女エリスさんならほっとけないだろうなぁ。
ごめんね。
王都中央の噴水やどうでもいい王様の銅像、露店を見て回る。
時々ジロジロみてくる視線を感じたが無視する。
やっぱりなめられてるのだろうか?
子供にもなめられるくらいだしなとちょっぴり凹む。
ちょっと休憩しようかな。
「聖女候補が一人行方不明らしいよ」
「きいたぜ。そら大ごとだよね」
「実力のない下働きのような子だったらしいが」
昼はオヤキのようなパンを買って銅像の横に座って食べていたらそんな声が聞こえてきた。
やっぱり庶民はそう思うよね。
思い切ってエリスのために話しかけた。
「それ聞きましたよ。実際はものすごい聖力があるのに平民だからって苛め抜かれたらしいですよ」
話してた二人はいきなり話しかけられて驚いたようだが。
「やっぱりそういういきさつかよ」
「貴族はやることが汚いな」
「王家のものまで一緒になってあれこれ仕事を言いつけていたらしいですよ」
「俺たちを守ってくれる大事な聖女さまになんてことするんだ」
二人と一緒に盛り上がってしまった。
全てエリスから聞いた本当のことだ。噂にでもなって少しくらい慌ててほしいなと思ってしまった。
のちにこのうわさが広まり、聖女を虐待してるとまで話が広がってしまい、王家は対応に苦慮することになるのだった。
◇
現実世界に戻った優里はエリスにその話をして同じく盛り上がったのだった。
長時間いられないのが残念であるが、お風呂は譲れない。
そのかわり部屋にあるものなんでも使っていいよって許可を出す。
洗濯は洗浄の魔法があるからいらないらしい。
そういえば異世界は素材の味を生かしているのか、薄味だ。
今はほとんど作らなくなっているが、私は食べるのも作るのも大好きだった。
どうして忘れていたんだろう?
サラダに塩麴をかけてエリスさんに試食してもらう。
ニコニコ食べてる。気に入ったようだ。
冷蔵庫やレンジの使い方も教えて冷凍庫に入っていた焼きおにぎりを温めて食べた。
「まぁ~美味しいわ!優里さんの世界はこんなおいしいものがあるのね!」
美女が美味しそうに食べてるのはかわいらしすぎて写真に収めたくなる。
美女は何食べても似合う。
くじけるな私!
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