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人生の目的  作者: 月路です
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人間性を見ぬく=易姓革命=

古人の知恵:人間性の見ぬき方と国を護る方法

 古人の知恵:人間性の見ぬき方と国を護る方法



 市営住宅集会所へ講演会を聞きに行った。

 

 演題は「兵法書(へいほうしょ)を読んで『生き方』を考える」。内容の要点は次の通りだった。


 呂尚(たいこうぼう)は、今から3100年ほど前に(いん)王国の紂王(ちゅうおう)(ほろ)ぼした(しゅう)王国の軍師(ぐんし)

挿絵(By みてみん)

 次のような言葉を残した。

・戦争するときは、敵軍の動きを良く調べ、勝てる方法を考えた上で、自軍(じぐん)を勝てるように動かす。

敵国(てきこく)政治(せいじ)失敗(しっぱい)()()らし、敵国を(たお)すのに役立(やくだ)つ人々を集める。

・何をすれば()められ、何をすれば(ばっ)されるかを、家来(けらい)国民(こくみん)がはっきりと分かるようにした上で、キチンと褒めたり罰したりすれば、(みな)が言うことを聞くようになる。

・上の者がイジメをしたら、下の者もそれをマネして、殺しあいが増える。

・言葉を上手に使って悪だくみする人を上の地位(ちい)()けたら、兵隊(へいたい)はやる気をなくして軍隊(ぐんたい)(よわ)くなる。

・王様が尊敬(そんけい)されなかったら、家来(けらい)が王様を裏切(うらぎ)るようになる。王様がヘラヘラしてたら、家来が言うことをきかなくなる。

・良いと分かってることをしなかったり悪いと分かってることをしたりすると、国が滅ぶ。

他所(よそ)の国の悪い王様を()っつけた王様は、国民から尊敬(そんけい)される。

・国のお金が無くなったら、人々の心もバラバラになる。

悪事(あくじ)見逃(みのが)したり、命令(めいれい)(したが)わない者を殺さなかったりすれば、国が(みだ)れる。

・仕事を(まか)せても大丈夫(だいじょうぶ)な者かどうかは、次にようにして観察(かんさつ)する。

(1)お金を与えてみて悪いことに使わないかどうか

(2)高い地位につけてみて威張(いば)らないかどうか

(3)重い責任を与えてみてキチンと仕事(しごと)するかどうか

(4)仕事をする上で内緒事(ないしょごと)をしないかどうか

(5)(あぶ)ない目にあわせても仕事をしようとするかどうか

(6)問題(もんだい)解決(かいけつ)するよう言いつけて最後(さいご)まで()()げるかどうか

・農業,工業,商業は、国の宝。これらを他人任せにする王様は、国民から尊敬されなくなる。

・六(ぞく)(ゆる)してはならない。

(1)臣下の身でありながら立派な御殿や庭園を作り、遊びにうつつをぬかしている者

(2)農事を怠って遊侠気取りで遊びまわり、役人の指示に従わないで、平気で法令を犯す者

(3)臣下で党派をつくって賢者の登用を妨げ、君主の明知を塞ぐ者

(4)自説を主張して気炎をあげ、諸侯と交際して自国の君主を軽んずる者

(5)臣下でありながら爵位を軽んじ、上司を馬鹿にし、主君のためにあえて危険を冒そうとしない者

(6)勢力家で弱者を痛めつけて収奪している者

・七(がい)に気を許してはならない。

(1)知略もなく権謀もないのに高い地位を与えられ、勇気にはやって無謀な戦いを仕掛け、万一の僥倖を期待する者

(2)評判が高い割に実力がなく、その時々で言うことが食い違い、人の悪口ばかり口にし、進退に抜け目がない者

(3)粗末な衣服を身につけ無為無欲を口にしながら実際は名声や利益を欲しがる食わせ者

(4)冠帯や衣服を飾り立てたり、学識をひけらかし空論を闘わせて外面を飾ったり、閑居して時流を批判するような腹黒い人間

(5)口先がうまく、たくみに取り入って官職を求め、俸禄のためなら命も惜しまぬように見せかけながら、国家の大事には無関心で、ただ利益を求めて行動し、空虚な意見を偉そうに説きたてる者

(6)器物や建物に彫刻を施し、金銀をちりばめ、きらびやかな装飾を事として農事を怠る者

(7)怪しげな方術やまじない、邪教、不吉な予言によって良民を惑わす者

・まわりが褒める人間を賢者だと思い、まわりが貶す人間を愚者だとみなすと、仲間の多い人間だけが昇進して少ない人間は退けられ、判断を誤る。人材は、次の判断材料で見極める。

(1)質問に対する返答の内容

(2)問い詰められたときの対応

(3)スパイを使って裏切りを誘い、誠意を確認

(4)面と向かってズケズケ尋ねられたときに顕わす人柄

(5)財貨管理を任せて清廉さを観察

(6)女を近づけて貞節さを確認

(7)困難な任務を与えて勇気を観察

(8)酒を飲ませて酔い方を観察

・敵国に対する戦争準備の仕方

(1)相手国の欲するままに要求を聞き入れてやれば、やがて驕りの心が生じ、墓穴を掘るようになる

(2)相手国の寵臣に君主の欲しがる物を与え続け、ころあいをみて与えないようにすれば、君主は欲しいものが手に入らなり、寵臣に疑惑の目を向けるようになる

(3)側近の者に賄賂を贈って、しっかりとかれらの心をとらえる

(4)相手国の君主に珠玉を贈り美人を献じ、女に溺れて政治を忘れるように仕向けたうえ、下手に出て、相手の言いなりになって調子を合わせる

(5)相手国の忠臣を厚遇し、君主への贈物は減らして、相手の結束に楔を打ち込む

(6)相手国の内臣を懐柔し、外臣を離間する

(7)相手国の野心を封じこめるために、厚く賄賂を贈って寵臣を買収し、利益で釣って職責を怠るように仕向ける

(8)相手国の君主に重宝を贈って、わが方を信頼するようにさせ、わが方に協力させるように仕向ける

(9)相手国の君主を褒め上げていい気持ちにさせ、手も足も出ないふりをして安心させ、政治を怠るように仕向ける

(10)謙虚な態度で相手国の君主に仕えて心をつかみ、頼りになる味方だと思わせる

(11)相手国の有能な臣下に、内密に高い地位を約束し、重宝を贈って手なずけ、わが方に肩入れする人間を増やす

(12)相手国の乱臣を手なずけて君主の心を惑わし、美女や歌舞団を送って関心をそちらに向けさせる

・将を補佐する組織

(1)腹心〔1人〕戦略計画の策定を助け突発事態に備え、天象をはかり異変を解消し、国力の保全にあたる

(2)謀士〔5人〕情勢の掌握につとめて安全を確保し、賞罰を明らかにし、疑問を解決して可否の決定にあたる

(3)天文担当〔3人〕星の動きや風向きを観測し、天がどちらに味方するかを察知する

(4)地理担当〔3人〕行軍や駐屯に際して地形のよしあし、行程や険阻の情報を収集し、地の利を失わないようにする

(5)兵法担当〔9人〕彼我の情勢や戦いの帰趨を分析、兵器を選定し、違法行為を取り締まる

(6)食糧担当〔4人〕食糧の必要量をはかって備蓄するとともに、輸送路を確保して補給を絶やさないようにする

(7)奮威〔4人〕勇敢な兵士を選抜し、奇襲部隊を編成する

(8)伏旗鼓〔3人〕これは旗や鼓をかくして敵陣に潜入し、敵情を探索する

(9)股肱〔4人〕重要かつ困難な任務に当るもので、堀や城壁の工事を督励して、守りの面で万全の態勢を整える

(10)通才〔2人〕君主の欠けた点や誤った点を補い、外国の使節と交渉したり、議論して紛争の解決をはかる

(11)権士〔3人〕奇計を使い、権謀を駆使し、人目につかない所で変幻自在な策を講じる

(12)耳目〔7人〕足で歩いて世間の風説を聞き、動向を観察し、外国の動きなどの情報を集める

(13)爪牙〔5人〕全軍を督励して士気を高め、いかなる困難にもたじろがず、勇敢に戦わせる

(14)羽翼〔4人〕わが軍の勇名を喧伝し、遠方の国々まで震え上がらせて、敵の闘士を弱める

(15)遊士〔8人〕敵側の人間を買収したり、人心を動揺させたり、敵の意向をさぐったり、諜報活動に当る

(16)術士〔2人〕あやしげな術を使ったり、神のお告げだといつわって、敵の心を惑わす

(17)方士〔3人〕薬をそなえて傷の手当てをし、万病の治療に当る

(18)法算〔2人〕布陣や軍糧の費用など、収支の会計に当る

・将の器(五材)

(1)勇であれば人から侮られず

(2)智であればかき乱されず

(3)仁であれば人から心服される

(4)信であれば信頼を集める

(5)忠であれば二心を抱かない

・敵将の(すき)(十過)と付けいる方法

(1)勇に逸って死を軽んずる⇐挑発攻撃

(2)短気でせっかち⇐持久戦

(3)欲が深くて利益を好む⇐ワイロ攻撃

(4)優しすぎて厳しさに欠ける⇐手段をこうじて疲れさせる

(5)知恵はあるけれど臆病⇐策を使って行き詰まらせる

(6)相手かまわず軽々しく信用する⇐騙し欺く

(7)清廉さを誰彼構わず要求する⇐侮辱して怒らせる

(8)優柔不断⇐不意討ち

(9)自信過剰で人を使えない⇐多段攻撃

(10)意志薄弱で他人任せ⇐計略にかける

・信賞必罰

・[戦時の武具]を[平時の農耕]の中に備える

 「易姓革命」は、王朝の世襲断絶による交代を正当化する儒教的思想。「王朝にはそれぞれ一家の姓があるから、王朝が変われば姓も()わる(易姓)。徳を失って天から見放された前王朝を廃することは、天の命を(あらた)める行為である(革命)」と説き、君主が悟って自ら位を譲るのを「禅譲」、武力によって追放されるのを「放伐」という。

 王朝が交代すれば、前王朝失徳の歴史書が出される。

 「酒池肉林」は、酒を池のように大量に満たし、羊肉や牛肉を辺りの樹木にかけ、その間を一糸纏わぬ男女に追いかけっこをさせる催しを意味する殷の紂王による悪行の代名詞(因みに、神々を地上に呼ぶ為の祭典だったと穿った見方をすれば、天岩戸神話に通ずるものがあるということになる)。

 紂王は、有蘇氏を討伐したときに献上された妲己(だっき)を寵愛し、彼女の歓心を買おうとして、油を塗った銅柱を横に吊るし、下から火を焚き、受刑者にその上を渡らせる炮烙(ほうらく)の刑を行った。紂王を諌めた叔父の比干(ひかん)は、紂王に殺され解剖されて、「聖人の心臓に七つの穴がある」という迷信の確認材料にされた。周の文王は紂王に子供を殺されただけでなく、そのスープを強制的に飲まされた。

 紂王は、貨幣経済を発想し実行しようとして、楼閣の中に銭を、倉庫に穀物を蓄えた。さらに、妲己の予言力を喧伝して、聖職者の神託を聞かずに命令できる体制を整えようとしたので、既得権を失う勢力は、虎視眈々と反撃の機会を窺っていた。

 文王が病没して間もなく、紂王の精鋭軍が何らかの理由で東方に出陣した。

 文王の息子(武王)は、その隙に諸国連合軍を束ねて蜂起し、戦車に文王の位牌を乗せて出陣した。凱旋してきた紂王軍は、諸国連合軍に騙し討ち的に攻撃された。そして、既得権勢力が、仕組んでいた謀反組織が諸国連合軍に呼応して、紂王は滅ぼされた。

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