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人生の目的  作者: 月路です
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保険は賭けごと

 任意保険加入は鴨葱(かもねぎ)

 宅配車運転中にラジオを聞いてると、保険金殺人(ほけんきんさつじん)容疑者(ようぎしゃ)自殺(じさつ)したニュースをしてた。

挿絵(By みてみん)

 生命保険(せいめいほけん)詐欺師(さぎし)殺人(さつじん)動機(どうき)(あた)えるものなのだろうか?

 宅配先に着いたら、先客がいた。保険勧誘(かんゆう)員だった。保険勧誘は(ことわ)られてた。


私:お届け物です。

家人:ありがとう。助かったよ。勧誘が(しつ)こくてね。


私:生命保険ですか?今、ラジオでロス疑惑のニュースしてましたけど…

家人:[生命保険]は一種(いっしゅ)の賭けごとなんだよ。


私:そうなんですか?

家人:日本で松尾芭蕉が「奥の細道」を旅行していたころ、イギリスでは、ロンドンの喫茶店[ロイズ]が、船員や貿易商人などの客で繁盛(はんじょう)していた。そこでは海運関係(かいうんかんけい)のニュースを知ることができたからだ。

 航海(こうかい)にはリスクがあるので、賭け(かけ)の対象となった。それが海上保険(かいじょうほけん)の始まりだ。

 有名人の死を予想(よそう)して賞金(しょうきん)(きそ)うゲームも行われた。

 「人の命を博打(ばくち)の対象とするなんて(おぞ)ましい」という嫌悪感(けんおかん)(やわ)らげるために「被保険利益(ひほけんりえき)」という言葉が考え出された。一家の大黒柱(だいこくばしら)が死ねば遺族(いぞく)は生活が非常に苦しくなる。家族を大事に思う不安につけこんで、制度化したのが ‘Life Assurance Act 1774’ だ。

 19世紀には、アメリカでも、[生命保険]がビジネスになった。本人の知らぬ()企業(きぎょう)従業員(じゅうぎょういん)に保険をかけ、従業員が死んで保険金が企業に支払われるということも起きた。企業は「教育や研修で投資した費用の回収と後任者採用費用の捻出(ねんしゅつ)が必要だ」と説明した。

 さらに、[被保険利益]は契約時の制約にすぎないという理屈(りくつ)が出てきた。余命(よみょう)少ないエイズ患者(かんじゃ)から保険証券を買い取った業者が、エイズ患者に治療費(ちりょうひ)や余命を豊かに過ごすためのお金を支払うとともに、保険料を払い続け、患者死亡時に保険金受け取るのを可能(かのう)にするために…

 ターゲットは、エイズ患者から ガン患者や心臓症患者(しんぞうしっかんしゃ)に、(さら)には、健康な高齢者にまで広げられた。高齢者の生命保険を買い集め、パッケージ化して債券(さいけん)に組み直し、大口投資家(おおぐちとうしか)年金基金(ねんきんききん)のような機関投資家(きかんとうしか)販売(はんばい)したんだ。

 

私:保険てホント怖いですね。

 

 家人が受取印を押してくれたので礼を言って次の配達先に向かった。

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