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M00.女神とのブリーフィング?

 突然の異世界転移。


 正直、ぜんぜん嬉しくない。


 平凡だけどそれなりに平和な日本の生活のほうが、よっぽど俺には価値のあるモノだからだ。


 しかし、怒りをぶつける相手もいない。


 コチラの次元に飛ばされたときに、コチラの世界に存在する女神なる女性に保護されたときに言われたのだ。



 俺は、完全なイレギュラーなのだと。



 女神の力も及ばない、正真正銘の想定外の転移。


 この世界の……というより、この宇宙のほうが正しいか? とにかく、女神の力が通用する範囲での転移なら帰ることもできたらしいが。


 どうにかならないか? と聞いてみた。


 現実は非情、お答はノー。


 海のなかでは生存競争の上位者であるサメも陸に上がれば無力なように、この世界以外への干渉は不可能だと言われてしまった。


 ついでに、サメが海から飛び出るのはクソ映画だけで充分だとも。


 女神、映画とか見るのか……。



「そりゃオメェ、こちとら人間の何億年なんて昨日今日のレベルで生きてんだぞ? 娯楽でもなきゃ女神なんざやってらんねぇっての。それでも……まぁ、オメェみたいな形でのサプライズはあんまり嬉しくねぇけどな。―――すまねぇ。オレサマにできんのは少しでもこの世界で生きやすいようにサポートしてやるくらいだ」


「いえ、充分ありがたいですよ。この新しい体も違和感とかないですし」


「そうか。いやぁ、まさかオメェのいた世界では魔力の概念が全然違うとはなぁ。すっかり体を作り替える必要が出るとは。とりあえず精神汚染については完璧だから安心しとけ。身体的なバッドステータスは……下手に無効化するとメンドクセェことになるかな?」


「たぶん。なにか都合のいいマジックアイテムのようなものが見つかればそれで誤魔化してみます。ただ、この世界の日本、というか地球……なかなか面白い技術が普及してますね」



 身体に直接身につけるロボットのようなモノが。


 “エーテル・フレーム”と呼ばれる科学と魔法が合体したかのようなSF的な、それはとてもとても男のロマンを刺激してくれるシロモノが。


 強化外◯格、黄◯聖衣、アーマードモ◯ュール、ネ◯スト機体……そんな感じで色んな物が混ざったかのような技術。いやぁ、これはちょっとそそられますぞ?


「騙して悪いが……」とか言ったり言われたりしちゃう?


 ……うん。


 頑張ってテンション上げてみたけれど、やっぱり自分の日本が恋しい気持ちは消えないか。意外と俺ってば愛国心とか持ち合わせていたのかな?



「それを聞いて安心したぜ。オメェの身体は人間のソレとは少し違うモンになってるからな。作り替えたってことは、ある意味で一度死んじまったようなモンだからよ。どこかで人間としての倫理とかに違和感あるかもしれねぇって心配してたんだ」


「……それは、例えば、人間の命を奪うことも含めた話ですか?」


「まぁ、な。これからお前を送り出す地球は、お前の知る地球とは違うからな。魔獣とかはともかく、もしもオメェが戦いの世界に生きることになれば―――いや、オメェが望まなくても巻き込まれることくらいあるわなぁ。そんときに躊躇えば……言わなくてもわかるだろ?」



 自分が、あるいは周囲の人間が……か。


 それは試してみなければわからない。


 ただ。



「まぁ、足掻けるだけやってみます。せっかくこうして女神チートも貰えたワケですからね。それに、正義のヒーローとかを目指すつもりはないので、そこまでヒドイことにはならないと……思い込みたいですねぇ。学生のときならそれもアリだったかもしれませんが、しがないサラリーマンでしたからね……。単純に恥ずかしい」


「んだよ~、せっかくオレサマの加護やるんだから、そこは世界最強とか目指しちまえょ~。世界征服してハーレム作るとか、イロイロあんだろぉ~」


「女神が世界征服を推奨してどうすんですか……」


「オレサマの役目は担当範囲の世界を見守ることで、別に人間を守護することじゃねぇし。そーゆー慈悲深ぁ~い役目は精霊がいっからいいんだよ。いいじゃん、ガキに女神の加護が受け継がれるのか興味あるし。パパッと百人くらい孕ませてみ?」


「全力でお断りします。そういうのは世界のどこかにいるかもしれない主人公にでも期待してくださいよ。そうでなくても俺の見た目、中学生くらいになっちゃってるんですから」


「それについてはオレサマの技量不足だったな。正直スマンかった。まぁ、第二の人生、青春ってヤツ? 楽しんでくれや」


「青春、ね……。正直なところ、女性との接し方に自信がないので、どちらかと言えば男同士の友情でお願いしたいところです」


「ん。まぁパッと見た感じ、男が極端に少ねぇとかもなさそうだし、たぶん大丈夫だろ。……イレギュラーを防げなかったオレサマが言える立場じゃねぇけどよ、命を粗末にすんなよ? 加護はくれてやったが、不老不死ってワケじゃねぇからな」


「自分は勇者じゃないので大丈夫ですよ。卑怯千万大いに結構、臆病者は生きるのに意地汚いもんです。まぁ、無茶をしないとは約束できませんが。……それでは、お願いします」


「おう。人間は守備範囲外と言ったが、オメェのことはしっかり気にかけてやるから安心しろ。じゃあな、頑張れよ」



 全身が温かく……柔らかい、浮遊感に包まれる。


 正直なところ、気持ちの整理はまだついてない。けれど、それはこの女神の庭園にいても解決しない問題だろう。


 新しい地球で、新しい日本で、新しい人生で。少しずつ受け入れられるようになれば―――



「あ、ピンポイントで日本に転送できっかはわかんねぇから。そこは勘弁な?」


「えッ! ちょッ!?」

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