印刷所で嫁をゲットしました
「はあ、なにこれ!?」
「えへへ……」
二人の目の前に広がっているのは物が散乱し足の踏み場もないほどのアパートの玄関だった。
*
「茂名さん、今日飲みに行きませんか?」
「えっと、いいけど……」
とある印刷所、その勤務時間中に女性を飲みに誘っている男がいる。 彼の名前は千賀千裕と言いこの印刷会社に勤める二十五歳である。
そしてその千裕からのみの誘いを受けているのは千裕と同い年の同期である茂名琥珀だ。
「じゃあ今夜七時に会社前で!」
「う、うん」
千裕は琥珀が誘いを受けてくれたのが嬉しかったのか鼻歌交じりに、
「営業行ってきまーす!」
と言い会社を後にした。
*
その日の分の営業を終え千賀は茂名さんとともに印刷所近くの飲み屋に行き、飲みを楽しんだ。 しかし二人の思いのほか話題が盛り上がってしまい終電を逃してしまった。
その結果、茂名さんは会社から徒歩圏内である千賀の家に泊まることになった。 そして冒頭に戻るのである。
「ここまで汚くなるって逆に才能よ!?」
「そ、そこまで言わなくても……」
「あいにく明日から週末だし片付けてあげるから手伝いなさい」
茂名さんは酒に強いのか根がしっかり者なのか千賀の家を片付けると言い出しテキパキと散らかったものを片付けていった。 千賀はあまりの手際の良さに見ていることしかできず途中から部屋の隅で座っていた。
「ふう、これで終わり! 千賀さん! 日ごろからもっと片付けをしないとモテないわよ?」
「こうやって片付けてくれるお嫁さんがいてくれたな……」
千賀が言うには、自分は家事全般がほとんどできないほどの不器用で気を抜くとすぐにゴミ屋敷寸前にまでなってしまうとのことだった。 それを聞いた茂名さんは、
「しょうがないわね…… 私が片付けてあげるから美味しいお酒を飲ませなさい」
「え!? いいんですか!?」
「ちゃんと美味しいお酒を飲ませてくれるならね?」
片付けが終わり二人は飲みなおすことになり、その日は朝まで楽しんだ。 その日を境に茂名さんは千賀の家に通うことが多くなり、半同棲生活になっていった。
それから五年が経ち言わずもがな二人は結婚した。 千賀は会社を辞め、趣味で元からやっていたゲーム実況で三人分を養っていくことにした。
そして今では娘とともにゲーム実況をするほどに幸せな家庭を築いているという。
彼、千賀には昔からの愛称がある。 その名も、
『ガッチさん』
~end~
お読みいただきありがとうございました!
三日も時間を取りながら短かっ! と思った方、すみません……
この作品は第三者目線で初めて書いたものなので変な文があるかもしれません。 そこはご愛嬌で……
なおこの作品はゲーム実況者、ガッチマンさんの結婚前の話をもとに書かせていただきました!
インタビュー動画で話を聞いた時からずっとラノベやん! と思っていたので書いてみたかったんですよね。
それでは!