The Block World
第一話ようこそ!ブロックの世界へ
「うっわキルパクされたわ。。。」
「は?あいつハッカーだろw通報しよw」
一人でパソコンに向かってぶつぶつ言っている彼は、大谷悠
17歳の高校2年生であり、そして残念な事に、ゲーム廃人である。
高校2年生とはいっても、学校には登校しておらず、完全なる引きこもりである。"食事、入浴、睡眠などの必要最低限な事柄以外、決してパソコンから目を離さない"というのが彼のポリシーらしい。
「ん?メッセージ来てるな。また千鶴か?」
「"今日もパーティー組もうよ"」
そう、引きこもりの彼は、ボッチという訳でも無かった。
彼女の名前は泉都千鶴。容姿端麗、学業優秀、そしてゲー廃だ。
悠とは幼馴染で、幼少期は二人でよく外遊びをしていたが、パソコンにハマった悠に影響されゲー廃に。悠とは違い、高校には登校しており、明るく人懐っこい性格から、クラスの人気者である。
悠と千鶴がパーティーを組むときは、大抵ボイスチャットを繋いでいる。休日に限っては千鶴が悠の家にノートパソコンを持ち込む事もある。
「さ~て、今日こそ悠はMVP取れるのかな??」
「うるさいぞ
今日はskywarsでもやるか」
「あっ、いいね」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おっ、マッチ始まった」
「なめプして死ぬなよ~悠はすぐ調子乗るんだから」
「ヤバい、相手ラグ過ぎて矢が当たらない(--;)」
「くぁ~、落とされた( ゜Å゜;)」
「早!」
「先ロビー戻ってるわ」
「オッケー」
そして彼はコマンドを打ち込んだ。
「"/warp mainLoby"」
「しまった、b足りないじゃん。打ち直しだるいなぁ。。。」
この打ち間違えが、あんなことを引き起こす事になるのを、彼は知るよしも無かった。
「打ち直すか、、、ん?バグか?」
突如PCの画面に、大量のコマンドが出てきた。
部屋がガタガタと揺れ始める。異変に気付いた彼は、とっさにPCの電源を切ろうとしたが、ボタンが効かない。コンセントを抜いてもダメだ。
「どうしたの!?悠くん!?」
「わからない!PCの電源が切れないんだ!どうなってんだよ!?」
いよいよ揺れが強くなったかと思うと、ピタッと揺れが止まった。
「と、とりあえず部屋から出ないと」
部屋の扉を開けた彼は、しばらくそこに立ちすくんだ。
彼の見る先に広がっていたのは、だだっ広いのどかな草原、数本の樹木、そして草原には羊や牛、ブタが点々と居た。