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Guardian’s Sky ―女神の空―  作者: Sky Aviation
第1章 ―数ヶ月前 A few months ago―
5/93

1-4


 航空自衛隊が導入する大型機の中には、先ほど蒼波と近藤が見たように、巨大な黒色のロートドームを備え、ボディが灰色に染められている、B767型旅客機に似た機体がある。



 人は一様に、その機体を『E-767 空中早期警戒管制機(AWACS)』と呼んでいる。



 これが誕生する経緯を説明するには、時を1976年まで遡る必要がある。

 この年の9月6日に発生した『ベレンコ中尉亡命事件』は、当時の航空自衛隊の防空網に重大な欠陥があることを露呈させた。彼が操るMiG-25戦闘機は、空自のレーダーサイトや戦闘機の監視を掻い潜り、函館空港に強行着陸。その時空自は、一度は探知していた彼の機体を見失って以降、最後まで発見することはできなかった。当時の日本は、地上のレーダーサイトや戦闘機のレーダーが唯一の監視の目であったが、これだけでは到底足りないことを思い知ったのである。


 これを機に、当時の防衛庁は直ちに対策を図り、当然のようにAWACSが選択肢の一つとして挙げられた。だが、当時のAWACSといえばアメリカのE-3“セントリー”であるが、アメリカにとっても最新鋭機であるE-3の輸出承認は、様々な大人の事情もあって見送られた。代わりに、早期警戒機として『E-2C“ホークアイ”AEW』を導入し、防空網の穴を埋めることにした。

 しかし、E-2Cは元々海軍での運用を想定した艦載機であるからして、他国で言う空軍的な空自のシステムとは相性が悪く、様々な問題が発生していた。その結果、手のひら返すように一度は見送ったE-3の導入を決定した。これが、1990年代初めのことである。

 だが、ここでも問題が発生する。E-3の母体となっていたB707旅客機の製造が既に終了しており、再生産が不可能となっていたのである。これに対して、開発元のボーイング社は代替案を提示した。即ち、当時最新鋭の旅客機であるB767型機に、E-3に搭載している装備を丸ごと突っ込んでしまおうというものであった。ガワがないなら、別のガワに中身を入れてしまえという、ある意味合理的な代替案である。

 防衛庁はこの提案に乗っかる形で、B767改造型のAWACS4機の導入を決定した。これが、99年までに4機配備され、今の『E-767 AWACS』へと繋がる。こうしてみると、まだ比較的新しい方の機体であるといえるかもしれない。


 現在に至るまで、世界を見渡しても空自にしか存在しないオーダーメイドな機体として生産されたためか、E-3よりはるかに高額な機体となってしまったが、性能はそれに見合うものとなっている。

 機密の塊であるE-767の性能も、正確なものは判明していない。だが、ロートドームとして搭載されているAN/APY-2レーダーは、3次元レーダーとしての対空監視能力のみならず、洋上監視能力にも優れ、各種乱反射波クラッターを高精度で排除できる。国土形状からして、広い海上をも監視しなければならない日本にとって、これほど都合のいい能力はない。

 さらに、そのレーダーが捉えた反応を処理する高性能コンピューターや、敵味方識別装置、データリンクシステム、そして、処理されたデータをもとに、味方に適切な指示を与える管制員が用いる状況表示装置(SDC)コンソールが14台備えられており、これにより、膨大な数の敵機の把握と味方機の管制が可能とされている。レーダーが高性能なだけでは、AWACSは本来の力を発揮できない。この類まれな状況認識能力と高い管制能力こそが、AWACSたるE-767の真価であるともいえるのだ。



 高性能旅客機から引き継いだ高高度の長時間飛行能力と、E-3から持ってきた高性能なレーダーシステムに、味方を導く高い管制能力が合わさったE-767は、まさしく日本の空を守る“守護神ガーディアン”とも言うべき存在であり、


 そして、日本の最高神かつ太陽の神たる“天照大神アマテラス”の名前をひそかに持つに相応しい機体であるといえるであろう……。




≫同日 19:41 静岡県 浜松基地≪




 その日の夜。太陽が沈み切り、空は真っ暗。地上は既に帰宅中のホワイト出身企業戦士たちが楽しい夜を過ごし、逆に残業中の企業戦士たちが妬みと恨みと憎悪を山積させていく時間帯に突入した中、1機のE-767が、静岡県の浜松基地へ降り立とうとしていた。

 つい1時間前まで、日本海上空で警戒監視任務を行っていた、羽浦たちが乗っていた機体である。任務を次の担当機に引き継ぎ、長時間の飛行の末、帰頭しようとしていた。


「――ランディングチェックリスト、コンプリーテド」


 コックピットでは、ちょうど着陸前の最終チェックの完了したところだった。パイロットらは、目の前にあるまぶしいランウェイライトに機首を向け、滑走路横で横一列に4つ並んでいる、進入角指示灯(PAPI)の紅白の光の数が左右均等になるように留意しながら、一直線に降下していく。


『ASTER 0-1, right of course.(アスター0-1、適正コースより右に逸れている)』


 GCAからの指示に従い、機体を若干左にずらして適正コースに戻す。その後も、GCAが適宜指示を出し、E-767が適正コースで降りられるように誘導していく。既に上空に立ち込めていた雲を抜け、その眼下に、浜松の町と、そして、帰るべき基地のランウェイライトが眩しいぐらいにはっきりと見えてきた。


『Guidance limit, take over visually.(誘導限界に来た。目視確認せよ)」

「HAMAMATSU final controller, ASTER 0-1, runway insight.(浜松GCA、こちらアスター0-1、滑走路を視認)」

『HAMAMATSU final controller, roger. After landing, contact HAMAMATHU tower 236.80.(浜松GCA、了解。着陸後は周波数236.8で浜松タワーと交信せよ)』

「ASTER 0-1, roger. Thanks guides.(アスター0-1、了解。誘導感謝する)」


 GCAからの交信が終了すると、そのまま機体は滑走路へ一直線に降りて行った。この日は風も強くなく、難易度の高くない着陸となった。滑走路上で機首を上げながら、後輪から「ドシンッ」と降りる様は、元となったB767から引き継いだ、他の空自機には中々ない力強さを感じさせる。急速に減速すると、近くの誘導路からエプロンへと向かう。


「HAMAMATSU tower, this is ASTER 0-1, landed.(浜松タワー、こちらアスター0-1、着陸した)」

『ASTER 0-1, this is HAMAMATSU tower, welcome back. Taxi to spot sierra-1.(アスター0-1、こちら浜松タワー、お帰りなさい。スポットS-1へ移動を許可)お疲れさまでした』

「ASTER 0-1, spot sierra-1, roger.(アスター0-1、スポットS-1了解)どうも。今日も女神さんはいいでいたと整備の連中に伝えといてくれ」

『了解』


 軽く洒落た返しをしつつ、無線を切ってスポットへと向かった。着陸に使ったライトは切って、ゆっくりと誘導路を移動。E-767は自衛隊機であるため、空港にあるようなボーディングはない。計3機駐機できるエプロンの東端側のスポットに移動すると、そこでは「お帰りなさいませお嬢様」とばかりに複数人の整備士たちが、各々の機材を横に置いてスタンバイしていた。マーシャラーが停止位置まで誘導し、E-767はそれに従いつつゆっくりと所定の位置に停止した。

 その瞬間、エンジンはすぐさま回転を緩めていき、同時に、整備士たちが一斉に機体に張り付いて各種点検を始めた。タラップも接続され、機外の安全が確認されたのち、ドアが開く。


 今日の任務を無事終えた隊員らが、ぞろぞろと機内から出てくる。自分が用意していた資料一式等を詰めた大きなバックを肩に背負いながら、ある隊員は疲れた表情で、またある隊員はホッとした表情で、別の隊員は、この後の夕食を楽しみにしながら。

 羽浦も降りてきた。隣には重本と百瀬も一緒である。目の前の格納庫内からの照明の光に照らされながら、3人もすっきりした表情でタラップを降りていく。


「今日の夕飯何でしたっけ」

「カレーだって聞いてるぞ」

「カレーですか? 海自じゃあるまいし」

「カレーは嫌いか?」

「大好きです」


 と、軽くボケて笑いを取りながらタラップを降りきると、今度は整備士たちの会話声を耳で拾う。


「今日も女神さんはいい娘にしてたと。パイロットが言ってたらしいな」

「最近は調子いいからな。整備することそんなにねえや」

「数ヵ月前までの改修と試験運用を終えたばっかりだしなぁ。ついでに結構な部品を新品に取り換えたらしいから、こっちはやることほとんどねえんだよな」

「引きこもり脱した後の反動かな?」

「ちげえねぇや」


 そんな会話の後の、げらげらとした笑い声。E-767のTACネームから、彼らの間ではこのように呼ばれることが多い。とはいえ、元ネタが元ネタなだけに、随分な言われようである。

 羽浦は振り返って機体を見た。女神、と仇名された“彼女”は、長期間のフライトを終えて、ゆっくりを羽を休めていた。


「……女神さんか。随分とどっしりしてる女神さんだ」


 元の太陽神さんも、余り引きこもりすぎると太るぞ、と誰に向けたわけでもない忠告を内心でやっておいた。言葉に出すと「誰が太ってるって!?」と、どこからともなく怒られそうである。その後、羽浦は先に行っていた二人の後を速足で追いかけた。




 ――夕食にすぐに行きたいところだが、まずはデブリーフィングである。

 ある種の反省会なのだが、この時は兵器管制官らで集まったものに羽浦は参加した。指揮官として重本が各種連絡事項やら、各々の管制官によっては修正事項等を伝えながら、次のフライトに生かす時間である。

 今回は特別な連絡などもなく、修正事項の伝達もそこまでなかったが、一つだけ最後に重本は付け加えた。


「えーっと、岐阜の実験団から要請があるんだが……」

「実験団?」


 岐阜の実験団といえば、飛行開発実験団のことである。空自の運用することになる航空機や装備品の試験と開発を担当する部隊であり、空自内でのそうした類の研究開発を統轄する航空開発実験集団の傘下にある。


「何でも、新しい機材の状態がどんなもんか意見きかせてほしいんだと。今後に生かすとかどうとか」

「て言っても、数ヵ月前まで自分たちでやってたじゃないですか、実地試験」


 一人の管制員の隊員がそう重本に聞いた。


 E-767は、実は去年まで近代化改修を行っていた。同じ装備を使っている米軍E-3のアップデートに合わせたものであり、この改修により、E-3ブロック40/45に相当する能力を持つこととなった。具体的には、新型ミッションコンピューターと電子式位置検索(ESM)システム、AN/UPX-40次世代型IFFシステム、AN/APX-119 IFFトランスポンダー、暗号処理コンピューター等の装備であり、これにはアメリカ政府やメーカーが協力している。

 今羽浦が乗ってきた機体は、上記の改修を終えた後、日本の浜松基地において、飛行開発実験団より派遣された実用試験隊の下で行われた実地試験をパスし、数ヵ月前に実任務に戻ってきたばかりのものだった。


 本来ならば、少なくとも1年間は訓練期間を設けて、その後に実任務に復帰とするべきなのだが、とある事情により、戻ってきてすぐの訓練を数か月に短縮し、直ちに実任務に置かれることとなった。そのため、本来はまだ習熟が完全に完了していないのである。警戒監視の実任務に入る直前に、RESCAPの訓練を差し込むという異例の日程を組むことになったのはこのためであった。


「その実験団、ていうか、実験集団の方に、どうもメーカーさんからお願いあったんだと。今後のAWACSのアップデートに使うんで色々とご意見下さいみたいな」

「自分らのE-3使えばいいじゃないすかねぇ……」

「それを俺に言われても」


 質問した隊員の愚痴にどうとも答えられない重本。メーカーはアメリカ企業なので、当然自らのE-3使ってやればいいはずという意見はご尤もなのだが、現在、東アジアでAWACSを頻繁に運用しているのは日本ぐらいであるからして、そういった地域での運用面での知恵を拝借したいのだろう。お得意様に対して、会社の方から「ご意見下さい」のハガキがやってくるようなものである。


「一応このアンケート用紙受け取ってるから、自由に書いて俺にくれ。上の方に渡しておく」


 そう言いながらアンケートを渡される。それを斜め読みしながら、羽浦は言った。


「結局、自分が旧バージョンと付き合ったのって最初ぐらいしかなかったですね」

「まあ、お前がここにきて数ヵ月したらもう今の新しいやつに乗り換えだからな。今後は、この新しい方をバンバン扱うことになるだろうが、まだ旧版に慣れてないお前の方が、すぐ順応できるだろう」

「いいよなぁ、お前は、昔の奴の苦労そこまで知らねんだから」

「ハハハ……」


 といっても、管制員が使うコンソール自体はそこまで極端な改修はされてなかったはずだが……と言おうとしたが、言ったら言ったらまた何か言われそうなのでスルーしておくことにした。面倒事は避けたい性分なのだ。




 デブリーフィングが終わった後の食事時。直前の少しだけあいた時間を使って、羽浦はスマホを取り出して、食堂脇の人気のない通路で電話をし始めた。


『もしもーし』


 出た。相変わらず呑気な声を出している。聞きなれた女性の声だ。


「LINE見たんだがな、また飯おごれってどういうこったお前」


 開口一番、羽浦は抗議声明を出した。しかし、撤回のつもりがないのか、むしろ声の主は要求を再度繰り返した。


『まあまあ、私そろそろ転勤だしさ? ちょうど4日ぐらい休暇取れそうだからさ、そっちも代休とってねえ?』

「代休なら何とかとれるけどさ、どこに行くってんだ。この前奢ったじゃんか、寿司と焼肉」

『ゴチでした』

「ゴチでした、じゃねえだろ。今度はどこだ? どこのファミレスだ?」

『東京』

「マジかよお前」


 こりゃあまた高いの払わされる奴だ……。羽浦は確信した。あと数日で給料日というところなので、今現在財布が少し軽い状態なのだ。大抵は飯代に消えるのだが、アイツは一体、俺に飯を奢ってもらうために貢物買う以外に何に使っているのか、羽浦の疑問は尽きない。


「東京とは随分と遠出するな。なんか買うのか?」

『いやぁ、飯奢ってもらうだけだから近場でいいと思ったんだけどね。遼ちゃんがそこがいいって』

「遼さんが?」


 意外な人物だと羽浦は驚いた。彼は積極的に外食に行く人とは聞いていなかったが、珍しいこともあったものである。しかも東京をご希望とは、ついに彼女に毒されたか? よろしくない背景を羽浦は案じてしまう。彼女はそういう人物であることを、誰でもない羽浦が一番知っていた。


『現地待ち合わせでいいって。1200に東京駅で』

「1200に東京駅ね。あー、じゃあ俺も含めて3人か。引率も俺か?」

『ううん、遼ちゃんが行きたいところあるからって。私は付き添いみたいなもん』

「ふーん。……あれ、ちょっと待て」

『ん?』

「てことはだ。お前、飯行きたい云々てまさか……」

『ああ、うん。半分くらいはこれに乗っかっただけ』

「……」


 羽浦は心に誓った。よし、東京駅に着いたらまずアッパーをお見舞いしてやろう。昼飯前の刺激にはちょうどいい。

 なぜ彼の東京観光ついでにお前がついていって飯まで奢って貰おうとしているのだ。彼に奢って貰えば良いではないか。なぜ俺まで巻き込まれねばならんのだ。羽浦の疑問はさらに追加された。彼の脳内は今「?」マークだけで小さな砂丘ができるぐらいに大量である。

 しかし、彼は何だかんだ言って彼女に甘いというか、懐が深いところがある。一つ少し大きなため息をつき、


「……わかったわかった。飯代だけだからな?」

『あざーす!』


 と、“お願い”を承諾した。いつものパターン。典型的な「チョロい男」に対する金銭的要求の流れである。彼女がそれを知ってやっているのかは、少なくとも羽浦は知りようがないが、彼女の性格から考えてたぶんないだろうし、そうでないことを祈るばかりである。いや、本当に。


「ファミレスってそっちでもう決めてるのか? あんまり高いのは勘弁だからな?」

『大丈夫大丈夫、そこまで高いのにはしないから』

「先週もそういって結局高い焼肉奢らされたの俺は忘れてないぞ」

『あるぇ~、そんなところいったっけ……?』

「忘れたんなら今度出会い頭に脳内ストレート食らわして思い出させてやってもいいが?」

『すいません今思い出しましたありがとうございます』


 電話越しに何度も頭を下げまくっているのが目に浮かぶ。その姿、さながら上司にいびられている新米サラリーマンの如く。彼女としても、仮にも奢って貰っている以上、頭が上がらないことはさすがに自覚しているようであった。


「まったく、今日もスクランブルあったはずなのに、こんなに元気とはな。お前らしいっちゃらしいが」

『あ、わかってた? 私上がったの』

「ロシアの電子偵察機とその護衛に対するスクランブルだろ? 小松からお前が上がったの見えてたぞ」


 羽浦が今日の任務中、昼食ついでの休憩を終えた後の話である。再び自分の受け持つ場所でレーダー画面をにらめっこしていたところ、スクランブルが小松から上がった。事前に国籍不明機探知の報は上がっていたが、要撃管制は地上のDCが受け持っているので、自分たちはあくまで状況監視と地上との情報共有程度に留めていた。その時に、小松から上がったのが、彼女であった。


「コールサインからしてばっちりだからな。何事もなくて幸いだが」

『まあただの偵察機だしねぇ。最近また多くなったけど』

「空の最前線らしくなってきたな。数年前はいったん収まりかけてたのに」

『やっぱそこからはバッチシ見えるもんなの? 空の最前線がどんなもんかって』

「そりゃもう。前線だってのがよくわかるよ。空から丸見えだからな。女神はちゃんと空から見守ってるよ」


 AWACSに勤務してまだまもない彼の声は、彼女にとっても非常に参考になるものだった。彼女はイーグルドライバーである。有事の際には彼から指示を受けることもあるだろう。ないのが一番だが、なった時のために、色々と聞いておきたいこともある。会うたびにその話題を振ってくるので、おそらく今回の首都観光でも同様であろうと、羽浦は今のうちに彼女に提供するネタを考えていた。彼女も喜ぶであろう。


「まあ、詳しいことはまた向こうに行ったら話すさ。そろそろ飯だ、切るぞ」

『へーい。じゃ、また東京でね』

「うぇーい、東京で」


 気の抜けたような返事をしつつ、電話を切った。一週間ぶりなのでそこまで時間は立っていないはずだが、やはり生の声というのは安心感があった。まだ元気そうなのがよくわかる。会うことはできないが、その分、声というのはそれだけ貴重なものともなっていた。



「……飯にするか」




 あまり時間もない。さっさと夕食にするべく羽浦は食堂へ向かった……

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