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第6話

 今回は戦闘時に陣形が描写されます。別にいちいち描写しなくとも陣形ぐらいわかるぜって方は後から投稿する第七話を見て下さい。陣形表示はMonoSpaceフォント等だと崩れずに見えると思います。


 俺達は様々な戦いを経て、アヘイズの街に着いた。

 色とりどりの活気に溢れている街は、復讐に燃える俺の心には無色に見える。

 俺達はアークの勧めもあり『森の木陰亭』という冒険者の宿に入った。宿の中は酒を飲み交わす冒険者が数人いるだけで、前の宿より静かな所だ。この宿は嫌いではない。俺はそう感じた。


「あれ、アークにエイラじゃないか! あんたたち、新しくパーティーを組んだのかい。 良かったよ、あのままだと引退しそうだったからね。」

「女将さん、僕達のこと覚えてくれてたんだね。嬉しいよ。」


「女将、相談事がある。」


 女将は黙っている。


「とりあえず換金を頼む。」


 俺は道中狩った魔物の討伐証明部位をタヒュから受け取り女将に渡す。


「これはすごいねぇ、さすがアークの新しいパーティーだ。ざっと2000Gはあるじゃないか。」


 金額としては多額なのだが、パーティー5人で狩ったとなると安い。やはり冒険者の本分は依頼を受けることにあるようだ。

 俺は女将から受け取った金のうち、10Gを渡す。


「で、何の用だい?」

「女将さんも人が悪いね。」

「当たり前のことを要求したまでさ。」

「ガルス、もしくはケオスという男に心当たりはないか? ガルスは黒い甲冑を着込んでいる。ケオスは赤い髪に三白眼だ。」


 女将は黙っている。


「負けだ。その様子じゃあ知っているんだろう?」


 俺はもう10G支払う。


「ガルスって男なら数日前に討伐依頼を受けていったよ。グルスト山の魔物退治だったから、今日明日中には帰ってくるんじゃないかね。あ、知らないかも知れないから一応言っておくと、グルスト山ってのはここからラ・ジュールまでの街道の脇にある山のことさ。」


 ラ・ジュールはアヘイズの隣の都市だが、かなりの距離がある。往復に数日かかるのは仕方ないことだろう。


「で、ケオスについてなんだけど……」


 女将は黙っている。


「はぁ……強かだな。」


 そう言って俺は10Gを支払う。


「そいつのことならガルスにも聞かれたよ。今情報を仕入れているところなんだけど、全く手がかりなしだ。」

「聞いて損した……」

「とりあえず、日帰りの依頼を受けましょう。ガルスが帰ってきたら、足止めしてもらえますよね女将さん?」

「50Gだね。」

「女将さん、商売人だねぇ。」


 エイラが呆れた様子で言う。


「ガルスが帰ってくるまで時間もあるから、日帰りの依頼を受けちゃおうか。」

「そうですね、そうしましょう。」

「そうだな。」


 俺達が日帰りの依頼を物色していると、店に慌てた様子の冒険者が入ってくる。


「女将さん! オークだ! オークウォーロードがこの街に向かっている!」


 オークとは二足歩行する豚だ。魔人の中でゴブリンに次いで二番目に繁殖している種族で、その繁殖力は恐ろしい。下級男系魔人で、知能が低く、粗暴なため一体あたりの脅威度はそれほど高くない、が群れた場合や強力なリーダーのオークウォーロードが群れを率いた場合は話が別だ。オークウォーロードはその強さ、統率力から中級魔人最強とも言われている。


「何! 数は!?」

「10はいた!」

「まずいね……今主要な奴らは出張ってるし、あいつらは酒飲んで完璧に酔っ払っちまってるし……そうだ、あんたらオークと戦ってきてくれないかね?」

「いくらだ?」


 俺は内心ほくそ笑んでいた。オークウォーロード。いい獲物じゃないか。ガルスなんてどうでもいい。早く殺したい。


「街から分捕れるから……4000、4500は堅いか? となると4000が相場か。討伐報酬抜きで4000Gだよ。」

「どうする? 俺は受けるが。」

「「賛成。」」


 エイラとタヒュは俺の案に賛成したが、アークは難しい顔をしている。


「よく考えて、オークウォーロードがウォリアーを抱えていたら僕らでもキツイかも知れないよ。」

「アーク、大丈夫だ。オークごとき、血祭りにあげてやる。」

「……危ないようだったら、撤退しようね?」

「撤退? 何を言っているんですかアークさん! オークごときに撤退なんて甘いこと言ってられませんよ!」

「そうよ!」

「大丈夫かな、このパーティー。」

「というわけだ。おいお前、オークのいる方角を教えろ。」

「へ、へぇ。東だ。東から来た!」

「よし、東に向かうぞ。」


 俺達は足早に東へと向かった。無論街の南で待機していたミリアは回収したが。


 東の丘は見晴らしがよく、オークウォーロードの軍隊は容易に見つけることが出来た。オークウォーロードは20体近くのオークを配下として抱えており、大集団だったことも探すのに苦労しなかった理由の一つだ。

 どうやら相手はウォーロードの中でも格下らしく、防具を装備したオークウォリアーや弓を装備したオークアーチャー等が見当たらない。アーチャーがいれば後衛である俺とエイラに弓矢が届いていた可能性もあるため、好都合だと言えるだろう。

「ひ、ひい! あんなオークの群れに突っ込むなんて、無茶ですよ! で、でも、退却なんてできないし……」

「行くぞ、タヒュ。オークごときに遅れを取ってたまるか!」


陣形です。オークはアルファベットで表記してあります。ウォーロードは将です。一文字10mです。


 OPQRS

 KL将MN

 FGHIJ

 ABCDE




  ミ ア

  ザ エ


   タ


 アークの野武士力によってか、俺達はオークに気づかれずに40mほどの地点まで接近することが出来た。ミリアとアークがオークに近づいていく。するとウォーロードがこちらに気づいたのか野太い声を上げ、それに気づいたオーク達がすぐさま俺達に向かって移動してくる。


 OPQRS

 KL将MN

 FGHIJ

 ABCDE


  ミ ア

  ザ エ



   タ


 ミリアがオークCに接近し、なぎ払いを仕掛ける。切り裂かれるオークB、C、D。さらに尻尾で連撃を仕掛ける。テイルスイングだ。オークB、C、Dは吹き飛ばされ事切れた。そしてアークの連続パンチがオークEへ向かう。痛みに悶えるオークEの脳天にエイラの弓矢が命中。オークEはそのまま息絶えた。


「フィレ、バルル、コマンド、ブート!」


 ファイアボールがオークAを焼き焦がす。熱に苦しむオークAは破れかぶれでミリアに攻撃を仕掛けるが、その程度の攻撃が当たるミリアではない。余裕で回避した。しかしオーク達はジリジリと俺達に近づいてくる。ミリアへのオークHの攻撃は難なく躱せたが、オークGの錆びた剣での一撃はかすってしまった。痛みに顔をしかめるミリア。一方オークIとJのアークへの振り下ろしは軽くいなされた。


 OPQRS

 KL将MN

FAGHIJ

  ミ ア


  ザ エ



   タ


 ミリアは近づいてくるオークに嫌な顔をしながら、再度なぎ払いとテイルスイングを試みる。オークA、Hは吹き飛ばされくたばったが、Gはかろうじてテイルスイングを回避する。だがGの幸運はそこまでで、飛んできたエイラの弓矢が命中しGは死んだ。アークはIに連続パンチを仕掛け、命中させる。


「ストネ、ブルレタ、コマンド、ブート!」


 俺の下級元素魔法ストーンバレットが仰け反ったオークIに命中。オークIは息絶えた。


 OPQRS

 KL将MN

F    J

  ミ ア


  ザ エ



   タ


 だがオーク達も8人もの同胞を殺されたのだ。一方的にやられっぱなしというわけではない。オークFはミリアの周囲を迂回して、俺の方に向かってくる。さらにオークK、Lがミリアに向かって槍を突き出す。回避したミリアだが、それは囮だった。オークウォーロードの戦斧の一撃を食らい、血を吹き出しながら吹き飛ぶミリア。そしてオークJ、M、Nの連携攻撃がアークに迫る。一撃目、二撃目は辛うじて躱すが、三撃目が命中。アークの背中から鮮血が飛び散った。正直かなりまずい状況だ。だがあのオークウォーロードはこの俺が、絶対に殺さなければならない。


 OPQRS

 KL将MN

F ミ アJ


  ザ エ



   タ


 ミリアはまたもなぎ払いに加えてテイルスイングを行う。ワンパターンなように思えるが、大規模な戦闘の場合これが最適解なのだ。オークK、Lには難なく両方共命中し、息の根を止めるがさすが中級魔人と言うべきか。オークウォーロードは両方共難なく躱す。そして問題なのはアークの行動だ。オークウォーロードを倒さなければ死人が出るが、オークJを倒さなければエイラが危ない。アークはウォーロードを倒すことを優先したのか、ウォーロードに掌破を使い、内部破壊を試みる。くぐもった悲鳴を上げるウォーロード。


「ストネ、ブルレタ、コマンド、ブート!」


 さらにストーンバレットの追撃がウォーロードに命中する。


「癒やしの神アイフィスよ、ヒール!」


 ヒールによりミリアの傷が回復していく。エイラはミリアとアークならミリアのほうが深手だと判断したようだ。


 予想外に恐ろしいオークの群れ。……なぜ俺はこいつらをこんなに敵視しているんだ? 俺達のいる街が襲われそうだった。たったそれだけじゃないか。それも俺と関係ない住人たちの話だ。何故だ? 自分で自分が分からなくなっていく……


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