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3-3 補佐官の素顔

 ③


 ずっと謎だったトウドウさんのフードの下を見せてもらった。

魔界の女性のかっこいいの基準がわからない。私だったら美形で優しい魔王さまに一直線だが、魔王さまよりモテているらしい。なんでだろう、ちょっと(かなり)危ない感じの雰囲気に弱いのだろうか、こっちの女性は。

「どうや?しびれるぐらいのかっこよさやったろ」

「ええ、しびれますね・・・違う意味で」

もう半目だ。自信満々のトウドウさんは、その素敵なお顔をフードで隠すと入ってきたペン子と入れ替わるように出て行った。


「ねえペン子」

『なんですか?』

「トウドウさんの顔ってさ、かっこいい?」

『なにをおっしゃいますやら・・』

ペン子はほとほと呆れたような目をした。やはり私と同意見のようだ。

「だよね~。あれは」


『ものすごく、かっこいいに決まっているではないですか』


「へ?」

飲み物の準備をしてくれていたペン子は手を止めて熱弁しだした。

あのまなざしとか流れる髪、雰囲気等をうんたらかんたら小一時間は熱く語っていた。

一向に終わりそうにないその熱弁が、ようやく終わりそうな頃合いを見計らって話しかけた。

「ペン子ってもしかして、トウドウさん命!!とかいう感じのペンギンなの?」

『コホン、そうですね。わたくしの主は陛下ですが、わたくしの心を握っておられるのはトウドウ様だけなのです!!ああ、あの麗しい包帯のお姿をまた拝見したい・・』

「誰かーー獣医を呼んでくださーい、ペンギンが妄想言ってまーす」


 夜、一人は寂しいからと魔王さまが夕食に誘ってくれた。

「どうしたの?のばなちゃん」

夕方の衝撃が忘れられず、私はトウドウさんを凝視していた。トウドウさんは食事をとらないのか、魔王さまの背後に控えたまま身動きも取らずにじっと佇んでいた。

「えーあ、いや・・あの、魔王さまってトウドウさんのフードの下見たことある?」

本人は目の前にいるが、気にせず直球で聞いてみることにした。悩み事なんて私には似合わないし。

「え?トウドウの?もちろん見たことあるけど、それがどうかした?」

「あー実は、今日見せてもらって・・・・衝撃が」

思わず苦笑して話してしまう。すると魔王さまは納得がいったようにこちらも苦笑した。

「ああ、怖かったよね。僕も初めて見せられた時は怖かったよ。包帯の上にサングラスなんてものが目の前にあったらびっくりするよね」

ここにきてようやく普通の間隔の人に出会えた。やはり私の間隔は間違っていなかったようだ。

「二人して失礼やな」

すると、今まで黙秘を続けていたトウドウさんが話しに入ってきた。

「いいか嬢ちゃん。これはな、魔界流のファッションなんやで?魔界の男で長身のやつは大概、包帯にサングラスしとるんや。陛下は小さいからしてないだけや」

「うっそ!?」

「なはは、嘘や」

「うがーーーー」

私をからかうのがお気に召したのか、夕食を食べる私の隣で八割方が冗談の話を連発していた。いちいち騙される私も私だけど。

ペン子曰く、会ったばかりの人(魔人)に対してトウドウさんがこんなにも話すのは珍しいらしい。

とても幸運だというペン子だが、そのほとんどがジョークのためあまり嬉しくはない。が、先ほどのような恐怖心が少し減り、普通に話せるようになったことは嬉しいと思う。

その光景を微笑ましそうに眺めている魔王さまは、トウドウさんの冗談を止めようともしないので同罪だ。にやけ顔がむかつくことこの上ない。


しかし夕食の後、お詫びとしてデザートにプリンを頂けたので魔王さまのみ許すことにしよう。



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