表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/32

2-2 魔界の王は意外と〇〇

 ②


 前回の説明をしよう。

魔王さまのご先祖様が魂となって帰ってくるからその器になれ、と言われたところそれを拒否。

拒否された魔王さまは落ち込み、なんと涙を流し始めてしまった。意外にヘタレのようだった、以上。


美味しそうな朝食が冷めていく中、私の反抗は続いていた。

「知らない幽霊に体を貸すなんて嫌だよ!あなたが貸せばいいじゃない」

「うっうっ、それが無理なんだよ。魔族同士じゃ体が拒否反応を起こしちゃうんだよ。変に力を持った者同士は相容れないみたいなんだ。でも、その点人間ならなんの問題もない!お願いだよ~、ちょっと肉体を貸してくれるだけでいいから、ね?」

小首を傾げて問いかけてくる魔王さま。しかし、私の返答は冷めきっていた。

「おじさんが可愛い声をだしても可愛くないです」

「ガーン!・・おじさん・・僕おじさん?」

魔王さまは壁に向かって独り言を言い始めた。俗にいう懺悔ポーズという体制で。

「自分、学習できんの?」

「いや私だってツッコみたいわけじゃないんです。もうトウドウさんが説明してくださいよ」

「嫌や。とりあえずパーティが終わったら帰れるんやからそれまで我慢しとき」

「なんで私がわがまま言ったみたいになってるんですか。学校とか親とかどうするんですか!」

「そこは大丈夫~」

魔王さまが復活した。打たれ弱くても復活は意外に早いらしい。

そして魔王さまの説明によると、魔界と地上界では時間の流れが違うらしく、こちらで1週間過ごしてもあちらでは1時間も経っていないらしい。うん、とても便利だ。

「へー。じゃあパーティはいつ始まるの?」

「5日後や。せやから問題ないやろ?ガタガタ文句言わんと大人しくしとき、うっとおしいわ。じゃ、俺は外に出てくるわ」

トウドウさんはそう言うと魔王さまに一礼して出て行った。いきなりの態度の急変に驚き固まってしまった。


「あはは、ごめんね~。悪気はないんだけど、初対面にはどうしてもああいった態度を取るんだよ。気にしないでいいからね」

いや、気にするだろう。意外に怖いぞあの人。フレンドリーかと思えばいきなり話しかけるなオーラを出してきたよ。そして強引に話を終わらせ、去っていった。

魔王さまは本当に申し訳なさそうに謝ると、お詫びとしてケーキを差し出してきた。なぜ朝からケーキ?あ、私が言ったからだ。

断るのもアレなので有難く頂戴することにした。

「モグモグ。さっきの続きだけど、魔王さまの先祖ってことは前の魔王さまってこと?・・・ですか」

今さらだが敬語を使うのを忘れていたので使ってみる。が、私のたどたどしい敬語を少し笑い、敬語は使わなくてもいいと言ってくれた。

「そうだね。僕の代よりかなり前の王だよ。後、付け足して言うなら有力者の悪魔が後4人は魂帰りを行う予定なんだ。だから君以外にも生贄となった人間がいるはずだよ」

「え!?私みたいに拉致られたりとか、騙されて性悪な悪魔にいびられたりとかしているのかな」

「え!?僕たちはそんなことしてないよ!せいぜい騙して拉致ってるぐらいだよ、ね?」

『陛下。人間の常識で考えますと、そこが問題だと思いますよ。ゴホン、とりあえず、のばな様には魔界の常識を叩き込まなくてはなりませんね。やっかいなことをされても困りますし』

ペン子がかなり失礼なことを言っている。しかし、ツッコミにも疲れてきたので軽くシカトをしながらチョコレートケーキを頬張る。

その間にも話は進み、パーティまでの5日間魔界の常識と淑女のたしなみを教えられることになった。はっきり言うととても迷惑だ。

「いやいいよ。今の私で十分満足だからさ」

『何をおっしゃいます。どこを見たら満足できるのですか、可哀想に・・』

「お前それかなり失礼だからね?」

ペンギンの表情はわかりにくいが、かなり哀れなものを見るような目をしている。

「まあまあ、ちょっと常識を入れてもらうだけだから、ね?」

魔王さまがフォローのようなものを入れてきたが、正直、私の苛立ちを上げただけだった。

「それ私に常識がないって言ってる?ヘタレはちょっと黙ってて」

「ひ、ひどい・・」

『陛下になんて口の訊き方をしているのですか!』

天下の魔王陛下はまたしても壁に向かい懺悔ポーズをしながら泣いていた。美形が台無しだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ