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8-1 真実とは意外にあっさりしたもの

 ①


 封印されていた死神に拉致されて、私は今大きな木のてっぺんにいた。そして向かい側の木にはラスボスと名高いトウドウさんが面倒くさそうにしゃがみ込んでいる。


先ほど、このとても面倒そうにしている男から爆弾発言が飛び出してきた。私はというと今のを幻聴だと判断し、確認のためもう一度聞いてみることにした。だって、もしかしたら名前の同じ別人かもしれないわけだし。


「あの~今なんて・・?」

「ああ?嬢ちゃん、人の話は一回で聞けるようにならなあかんで。せやから俺のオフクロがプレジルいう名前なんや」

いつもであればげんこつが飛んでくるのだが、今は距離があるため助かった。そのトウドウさんはというと不機嫌そうにしつつもはっきりと断言していた。やはり幻聴ではなかったらしい。

「えーと・・名前が一緒なだけで死神さんが探している人とは別人なんじゃ・・」

「嬢ちゃんの声と似とるんやろ?確かに俺のオフクロも嬢ちゃんの声にそっくりやねん。名前一緒で声まで同じやつなんか早々おらんで。まあ、俺はそんなん気にしたことないけどな」

「確かに・・・・ちなみにお母さんの髪の色って何色でした?」

「あん?金や金」

「お前も金色の髪だろう、プレジル?それよりも・・」

確定っぽい気がする。ということは本当にプレジルさんはトウドウさんのお母さんということになる。あれ?待てよ。お母さんということはどういうことだろう。死神と別れた後に結婚して子供ができたのだろうか。


「プレジルの子・・・・?」

死神がポツリと呟いた。

「おう!」

死神が動揺しているのに対し、トウドウさんは楽しそうに答えた。他人が動揺している姿が面白いのだろう。最低だ。

「貴様・・・・嘘をつくな!!プレジル嘘なんだろう?」

「えーと、だからプレジルさんじゃないから答えられないんだってば!!」

「嘘なんや言うても何も得することないやろ、アホか」

「嘘だ嘘だ・・ブツブツ」

そのまま虚ろな表情でブツブツと呟き始めてしまった。はっきり言おう、とても怖い。本当に早く解放してほしい。

「ちょっと、あの早く助けてくださいよ!怖いんですけどこの人・・」

「あ?もうちょいええやろ。おもろいし、俺が」

「自己中とか本当にやめようよ!!?っていだだだだだだだ!!!」

トウドウさんに懇願していると、腰に回っている腕が思いっきり力を込めてきた。背中の骨がミシミシいっていて本当にヤバい。抵抗するべく死神を叩いてみてもまったく気づくことはなく、私は生命の危険を感じた。

「ぎゃあ!ほんっとうに痛いから!!!もう、トウドウさんってば!!!」

本当に痛みでイライラしてしまい、つい向かいのフード男を睨みつけてしまった。その睨まれた本人はというと、深いため息をついて指を鳴らしていた。


「ってあだっ」

瞬時に場所が移動し、今度は木の根元付近に落とされた、顔面から。もう少し優しく助け出してくれてもバチは当たらないと思うが、これ以上言うと後々が怖いので素直にお礼を言っておこう。

助け出してくれたトウドウさんも木から飛び降りるといきなり米俵のように私を担ぎ出した。

「重いな、嬢ちゃん」

「乙女に向かって失礼ですよ!?てか何するんですか!」

「どこに乙女とかおんねん。いいから大人しくしとき。ほら、アイツも来たで」

担がれているためトウドウさんの背中側に私の顔がある。仕方なく海老ぞりをして後ろを見ると、いつの間にか死神も降りてきていた。

「おう。もう混乱は解けたんか?」

相変わらずトウドウさんの話しかけ方は軽い気がする。いじめたくて仕方ないような、新しいおもちゃを見つけたようなそんな感じだ。

「・・・・・プレジルと誰の子だ」

死神はそんなトウドウさんの態度を無視して低い声で話しかけてきた。

「知りたいんか?」

「・・・・・」

「ははっ教えたってもええんやけど、普通に教えてもつまらんしな。・・・・・・せや、教えたったら大人しく封印されるゆうんはどうや?」

顔は隠れていて見えないが明らかに楽しんでいるだろう口調で話している。絶対に顔はニヤついていることだろう。

そんな条件を死神が飲むはずもなく、体からまたしても黒いモヤを吹き出し始めた。

「ちょっと!トウドウさんが怒らせるからまたモヤが出てきてるって!!」

「ちょっとしたジョークもわからんとは。そりゃオフクロに愛想つかされたかてしょうがないで」

「!」

その一言で一気にモヤが吹き出し襲い掛かってきた。トウドウさんは私を抱えたまま後ろに跳んでそれを避けると楽しげな口調で話し出した。

「おっと。俺の親父んことが気になるんやろ?せやったら少し落ち着いて話させてくれてもええやろ」

「・・・・・・早くしろ」

死神がそう呟くとモヤはその場で蒸発していった。




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