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7-2 生贄交代?

 ②


 若干(本当に少しだけ)落ち着きを取り戻した前王さまに魔王さまが話しかけた。

「ファーレ様。そのお姿で死神は封印できそうですか?」

「それよりペン子は大丈夫なの?」

今さらだが生贄にされたペン子が気になった。

「ああ、そうだね。ホロも使い魔としての力を持っているし、ファーレ様が入ったことで容量オーバーしちゃうかも・・」

「オーバーって、どうなるの?」

「ホロの方が力が弱いからファーレ様の力に飲み込まれてしまうんだ。そうなったらホロの身体がもたない、精神が崩壊して消滅してしまう・・・・。だから生贄は人間にやってもらっていたのに・・」

「!!」

消滅って。かなり深刻な事態だった。ペンギンに乗り移った前王さまを笑っている場合ではなかった。早く戻さないと。いや、戻りたくないけど。

「ど、どうしよう、どうしよう」

「お、落ち着いてのばなちゃんっ」

私の動揺が移ったのか魔王さままであたふたしていた。

「落ち着けるか!魔王なら魔法でも使って元に戻してよ!」

「そ、それは無理だよ~。いくら魔王でも万能じゃないんだよ?」

「役立たずだなあ」

「がーん」

『ちょっとあんたたちいい加減にしなさいよ!!このファーレ様を無視してんじゃないわよ!!』

そういえば前王さまが下にいるのをすっかり忘れていた。恐る恐る下を覗き見るとかなりご立腹のようだった。そして魔王さまはというと、いつもの懺悔ポーズで涙を流しながら前王さまに話しかけていた。

「もうしわけありません、グスッ。少々お待ちいただけますか。・・・・・・すっかり忘れていたね」

「うん。もうめんどくさいね」

『ちょっと!今めんどうくさいとか言ったやつ誰よ!処刑するわよっ』

ペンギンになってもプライドの塊である前王さまには待ては難しいらしい。

対策を考えるべく、いつの間にか遠く離れていた(避難していた)トウドウさんを呼ぶため大声を出した。


すると、一瞬にして鎖から解放された死神が私の目の前に現れた。魔王さまの張っていた壁も粉砕されたようだった。


「!のばなちゃん!!」

「え」

魔王さまに呼ばれた時にはもう遅く、私は死神の羽織っているマントの中に引き込まれていた。


数秒の間抱き込まれたままだったが、ハッとして死神の腕から逃れようともがいた。それにしても先ほどまでは、魔王さまたちの声が聞こえていたのに今は驚くほど静かだ。どうしたのだろうか。

「ぶはっ苦しいってば!!」

息苦しさに必死にもがくとようやく腕が緩んだ。その隙をついて死神から距離を取るためマントから顔を出し、足を後ろに出した。

「ひいいいぃぃぃ!!!?」

が、急いで死神にしがみついた。なぜかというと、ここが大木の頂上だったからだ。

「ひいいっ何ここ!!どこ、ここ!?魔王さまたちは?会場は?」

必死にしがみつきながら上を見上げた。すると死神は目を瞑っているものの、優しそうな顔でこちらを見ていた。そして私の頭を撫でながら口を開いた。


「久しぶりだな、プレジル」


どなたと勘違いをしているのだろうか。

「あの~・・・私プ、プジル?さんではないんですけど」

「何を言っているのだ、お前はプレジルだろう。この声を間違えるはずもない」

どうやら声が相当似ているらしい。間違えてるけど、思いっきり間違えてるけど。

「いやだから別人なんですって!私は草間のばなです。プレジルなんて名前じゃありませんから!」

先ほどよりも強めの口調で言ってみた。が、何故か死神は笑みを更に深めた。

「何を言う。その声、口調まさしくプレジルだ。ああ、会いたかったぞ」

「ひいいいっ!!間違ってる!間違ってるから顔を近づけてこないで!!」

顔を寄せてきたので思いきり引っ叩いて拒絶した。さすがにこれだけ拒絶すれば間違いに気づくだろう。気づいた後の怒りが怖いけど。

「プレジル・・・あの時の事を怒っているのか?あれは確かに私が悪かった。反省しよう。・・・・・ところでプレジル、会わない間に随分と体型が変わったな。別人のようだぞ」

「うるさいよ!?てか別人だから!当たってるから!」

ここの住人はセクハラ発言をする人ばかりなのか。まともな男性がいないよ。そしてこの死神はまったく聞く耳を持たないらしい。いい加減面倒臭くなってきた。

「コホン。とにかくほんっとうに貴方のことは知らないですから!貴方の名前も知りませんし、そもそもプレジルさんって方は人間じゃないでしょ?私は人間なんです!」

「私の名を忘れたのか・・・。そうだな、確かに人の気配はするが・・・プレジル転生でもしたのか?」

「そうじゃないって!!」

ダメだこの人。私の手には負えないようだ。魔王さまたちが助けに来てくれるのを待とうかな・・。




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