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恋物語の片隅で  作者: 那智
合宿
56/64

別荘に向かいましょう

はっはっは。よーやく更新できたよ。三か月ぶりとかクソか。


サブタイトル別荘とか言ってるけどほぼ海のお話の続き。


逆ナンという突発的遭遇戦を切り抜けた俺であるがコンビニを前にして最大の試練が待ち受けていた。

さて、ここで少し考えてほしい。

何度もいうようだが本日は晴天快晴。雲ひとつない青空である。それ自体は夏真っ盛りというか海に来ているという俺達にとって素晴らしいものなのだが……それはつまり日光が地面にダイレクトアタックしているわけで……太陽に熱せられた地面はまるで鉄板の如し。その上を通るすべての人間の足を焼き肉にしようなんてそんなことは企んでいないだろうけどそれでも防具のひとつでも付けていないと足の裏が悲惨なことになるのは確実だ。

そして今の俺は裸足である。海だからといっても油断した、不覚。サンダルはパラソルのところに脱ぎ捨てたままだ。取りにいくにもここからは少々距離があるからめんどくさい。

というかこれマジで洒落にならないんだけど。めっちゃ熱い。これはマジで足の裏が焼き肉になるレベル。ここが地獄か。


そんなこんなで苦痛に顔を歪めそうになりながらもなんとかコンビニまでの道を渡りきった。達成感を感じると同時に救いを求めて店内に入った……ら寒い!

どうも強めに冷房をかけてあるっぽい。これは涼しいではなく寒い。床のタイルも素足ではひゃっこいし。いや熱せられた足に冷たいのは嬉しいんだけどさ………足の裏ひりひりするねん。地味に痛い。

不快な気持ちで買い物を終え、そして気づく。帰りもあつあつアスファルトルートだ。救いなんてないんやね。


熱々のアスファルトで足の裏を焼かれたあと、これまた熱い砂を足の裏に擦り付ける拷問を乗り越え俺はパラソルの元へと帰ってきた。長く辛い旅路だった。いやマジで。

帰還をはたした俺はすぐさま日陰で一休み――はせず、白波先輩にペットボトルのお茶を放り俺は海に足をつけた。

じゅうぅぅぅ!なんて音が聞こえてきそうなぐらいの勢いで足が冷える。ああ、これで塩分が含まれていなければ最高なのに。

というか足が落ち着いて気づいたけど海にいたメンバーいなくね?どこにいったのやら。

そんなことを考えていると緑川先輩と小鳥遊先輩が波打ち際で戯れているのが目に入った。同時に少し離れたところから二人をガン見する桜田先輩の姿もあったがそっちは目を反らしておく。

どうやら浜辺でのいちゃいちゃを終えて水辺でいちゃいちゃするつもりらしい。なんかこの人たちずっといちゃいちゃしてるけど飽きないのかなー?飽きないんだろうなー。

というか『物語』ではなんやかんやであり得なかったカップルだけど思ったよりベストカップルになったなこの二人。

小鳥遊先輩は驚くほど余裕がある人になった。ずっとスト……げふん、影から見ていたからか緑川先輩がどんな人なのかをよく知っている。だから緑川先輩がちょっと女の子に声をかけた程度では怒ったりしない。

緑川先輩は言動こそ相変わらずだけど浮気に見られるようなことは一切していない。お喋りはするけど小鳥遊先輩以外とデートしたりプレゼントを贈ったりなんていうのはなくなった。

最初はキャラ的に意外って思ったけどよく考えたら緑川先輩も乙女ゲームの攻略対象キャラなんだから一途なのは当たり前なんだよな。というかルート入ったのにほかの人に粉かけまくるキャラってそういう嗜好がない限り嫌すぎる。それが許されるのはハーレム系主人公だけです。


足も冷まし終わったしまたパラソルのところで本読むかなんて思ってたらいちゃいちゃしてたはずの小鳥遊先輩に声をかけられた。なんですかいちゃいちゃワールドに巻き込むのだけはやめていただけませんか。そして視界の隅にいる桜田先輩が妙に怖い!


「小鳥遊先輩どうしたんですか?」


「紫苑さんに伝言を頼まれたのを思い出しましたの」


伝言とな?


「紫苑さんたちは向こうでビーチバレーをすると言っていましたわ。 それで黒田さんも気が向いたら来るようにと」


なるほど。まあただ泳いでるだけってのも飽きるよね。なんやかんやで朝から泳いでるし。俺泳いでないけど。

にしてもビーチバレーねえ……ああ、最近前世の記憶、というか乙女ゲーム知識がまったく役にたってないがこれは覚えている。

たしか誰かのルートで起こるミニゲームのひとつだったはずだ。たしかこの場合は白波先輩だったか?忘れた。

これらのミニゲーム一応勝敗はあるのだが勝っても負けてもなにもない。具体的にいうと勝っても好感度は上がらないし負けても下がったりしない。本気でただのミニゲームなのだ。

好感度変化がない理由は球技大会の時とは違ってゲームではこの時期ほぼルート確定しているからだと思われる。それにやることなすことに毎回好感度を絡めていたら純粋に楽しめなくなる。だから製作陣もミニゲームに好感度に絡めなかったのだろう。


それはともかく。


白波先輩が荷物番として残ってくれるらしいのでとりあえずみんなのとこに行くことにしよう。

あ、ちなみに俺はビーチバレーとやらに参加するつもりはない。人数的に考えて間違っても巻き込まれることはないだろうし、それ以前に俺に球技なんてさせたらひどい有り様になることは目に見えているのだ。

だというのにこの幼馴染ときたら観戦モードになろうとした俺を引き留めやがりましていったいどうしたというのでしょうか。


「やる?」


そう言って目の前にボールを差し出してくる紫苑。


「お前なあ……俺にボール持たせたら大丈夫大変なことになるのは知ってるだろう?」


「あれは、な……」


「うん。 この前見たとき変な方向に磨きがかかってたし」


無理って言ったら紫苑どころか黄野にも同意された。自覚はしてるけど他人に言われると傷つくんやで?


「そんなにひでえのか? 」


話を聞いているだけだった赤海先輩が話に入ってきた。そういや赤海先輩は俺のボールさばき(笑)見てないんだっけ。球技大会の時サボってましたよねたしか。

そういえば球技大会の時にサッカー部の先輩、猛特訓して二年でレギュラー確定したって黄野が言ってたな。……猛特訓の理由、俺のバグ技だったりするのかな?その場合そのうちリベンジとか申し込まれんだろか。あれはあの場限りの奇跡とかそんなんだからやめていただきたい。

帰ったあとのことに不安を抱く俺を尻目に更に田辺先輩や青葉先輩も会話に混ざってきて話がどんどん大きくなっていく。やめて。


「へーえ、その時クラスで魔球を打ってくる一年がいるって話題になってたけど黒田くんだったの」


魔球!?いやたしかに変な球だったけども!というかバグっているけども!


「見てみたいな」


「えっ」


何をおっしゃる田辺先輩。なぜ地獄の門を進んで開けに行くのか。そして止せばいいのに赤海先輩もなぜか便乗してくる。


「なんだったら教えてやるぜ。 どれ程のもんかは知らねえがそうすりゃちっとはマシになるだろ」


「無理でしょ」


「そうそう。 私もスポーツはできるほうだからね。 お手伝いぐらいなら……」


「無理でしょ」


……この幼馴染ひどくないですか?とことん否定してくる。というかやる?って最初に聞いてきたのお前


「だって今までだって何度か直そうとしたけど結局ダメだったでしょ?」


痛いところを突かれた。なにも反論できない。ぐうの音もでないとはこのことか。


「……いやでも…もしかしたら改善してるかもしれないし……試してみるのは大事じゃ……」


そう言ってくれるの青葉先輩だけですわ。あ、涙が……。


そんな感じで話している間にあれよあれよと流されて試してみることに。ぐぬぬ、どうしてこうなった。

まあとにかくやるからには全力でやらせてもらおう。

見よ!これが今の俺の力だ!





変わってませんでした。

…………うん、知ってた。だってサッカーの時みたいに練習とかしてないもの。自然に改善とかあり得ませんわ。

ま、まあなんにせよこれでビーチバレーに参加しない大義名分ができた。みんながビーチバレーを楽しむ様を高見の見物とさせてもらおうじゃないか。別に泣いてない。


―――と、思ってたんだけどねぇ……うん。

どうもビーチバレーの様子を見物するのは無理らしい。いや参加している訳でないのだがそっちに意識を割く余裕がないのだ。


だって隣に水着の及川が座っているんだもの。


「…………」


「…………」


太陽光を遮る傘の下、俺も及川も喋る訳でもなくただ座っているだけだ。だというのに俺の心は大荒れ模様。

ひぎやぁぁぁぁ!なにこの空気どうしろと!と叫ぶ心を必死で押さえつけているのだ。

そんな俺を余所にビーチバレーやってる

こんな精神状態では怨めしく思えてくる。転んでしまうがよいぞ。できるだけ盛大に。


いや待て落ち着け俺。まずは落ち着くことが大事だ。今までだって大変な時はそうしてきたじゃないか。

それにどこかの誰かも言ってただろう。「おちつ、落ち着けつあばばばばばばば」と。ダメだこれ全然落ち着いてない。

しかしなぜ及川不参加なの?及川は球技できる人でしょう?しかしそれを聞くのも……いや話の、この空気が変わるきっかけになるならば!


「及川は参加しないのか? さっき断ってたみたいだが」


「あ、うん。 泳ぎ疲れちゃって」


「そうか」


「うん…」


「…………」


……会話終わっちゃったよ。

わーい、気まずい。空気欠片も変わってないよ。

くそう、無理な会話は続かないか。というか続く話題でもなかったし。そもそも俺も及川も本以外のことではベラベラ喋らんしなあ。

……というかさっきからなんかちらちら見られてるような。


「どうした及川?」


「えと……なんでもない」


なんでや!なんでもあるやろ!

ダメだ。お互いに緊張してしまってるのか会話が続かない。これも水着ってやつのせいなんだ。

ビーチバレーしてるみんながワイワイやって、たまに悲鳴が聞こえてくるのに対してこの付近だけは無言。なんぞこれ?


「ね、ねえ黒田くん!」


うおっ、ちょっとびびった。


「どうした」


「えっとね、副会長さんの別荘に着いたら天体観測しない? 星がとっても綺麗なんだって」


「それは良いけど望遠鏡はどうするんだ? 俺はなくても構わんが」


「それなら副会長さんが貸してくれるみたい。 すごいよね副会長さん」


持ってんのかよ白波先輩。まあ助かるけど。


「ほんと金持ちっていうのはすごいな」


にしても孤島で天体観測か……良いな。

いつもとは違う場所で見る夜空なんてなんか楽しそうだ。周りに明かりがない分はっきり見えたりするんだろうか?なんにせよ楽しみである。


そして会話が途切れ再び訪れる沈黙。すでに第四回とかその規模に達している。つらい。

わ、話題。話題はないか?

本の話題はどうだ?いーや待て待て、海難事故の本なんて薦められるかよ。というかなんで俺そんな本チョイスしたし。そんな本の話してもすぐ会話止まるわ!

たしかになんか極めれば何も話さなくても居心地はよい感じになれるとは知ってるよ?だけども自然な沈黙ならともかく気まずい沈黙はノーサンキューだ。というかそういうのってガチの親友か熟年夫婦ぐらいしかできない所業だ。

もちろんそんなのはカップルですらない俺と及川では不可能。なのでこの空気を変えるために意を決して口を開こうとして――――俺の顔面にボールが直撃した。当然口を開くタイミングは逃した訳である。


「あ、やべ」


ああ、その声は黄野だな。そうかお前が犯人か。

ふ、ふふふ、ふふふふふふふふ。そうかそうかなるほど、戦争がお好みか。というかどうしてこんなジャストなタイミングで妨害が入るし。どうせならもっと早くやれよ。せっかく覚悟決めたのに遅いんだよ。

出鼻を挫かれたなんとも言えない気持ちをまるごと黄野にぶつけるために側に転がっていたボールをひっつかみ駆けだした。





黄野への制裁は無事終えた(ボールで殴り倒した。 だって投げてもどうせ当たんないし)もののそれから及川とはまともに話すことができずに移動の時間となってしまった。

まあスッキリしたからいいけどね。八つ当たり染みちゃったけどどうも最近もやもやすることが多かったからちょうどよかった。……ある意味ここからが本番みたいなもんだし。


そんなわくわくとドキドキを胸に白波先輩ん家の自家用船に乗り込む。

うん、だいぶ麻痺してきたけど自家用の船ってなんだ。漁師と違って使うことは稀だろうにやっぱりお金持ちって頭おかしいな。きっとレンタルって概念がないに違いない。あってもテーマパークを貸しきるとかきっとそういうレベルでしかレンタルしたことがないに違いない。

というわけで船に揺られること三十分ほど。

途中紫苑や黄野の顔色が青くなったり、はしゃぎすぎた田辺先輩がなぜか船から落ちそうになったり、少しばかり白波先輩の話を聞いたりしたものの何事もなく無事白波家所有の島に着いた。


「お久しぶりです泰斗様。 そしてご友人の皆さま方も遠路はるばるようこそいらっしゃいました」


船から降りた俺たちを出迎えたのは迎えに来てくれたらしい使用人さんが白波先輩と俺たちに頭を下げる光景であった。なにこれまじ別世界の出来事。


「では参りましょうか。 ……泰斗様、楓様がお待ちしております」


使用人さんがそう言った時、一瞬だけ白波先輩が顔を強張らせたことに気づいた。

楓様―――それが白波先輩の婚約者の名前だったはずだ。というかいるんだ。ここ白波先輩んちの別荘じゃないの?共同でお買い物したか……もしくはそういうの気にしないぐらい家同士が親しいのか。

まあなるようになるしかないよね。だって相談されたり協力してくれって頼まれてたって俺あくまで外部者ですし?

ま、頼まれた分はお手伝いしますよ白波先輩。そんなエールを心の中で送るのだった。


別荘はここからちょっと離れたところにあるらしいのでそこまで歩くことになったのだが……どうしてこうなった。

案内役として先頭を歩く使用人さん。喋りながらそれに続く紫苑と白波先輩。疲れ果てて口数が少ない青葉先輩、黄野の二人。緑川先輩と小鳥遊先輩は珍しいことに赤海先輩を交えてなにか話している。そして及川は田辺先輩と桜田先輩と静かに喋りながらなにか気になることでもあるのかちらちらとこちらを窺っている。

なんで俺孤立してんの?なんで一人で黙々とウォーキングしてるの?なんかした俺?なんていうかさ、微妙に居心地悪いんだけど。

つか今回の合宿最初に一人で本読んでた時ぐらいしか心休まってないんだけど。どういうことだ。しかもこれから先は白波先輩のお手伝いとかもしなきゃならないから絶対心休まらないし。

後々話を聞いたらこの時の俺はなんか難しそうな顔してたからみんな気を使って距離をおいていたらしいんだけどそんなことを知らない今現在の俺はなんとも言えない疎外感を感じながら歩くしかなかったのでした。なんてこったい。


そして簡素ながら妙に整地された道――絶対お金かかってる――をしばらく歩くと目的地が見えてきた。


「わあ!」


「すげえな……」


「うん、予想はしてた。 予想はな……」


それはなんというか…………なんかゲームとかに出てきそうな大きな洋館だった。



なにこれ事件起きそう。


実は水着回今回で終わりじゃないです。

あとで及川さん視点とかも書きたいなー。書けるかなー?

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