海で遊びましょう
ゴールデンウィーク万歳!なんか知らんけどバリバリ書けるよ!というわけで水着回(?)です。
あとこの後すぐに新連載の話を投稿します。
タイトルは『目指すは王女のお友達!』。内容とノリは恋物語と大して変わりませんのでこの話が好きだったりもしくは興味がでたらとりあえず読んでください(ステマ)
最初はIFとしてこっちに載せようとしましたがなんとなくやめました。タイミング悪いしね。
雲一つない青い空!
どこまでも続く青い海!
そして輝くような白い砂浜!
とまあここまでテンプレ的な用語を並べたので察しただろうが現在俺たち生徒会一同+αは現在海に来ていた。
気温は暑く驚くほどの晴天、それすなわち絶好の海水浴日和。
そんな日に海に来ているのだからみんなのテンションは高い。あの白波先輩ですら楽しげなのだ。その他のメンバーのテンションはもう察しろとしか言えない。
唯一心配だった青葉先輩もすっかり元気になってるみたいでよかった。これで少なくとも今だけは憂いなく遊べるというものだ。
みんなの荷物をまとめてビニールシートの上に置き終わった頃には早くも紫苑たちは海で遊び始めていた。それを見て荷物を運んでいた男衆が続くように海に入り始める。
早速紫苑と及川を乗せたシャチ型うきわが猛威を振るっているのは微笑ましく見守るべきか否か。あ、黄野が潰された。ちなみにあのシャチは赤海先輩が頑張ってシュコシュコして膨らませた。そのせいか赤海先輩の動きが鈍い。
って、赤海先輩逃げて!黄野を潰したシャチが!って、あ……ああ…………まあ、元気なのは良いことである。海が赤くならなければいいけど。
そうそう、一応説明しとくと紫苑が赤のビキニで(布の面積は多め)、及川が青のワンピースの水着。小鳥遊先輩はちょっと派手めのパレオが付いたやつだ。小鳥遊先輩頑張ったんだなぁ……。
男衆?えーと、黄野が普通に海パン、青葉先輩がボディスーツ的な水着。そんで緑川先輩はサーフパンツで赤海先輩が海パンと上にラッシュパーカーを来ていて、トリの白波先輩が意外なことにビキニパンツだった。まじかよ。
ちなみに俺は海パンの上にTシャツ、そして手元には本、おまけにTシャツの文字は「海は嫌い」。これぞ絶対に海に入らないスタイル!
くくく、俺はこのまま浜辺で荷物番の名をほしいままにしてやるぜ。だって海ってしょっぱいもの。あんまり入りたくない。
そんなインドア精神全開でレンタルしたパラソルの下に陣取り持ってきた本、『海難事故のすべて』を読んでいると目の前に誰かが来た。何奴!
「黒田くんは遊ばないの?」
「あ、田辺先輩」
顔をあげるとそこには田辺先輩が立っていた。手には遊ぶ気まんまんって感じでビーチボールを持っている。でもこの人競泳水着なんだよね。なんだガチ勢か。
そう、お察しの通り今回呼んだのはの小鳥遊先輩イジメ事件の時に知り合った田辺雪乃先輩と桜田彩芽先輩だ。せっかくできた縁を活用しないてはないのである。
「って、Tシャツから察するに海あんま好きじゃない?」
「ええ、ちょっと昔に」
あれは子供の頃、両親と海に行ったときのことだ。
その時俺は浅瀬で遊んでいたのだが突如として現れたなぜ浅瀬にいるんだというレベルのでかい魚の襲撃を受け、さらに追い回されたのだ。しかも執拗に。あれ以来海にはちょっと苦手意識がある。その時海水をたくさん飲んでしまったのも一因だ。
ううむ、あまり思い出したくない思い出だ。これ以上思い出すのを避けるために話題を変える。
「田辺先輩は桜田先輩ほど気にしてないみたいでよかったです。 楽しめてなかったら誘った甲斐がないですから」
「まあね。 悪かったなーとは思ってるけど許してもらったんだしずっと気にし続けるのも失礼じゃん」
うむうむ、前向きでよろしい。
問題は桜田先輩か。こっち来るまでずーっと気にして居心地悪そうだったからなあ。ちょっと心配だ。今どこにいるんだろ?
「ところで桜田先輩は?」
「それならあそこ」
田辺先輩が指差した方向には緑川先輩と小鳥遊先輩の姿。そしてそれよりも手前にある砂山の陰から二人を見つめる桜田先輩の姿があった。
え、なにあれ。なんというかいつかの――具体的には出会ったばかりの――小鳥遊先輩のような姿。ぶっちゃけるとストーカースタイル。
いや桜田先輩は緑川先輩に憧れてたっていうしあれは仕方ない。あれはきっと恋する乙女の構えとかそんなんだ。きっと!
「やっぱり美男美女が並んでると絵になる……眼福」
あれあかんやつや!だってあの人アイドルオタクと同じ目してるもの!
「なんか俺、桜田先輩が結構余裕なんじゃって思えてきました」
「あたしも。 まあ、幸せそうだしいいんじゃん……?」
……そっすね。まああれはあれで納得しているならいいんじゃないかな?
一緒に見るに耐えないものから目を逸らしたおかげか田辺先輩とは少し仲良くなれた気がした。
ちょっと沖まで泳いでくると海に向かった田辺先輩を見送ったあと読書を続行していたのだが……やっぱり暑い。パラソルで直射日光を避けてはいるが暑いもんは暑いのだ。
というか喉乾いてきた。飲み物はもうない。さっき飲んでしまった。
日射病とか怖いし飲み物でも買いにいこうかと立ち上がる。荷物から財布を取り出しているとちょうどいいところに水が滴る白波先輩が戻ってきた。
「今から飲み物買いにいこうと思ってたんですけど白波先輩もなにか飲みます? ついでに買ってきますよ」
「ありがとうございます黒田。 では紅茶をお願いします」
紅茶!?いや海の家に紅茶は売ってないんじゃないですかね。ティーバッグすらあるか怪しい。あ、午後に飲むタイプの紅茶でいいかな?それなら自販機かコンビニにあるはず。
そういうわけで海の家に行く前に自販機およびコンビニを探しているのだが……見つからねえ!おのれ紅茶!容易には入手させぬというわけなのか!?いやまあ探してる場所が悪いんだろうけどさ。
やっぱり自販機もコンビニも駐車場の辺りにしかないのかなぁ、と思いそちらに向かおうとした時、不意に後ろから声をかけられた。
「ねえ君……」
「はい?」
声をかけられたので振り向くとそこには見知らぬお姉さんがいた。むう?誰かと間違えた訳ではなさそうだし、俺に何か用なのだろうか?
ハッ!まさかこれは!
「―――お姉さんと結婚しない?」
あ、違った。これ逆ナンじゃない婚活だ。
あまりの事に思考停止しそうになったしお姉さんの後ろにいるお友達さんも唖然としていらっしゃる。
と、とりあえず念のため確認せねば。
「手順をいくつもすっ飛ばしてますがもしかしてこれは逆ナン……というやつですか?」
「そうなんだけど……あらためて言われると恥ずかしくなってくるわね!」
お姉さんの行動ほどじゃないと思います。
「ねえ、私はあんたに逆ナンするから付き合ってと拝み倒されたわけだけど……なにこれ嫌がらせ?」
あ、お友達さん再起動した。とりあえずご愁傷です。
「なによ、どう見てもナンパじゃないの」
「どっから見ればそう見えるのよこの犯罪者予備軍。 せめて欲望ぐらいオブラートに包みなさい」
「そんなこと言ってる場合じゃないわ! なにがなんでも男を確保しないとあっという間に行き遅れになるのよ!」
―――まるで飢えた獣のようだ。
かなり失礼だが直感的にそう思った。たぶん間違っていないと思う。だって雰囲気が……ね。あとそんなオーラ出してたら大抵の男逃げます。
とりあえずこのまま補食されるのは望ましくないしその場合お姉さんもお縄になると思うので落ち着かせて事態の収束をはかる。
「そんな焦らなくてもお姉さん若いし綺麗なんですから大丈夫ですよ」
「そんなこと言って逃げようったって……あら?」
この人目が完全に捕食者になってる。こわい。
と思ったらなんか突然頬を突つき始めた。
というかやめてください。ほっぺたぷにぷにし過ぎです。そういうのは小さいお子さんにどうぞ。そっちのほうが柔軟性あるからお得ですよ。下手すりゃ通報されますけど。と、思ったら涙目でぷるぷるしだした。なにこれ?状況についていけない。なんかもう俺も泣きたい。
「負けてる! 肌年齢負けてるこれ!」
「落ち着いてください。 俺の方が若いんですから当然です」
「被疑者をフォローしてるようで確実に心を抉りにきてるわね」
マジで?
「ならもう成人してるんだから学生に負けるのは当たり前、的な表現のほうが良かったですかね」
「悪化の一途よ。 私にもダメージ来たじゃない」
うーむ、この年齢の人と話したこと無いからいまいち勝手がわからんな。とりあえず年齢の話はNGっと。
「うう、なんという言葉攻め……ちょっとドキッとしてしちゃった……」
「待ちなさい容疑者、それは開いてはいけない扉よ」
クールビューティーなお友達さんの顔に若干の焦りが産まれた。そりゃ焦るよね友達が変な扉開いたらどう接すればいいのかわからなくなるし。
「とにかく! どう? お姉さんと遊ばない!?」
未だ諦めぬか。こういうナンパに応えるのはどうかと思うけど……うーん、面白そうだし……よし!
「じゃあメルアドだけなら。 お姉さん面白いですし」
「やった! やったわ美奈子! ついに男のアドレスゲットよ! 勝ち組よ!」
「落ち着いて犯罪者、相手は学生な上に色物扱いされてるわよ?」
バレたか。まあバレるよな。
「それもそれで良し!」
「妥協が神がかってきてるわよ」
うん、俺もそれはどうかと思うなあ。
「がっつき過ぎな上にドMってやばくないですか? ハードルかなり高いですよ?」
「君もそう思う? 私も今ちょうどそう思ったところよ」
「ああっ、美奈子まで! ……悲しいけどちょっとドキドキする」
ああ、もはや手遅れか。そしてその興奮の対象に俺が含まれていると考えるとちょっと気が滅入る。早まったかと若干後悔。
横に視線を移せば心なしかお友達さんの目が死んでいる。ああ、せめてこの人は救わなければ!
「お姉さんアドレス交換しましょう。 愚痴なら聞きますから」
「それはありがたいけど……いいの?」
「はい。 振り回される苦労は俺もわかるんで」
「そう、君も同じなのね……尾藤美奈子よ」
「黒田純です」
なんとも言えないシンパシー。きっとこの人となら夜通し語り合えるだろう。主に愚痴で。
「美奈子ずるーい! 次私!相宮彩希! 好きなものはお酒とスルメと……」
「はぁ……もういいでしょ。 黒田君だって友達と遊びに来てるんだろうしこれ以上引き止めちゃ駄目」
「……あ、ちょ、引っ張らないで。 まだ喋ってるんだからぁぁあああ~」
「こいつは……もう……駄目だ」みたいな目をし始めたお友達さん改め尾藤さんに引き摺られてお姉さん改め相宮さんは去っていった。それはまるで嵐の如し。
「……コンビニ行くか」
とりあえず尾藤さんのことは心に刻み込み、相宮さんのことは記憶から消去しつつ駐車場に向かうのだった。
うん、貴重な体験だったと思っておこう。こんな体験滅多にない。あってたまるか。
海の話はまだ続きます。だってヒロインたちほとんど出てないんですよ!?出てきたのほとんどモブですよ!?
番外モブ使いまわせたのは楽しかったけど!このままで終われるかぁ!




