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恋物語の片隅で  作者: 那智
7月
40/64

告白させましょう

スランプったー。他に書いてるファンタジーもちょっと描写で悩んでるしやばいなぁ・・・。

さて、俺たち三人がこれから何をするかというと小鳥遊先輩ラブラブ大作戦(紫苑命名)の作戦会議である。といっても参加者は前述の通り三名なので作戦会議というにはだいぶ物足りない。

というか当事者がいないとはどういうことだとのことで急遽、問題が一段落したことの報告ついでに小鳥遊先輩と合流することにした。


しかし当事者不在でよくもまあホイホイ話が進んだもんだ。当初の予定では小鳥遊先輩の話を聞きつつやっていくはずだったんだが白波先輩がほぼ一人でなんとかしてくれました。なにこれこわい。

まあこういう問題ってゲームとかじゃ当事者が色々やったりするけどぶっちゃけると当事者抜きで話進めたほうがあっさり解決するよね。ほら、被害者と加害者が顔合わすと話拗れるし。

そんな裏事情は置いといてとっとと小鳥遊先輩探すか。


そういうわけで小鳥遊先輩と合流したのはいいのだが俺は今に至るまでほとんど発言をしていなかった。何故かというと口を挟み辛かったというのが原因だ。

そう、女が三人集まると姦しいとはよくいったものですでに場はガールズトークに支配されていたのだ。普段ならそんなこと知るかとばかりに突貫できる俺も恋バナでは分が悪い。

ちなみに現状は紫苑がテンションの赴くままに強行策を提案し、小鳥遊先輩があわあわしながら無理だと拒否し、及川は及川で紫苑の勢いに口を挟むにも挟めずおろおろしている。


「だったらなおさら告白しなきゃ駄目ですよ! 勇気を出して」


「で、ですけど断られたら……そう考えると怖いんですの……」


ちなみに現在小鳥遊先輩が不安を抱いているのは告白することに対してではなく呼び出しを受けてくれるかどうかについてである。

そこかよと思うかもしれないがどうせその不安が解消されても十中八九今度は告白に対して不安を抱くのは確定なのでその辺はスルーでいこう。

普通に考えればあのナンパ野郎、いやフェミニストこと緑川先輩が女の子のお誘いを断るはずないと思うんだけどな。いやでも当事者なら不安になるのは当然か。

こうなったら最終手段一歩手前の手段、今まで読んだ本の知識を総動員しての説得を行うしかあるまい。きっとその気にさせてしまえばあとは流れるが如しだろうからね。


「小鳥遊先輩、俺と初めて会った時のことを覚えてますか?」


「え、ええ、覚えてますわ。 あの頃の優様を影から見つめることしか出来なかったわたくしに黒田さんが声を掛けてくださったのですわね」


「はい。 正直に言えばあの時、俺は小鳥遊先輩のことストーカーだと思ってました」


「ストッ……!?」


あ、なんか小鳥遊先輩硬直した。紫苑たちもポカンとしている。だけどここで言葉を止める方がヤバイので無視して続行する。


「あの頃の小鳥遊先輩ははっきり言って端から見てストーカーにしか見えませんでした。 でも今はどうです? 緑川先輩と普通に話すこともできますしお菓子作りでアピールだってしたりしました」


これは『物語』ではあり得なかった展開である。この展開は乙女ゲームマスター―――まあ前世の俺の妹のことなんだが―――でも予想できないであろう。

故にどうなるかは全くわからない。前回のイベント、赤海先輩のイベントを途中でぶん投げた時以上にだ。

『物語』通りに彼女の想いは報われないかもしれないし、もしかしたらうまくいくかもしれない。

その辺は例え前世の記憶を持っている俺でも全くわからないのだ。というかわからなくしたの俺自身だけどね。


「信じてください。 俺は小鳥遊先輩なら大丈夫だって信じてます。 なので小鳥遊先輩も自分のことを信じてください 」


「あ、私も私も! 小鳥遊先輩ならきっと大丈夫だって信じてます!」


「わ、私も信じていますよ?」


ナイス援護射撃。やはり応援する人数は多い方がいい。よくわからない説得力が生まれるからね。場に流されやすくなるとも言う。


「と、まあここに三人ほど小鳥遊先輩なら大丈夫だと思ってる奴らがいますが……それでも自信ありませんか?」


「黒田さん……紫苑ちゃんに美羽ちゃんも……」


小鳥遊先輩は俺達の言葉を噛み締めるように目を閉じる。そして次に目を開いた時にはもうその目に迷いはなかった。


「ええ、わかりましたわ! わたくしやってみます!」


そう言って小鳥遊先輩は覚悟を決めた足取りで戦場(比喩表現)に向かっていった。

とりあえずひとまずはよっしゃー!である。あとは小鳥遊先輩の頑張り次第だ。


「もー! 純がストーカーうんぬん言い出したときはどうしたのかと思ったじゃない!」


「こういうのは本音でやんなきゃ意味ないだろ?」


「限度があるでしょ!?」


いやだから自重したんだが……本当は最初ホラーだと思ったことを言わなかったのはファインプレーではないだろうか?

おいその「しょうがないなぁ……」みたいな顔やめろや。普段からの行動を見ればお前も大概だからな。


「ねえ紫苑、それより小鳥遊先輩がちゃんと告白できるかどうか見に行ったほうがいいんじゃないかな?」


「あ、そうだね。 小鳥遊先輩のことだからいざってときにへタレちゃうかもしれないし!」


どうやら小鳥遊先輩=ヘタレというのは皆の共通認識であるようです。



話していたせいで小鳥遊先輩を見失ってしまったが聞き込みの結果顔見知りの青葉先輩のクラスメートから小鳥遊先輩が緑川先輩を体育館裏に呼び出した、という情報を得ることができた。行動早っ。

しかし呼び出した理由についての考察がタイマンだとか決闘だとかそっち方面に偏っているのは何故だろうか。一応乙女ゲー世界なんだから浮わついた噂流れろよ。


少し時間を置いてから体育館裏をこっそり覗くと情報のとおり小鳥遊先輩と緑川先輩の姿があった。よかった。呼び出すことには成功したらしい。

小鳥遊先輩の顔は真っ赤で今にも倒れそうだがそれでも決意を秘めた目をしている。きっと一度正気に戻った後に腹をくくったのだろう。

うん、これならきっと大丈夫、なにも心配することはない。

そう判断すると食い入るように緑川先輩と小鳥遊先輩を見つめる女子二人の後ろ襟を掴んだ。


「これ以上は野暮ってもんだ。 帰るぞ」


「ええっ!? 今いいところなのに!?」


「いいところだからだ。 ほれ、とっとと」


「お願い黒田君。 もうちょっとだけ……ね?」


「一生のお願いだからー!」


わー、二人ともすっごい女の子らしいなー。主にデバカメ的な意味で。

それと紫苑、お前の一生のお願いはこれで8回目だぞ。多いわ。


「及川まで……しかたない。 ―――強制連行するか」


見たい気持ちはわかるが万が一バレたら雰囲気壊しちゃうからな。これは一応おせっかいなのだからそのような危険は犯せない。

というか唯でさえ三人もいるんだがら自重しよう。告白シーンで背景に三人も人がいたら雰囲気台無しじゃないか。


そういうわけで俺たちが見届けたのはここまでである。

え?結局小鳥遊先輩と緑川先輩の関係はどうなったのかって?

…………とりあえず緑川先輩と小鳥遊先輩は二人でいる時間が増えた、とだけ言っておこう。それ以上は野暮ってもんである。




その後、俺達は今回の騒動に関わった人を集めお疲れ様会のようなものを開いていた。

参加者は俺、紫苑、及川、黄野、青葉先輩、赤海先輩、白波先輩、そして田辺先輩と桜田先輩だ。うん、多い!少し減ろうぜ。

予想した通り緑川先輩と小鳥遊先輩は諸事情でいないけどそれを補う形で協力者である田辺先輩と桜田先輩がいるので人数的には当初の予定より多い。まあそれによる被害は慌てて椅子を調達するはめになったぐらいだから別に構わないんですがね。

田辺先輩と桜田先輩が若干気まずそうなのを除けば和気あいあいといった感じである。二人に関しても紫苑や及川が気を聞かせて話しかけてるし大丈夫だろう。

そんな中、俺は白波先輩に声をかけ、二人で抜け出していた。聞いておきたいことがあったのだ。


「ファンクラブの連中の罰はどうなりましたか?」


「……それは黒田が知る必要はないのではないですか?」


「過程がどうあれ、今回の騒動のきっかけを作ったのは俺です。 たとえ実行したのが白波先輩だったとしても火に油を注いだのは俺なんですからせめて……」


せめて計画を立てた張本人としてその人達がどうなったか、それくらいは知っておきたかった。知っておく必要があった。




お疲れ様会が終わったあと部屋に戻った俺は大きくため息を吐いた。

椅子に座り机の上にあった読みかけの本を手に取るがどうも読む気になれず手の中で弄ぶ。そしてまたひとつため息。


―――微妙な気分だった。


白波先輩の話ではこの一連の騒動の黒幕(あえて名前は明かされなかった)は普段から実家の権力を使って好き勝手していた上に今回の件では責任から逃れるために身代わり(桜田先輩ら実行犯のことである)を立てようとしていた事などから非常に悪質であると判断されそれなりの罰則が与えられ、実家のほうにも報告が行くらしい。

ついでに言えば犯人の家はかなり厳しい教育方針を掲げている家らくし今回のような問題を起こした娘を放っておくはずもなく場合によっては退学もあり得るとのこと。

たしかに『物語』ではいじめ事件の犯人は今回の結末と同じような末路を辿ったと記憶している。そういう意味では今回のイベントは珍しく原作通りの終わりを迎えたと言えるだろう。無論紫苑が大して関わっていないことを除けばだが。

しかし過程は大違いだ。

前述のとおり本筋に紫苑が関わっていないことやヒロインポジションに小鳥遊先輩いたりと最初からずれていることは最早気にしないにしても俺の介入、ファンクラブ側の協力者の存在。なにより生徒会の協力が大きいだろう。

そしてそれらの変化のそもそもの原因は俺なのだ。そのため俺はまるで自分がその人たちを退学に追い込んだ気分になっていた。

確かに間接的に言えばそうなるだろうがあくまでそれは犯人たちの自業自得であり、むしろ俺は田辺先輩と桜田先輩を助けた形になるし、クライマックスの段階で事件は俺の手を離れていたのだから俺が気に病む必要はない……はずだ。

そう頭では理解できているのだがそれでもグジグジ考えてしまう辺り俺も結構めんどくさい。

というかいつもはさらりと流せるのに今回に限って無駄に考えてしまうのは何故だろうか。やはり当初の予定より大事になったからだろうか。

いっそのこと赤海先輩の時の不良達みたいにこっぴどく叱られてお説教のフルコース+奉仕活動への強制参加とかだったらこうも考えることはなかったのだ。


まったく、『物語』の登場人物はすべからくハッピーエンドでなければならないのに。


っと、いけないいけない。一瞬抱いた余計な感情を何処かに全力投球して気持ちを切り替えるとベッドにダイブした。

変えてしまったことをうじうじ悩んでいても何にもならない。まったく、たまにだがつい弱気になってしまうから困る。

こういうときは良いことを思い浮かべるに限る。そう、小鳥遊先輩と緑川先輩のことなんて文句なしに良いことをじゃないか。


「恋人か……」


もし聞かれたら最悪聞いた相手と刺し違える覚悟を決めなければならない独り言を呟きながら目を閉じ―――直後に勢いよくベッドから上半身を起こした。

顔が熱い。おそらく顔は耳まで真っ赤になっているだろう。その想像を裏付けるかのように心臓は激しくバクバク鳴っている。

熱くなった顔を冷ますのと気持ちを落ち着かせるために机の上に置いていたお茶を取り一気にあおる。

少し咳き込みながらも生ぬるくなったお茶を喉に流し込むとある程度落ち着くことはできた。

ああ、それもこれも脳裏に思い浮かんだもののせいだ。


「なんで恋人のことを考えて及川の顔が思い浮かぶかな……」


ふふふ、これでもう恋愛小説(笑)なんて言わせない。でも本格的な恋愛描写はまだ。

というわけで及川さんルートです。はい拍手。

紫苑さんルートも考えてあるので本編終了後に書きたいですね。


今回少々黒田君が弱みを見せてますがこれは自分が計画したものが予想以上に大事になって大丈夫だろうか、ていうか俺のせい?という不安に駆られたためです。次では元に戻ります。

あくまで動じない黒田君を期待していた人はすいませんです。でもこいつ少しぐらい弱気にならないと恋心に気付きそうになかったんだ。


なお、次からしばらく番外編書きたいと思います。

IFギャルゲー編のストーリー思いつちゃったんだから仕方ないね!

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