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    4-1




―――4―――




 教室に戻って、わたしは困惑してしまった。制服がない。一緒に置いていった真唯ちゃんのバッグはあるのに、私のだけなくなっていた。

「自分のロッカーには?」

 真唯ちゃんの質問に、私は首を振る。

 ロッカーはおろかゴミ箱にも、掃除用具入れの中にも、私のバッグはない。教室にはどこにもなかった。

「……どこに行っちゃったんだろ……」

 そう呟くしかない。

「あずのファンが持っていったんじゃない?」

 真唯ちゃんが元気付けようとしてカラカラと笑うのに、私は苦笑を見せた。

「ファンが持って行った」のはなくても、

「誰かに隠された」ことは有り得る。



―――でも……、



 誰かに隠された、なんて考えたくもない。隠されたということは、私がいじめられているとも言えるわけだ。人から恨まれるようなことなんて、何一つしてないじゃないか―――……。

 思い、私はハタと思考を止める。



 あった。


 心当たりが。




『………お前、何したか分かってんのか!』



―――東山。もしかしたらあいつらは、私に言われたことをまだ根に持っているのだろうか? あれはどちらかといえば東山たちの方が悪いのに。



 仕方がないので私はその後の授業を体操服のままで受けることにした。この学校は制服で授業を受けることが校則で義務付けられているから、クラスメートからも、もちろん先生からも理由をただされる。

 その度に私は『手洗い場で制服を濡らしてしまった』と、なんとも苦しい言い訳をしなければならなかったし、制服の中に一人だけ体操服というのもなかなか惨めなものだ。


「そう言えば水野、さっき春日井が放課後生徒会室に来いって言ってたぞ」

 本日3度目の言い訳を繰り返した私は、担任のその言葉に思わず硬直した。

 何ということだろう。今でも十分すぎるほど惨めなのに、それに追い打ちをかけられるに違いない。


 今日は厄日だろうか……?私は半ば本気でお払いに行こうかと考えた。









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