剣士
なぜか昨日出すものが一昨日の夜に出てしまっていました。完全な予想外です。
まあ今日のは、ただ書くのに時間がかかっただけなんですけどね。
俺は兄貴からの送られてきたナイフと、親父からお守りだと渡されたクナイと手裏剣数個、そして送られてきた天空島の住所を書いたメモ、あと非常食と水を鞄に入れ○○まで一人できていた。
なぜ一人で来たかは理由があって、昨日までに蓮華に合格通知が届かなかったからである。頭の良い蓮華が不合格だとは思えないんだが、送られてこなかった物は仕方ないので一人で此処へくることとなった。
でもいつもの蓮華なら無理にでも付いてきそうだったんだが…やけにすんなり引き下がったのがちょっと気になっているのだが。
昨日も一度この辺りの建物を歩いて調べたが、地下5階までの建物は3ヶ所見つかった。これで安心だと思っていたんだが…
今日3ヶ所の地下5階へ行っても…何か特別変わったりしている場所がない。
現在午前8時30分、後30分で見つけないと天空島への行く手段は消えてしまう。
朝早くから此処へきて、3つの建物を調べて行ったり来たり。
だぁぁぁー、あと30分しかない!
「おい、そこの君?」
こっちのほうの建物はもう何度も調べたし、あっちのほうは建物はさっき行ってきたから間違いはないはず、となるとこっち側か?
「なぁ君。聞こえているのだろ?」
「だぁー、誰か知らないけど俺に話しかけないでくれよ、こっちは時間がなくて焦ってんだよ!」
建物の柱に寄りかかり話しかけてくる男。
俺が困ってそうだから、話しかけてきた良い人なのかもしれないが…男は赤髪に紅の西洋の鎧を着ており、背中には背負っているのに地面につきそうなくらいデッカイ剣をを装備している。
日本でこんな格好をしているのはコスプレ野郎か、異世界側の人間。だが地毛の赤髪、つまり異世界側の人間。怪しさ満点の男でなければ良かったんだが…さっきから俺に頻繁に話し掛けてくる。
「それはすまなかった。だが小橋悠斗よ。早く行かないと不味いのではないか?」
「………!!」
何故?俺の名前を知ってる?俺の名前を示す物ないし、見ただけじゃわからない。とっさに距離をとり構えてしまった。
「あんた今日の運勢最悪らしいよ。何が起こるか分かんないし念のため、水と非常食もってきな。何が起きてもいいように」
…って朝言ってたな。意外に的中しそうだな母親の言葉。
異世界人。あっち側の人間は原則天空島から出られない規則となっているはず。
入試のときの試験管も赤髪の異世界人だったが、ちゃんとスーツを着てこちら側の服にあわせてはいた。
だがこの人物は堂々と鎧を装備している。
今日は散々探して手がかかりが無いんだ、怪しい人物にしか見えない剣士にでも頼ってみるか。
なんせ俺の名前を知っていた、なんか厄介ごとに巻き込まれるかもしれないが手がかりは掴めるかも知れない。
「・・・誰だよ、あんた?」
「ほう。まあまあの反応で構えだな」
寄りかかっていた格好から、こちらに向かって歩きだし手を差し出す。
「俺はランスローだ。お前の兄、小橋優一に世話になった者だ。君が弟の小橋悠斗君で間違いないんだろ?」
疑わしい。もちろん握手なんてしない。兄貴関連ってのは最近はなかったけど、魔物とか大抵物騒な物が出てくるし。
「・・・ランスロー。仮りにもそんな兄貴の知り合いが、なんでこんな所にいるんだ?」
「・・・ちょっとある所から面倒な情報を掴んでね。君は地下5階のある建物の場所を知りたいんだろう?魔法学院へ行くために。」
何者だこの人。俺が魔法学院の合格者てことも知っているのか?俺の個人情報どこまで出回ってんだ?
「ん?………どうやら見つかってしまったみたいだ、小橋悠斗よ集合場所なら××だ。とっとと行くのだな。」
俺が言葉に出てこなかった場所、確かに聞いたことのある場所。場所を親切に教えてくれたようだ。だが聞き逃せない言葉もあった。
「見つかってしまった?それはどういうことです?」
「すぐに分かるさ。ほらお出ましだ。」
建物の影の中から、黒い狼がはい出てくる。数は5匹。
「魔物!」
「その通りだ。まあ雑魚だがな。お前さんをこっち側に関わらせたくないのでだろうな。」
グワァァァァァァーーーーー
その中の一匹が雄たけびを上げる。するとまた5匹ほど影の中からはい出てくる、まるで仲間を呼んだかのように・・・
「まあそういうことだ、ここにもっと集まってくるぞ。ここは任せろ。」
「ああ、そうすることにする。じゃあな。」
行こうとした所で後ろから声をかけられる。
「小橋悠斗よ、お前は今分岐点にいる。本当に天空島まで行くのか?行ったらしばらくは帰って来れんぞ。行ったら今までに味わったことない数々の困難が待っているかもしれん。このままこっちで平和に過ごす気はないのか?」
「俺はあっちでやらないといけないことがあるんだよ。だから行くんだよ。」
「ふむ、そうか…なら行くと良い。」
ランスローは馬鹿でかい剣を掴み影の狼に向かって構え、俺の場所には行かせないように立ちふさがる。
「何をしてる。早くいかんと時間に遅れるぞ。」
「あっ、おう。」
腕時計をみると後20分。荷物を持って××に向かって走る。するとすぐに後ろからは、爆音や狼の叫び声などが聞こえてきた。
残り10分、××の地下4階にはマップ書かれていない扉があった。扉を開けるとキィーっとなり、その奥には地下へ行く螺旋階段があるだけ。
あとは1階分下りるだけ、間に合いそうだな。
時折蝋燭が壁についてるだけで、薄暗い階段を2段飛ばしながらおりる。
しかし薄暗い空間から先ほどの狼が出現してくる。
「さっきの奴!」
俺の行く手に立ち塞がる。そして知らせるかのように雄叫びをあげようとする。
「させるかよ!」
すぐに出せる所にしておいたお守りの手裏剣を手にとり、素早く狼の眉間に投げつける。狼は叫ぼうとしたところで俺の手裏剣が見事に眉間に命中し霧散して消えた。
「ここへきてか・・・あの剣士しくじったな。親父のお守り、早速使わないといけない状態なのかよ。」
階段を降りながら偶に出てくる狼を、完全に出てくる前に眉間に手裏剣を投げつけ絶命させる。
終点が見えてきた、階段の1番下の所には両開きの扉があるのがみえる。
階段を下りるスピードのまま扉を開け飛び込む。
そこはコンクリート剥き出しの壁で10畳ほどの部屋。その中央にスーツを着た大人二人と生徒が一人立っていた。
「思ってたより早く来たな、小橋悠斗君。まあそれでも予定時刻まで後5分だぞ」
入試の時いたスーツを着た赤毛の大人の女性が注意してきた。
「あっ、すいません。もっと早くくるつもりでったんですが、ちょっと狼の魔物に襲われてまして…」
「魔物だと!大丈夫だったのか?」
俺の魔物という言葉に、赤髪の女性の横にいた金髪の男性が驚きの顔をうかべ、叫ぶようにこちらに問う。
「ええ、ランスローっていう大剣を持った人が助けてくれましたから…」
「…君、何のことを言ってるんだ?」
「学院の人じゃないんですか?自分の名前や、ここの場所とかも知っていましたし。」
やっぱりあの野郎は学院側の人間じゃなかったか…しかし兄貴の関連人物とか名乗ってたしな、どういう関係なんだろう。
「ここの場所まで知っていただと!ちょっと待て…確認をとってみます。」
そう男性が言うと、女性は軽く頷く。
「……コチラα、生徒からの情報で地上に魔物と怪しい人物がいるらしい、みえるか?」
学院の男性は上を向きながら誰かと話しているみたいだ。
「ああ、了解した。」
男性は地上にいる誰かとの話を終えたようでこちらに振り向き。
「………地上には剣士などいないと連絡がきたが、ヴァンウルフがどこからか大量にわいているそうだ、君の姿も確認していないそうだが…君はどこからきたんだい?」
その時―――
ズッカァァァァンンン!
部屋のコンクリートの地面が僅かに振動し、上の階から大音量の衝突音が響きわたった。
今回は時間がかかった割には少ない気が…