第三話 褌と筋肉と仕事内容
二ヶ月ぶりの投稿です。多分、見てる方は殆どいないでしょうが、見てくださる方がいてくださったら大感激です!!
では、本編にはいります。
世の中には、どうしようもなく許せない事ってあると思わないか?
大特価「20800円」で売られていたゲーム機が買った次の日にセール価格「15890円」になっていた時とか、本気で店に訴えの電話を入れようと思った程だ。
流石に訴えはしなかったがあれは詐欺まがいじゃないか?
まぁそんな事は置いといて。何故俺がこんな事を言い出したかというと…それは、30分前に遡る。
俺は月日に連れられ、3階にあるシャワールームを借りる事になった。
月日が言うには、ここは一階が事務所、二階がリビング、三階がトレーニングルーム、四階と五階が月日含めて全職員(と言っても、月日含めて五人らしい)の個人部屋らしい。
……なんて贅沢な場所なんだ。
シャワールームを借りるのはいいが、あいにくと俺は着替えを持ってきてはいない。
そのことを月日に伝えると、月日は「大丈夫、着替えはこっちで用意するから」と答えたので、俺はその言葉を信じて脱衣所に服を脱ぎ、シャワールームに入る事にした。
それが間違いだと気付かずに……
シャワールームで下水道の臭いを流し終えた後、近くに置いてあったバスタオルで体を拭き、シャワールームを後にした。
そして月日が用意してくれた変えの服に着替えようと脱衣所に置いてあった服を手に取ると……………………………………そこには、褌しか置いてなかった。
上着もなく、ズボンもなく、パンツもなく、汚れなく真っ白い新品同然の褌だけがそこに会った。
あれぇ、どこに置いたんだ?と思い、まずは脱衣所を調べようとありとあらゆる所を調べたが褌以外にはなにもなく、シャワールームに入る時に脱いであった服はすでに回収されていた。
状況的に見て今俺が装備できるのは褌だけ……まずは褌を身につけよう、これ以上マッパだと誰も見ていないとはいえ恥ずかしい。
出来ればバスタオルも身に纏いたい所だが、自分のお体を拭いた物しかなく、微妙に濡れていて体に巻きたくないし、
よくよく考えれば褌一丁とバスタオルを巻いた姿では大差はないだろう。
こうなったら褌一丁で向かうしかないのか?
散々待たせておいて、来たと思ったら褌を巻いただけの男だなんて無礼にも程があるが、この状況をつくりだしたのは半分は月日のせいだ。
もし何か言われたとしても、全ては月日のせいなんですと言えば分かってくれる筈………あいつがここで猫被ってたら話は別だが。
ええい!!これ以上考えていても選択肢は一つしかないんだ。、俺は堂々としたオーラを纏わせながら(おどおどしてたら余計にみっともないし)
一回まで駆け下り勢い良く事務所のドアを開けた。
ドンッ!!と気持ちいい音と共に、俺はその場にいたちんちくりんの小娘にありったけの大声で。
「なんで脱衣所に褌しか置いていないんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
親の仇を見るような目で思いっきり文句を言ってやった。
全力で大声を出したせいで月日は耳を抑えながら苦しそうな表情をしているが、完全に奴の自業自得だろう。
あいつ、俺の声の大きさを知っててこんな事したんだし。
「うん、だから耳栓してるんだ。」
「演技かよ!!しかも、俺の心読んでるし!?」
さっきまでの苦しそうな顔は演技だったらしく、ドヤァっとした顔で付けていた耳栓を外す月日。
どうやら俺の行動は奴に読まれていたらしい……なんかむかつく。
月日は自分の忠告は間違っていなかったと、視線を窓の方へと向ける。
俺は怒りのあまり月日の方しか見ておらず、急いで視線を窓の方に向かわせた。そこにいたのは…………………………裸のオッサンだった。
正確に言うと下半身の方は机で隠れており、もしかしたら下半身には何かを着ている可能性がある。
隠すもののないその上半身は無駄の無い筋肉で覆われており、スキンヘッドと相まってボディビルダーと錯覚してしまう程だ。
もしかしたら副業でやってるかもしれない。
俺の視線に気付いたのか、オッサンは笑顔で俺の方に目を向ける。そして、椅子から立ち上がるその姿は……褌一丁。俺とまったく同じ格好だ。
「やぁ、君が伊達辰無君だね。君のおじいさんから話は聞いている、私はここ「SURVIVE」東日本支部の社長、金剛伊吹と言う。」
オッサン…いや、金剛社長は俺の今の格好など気にもせず、親しげに俺に話しかけてくる。
その格好でなければ普通の自己紹介なのだが、相手は褌一丁だ。間違いなく本能が告げる……この人は危険だと……
固まってる俺を見て、金剛社長は豪快に笑いながら言う。
「ハッハッハ、私の筋肉美に見惚れてしまったか。まったく、この筋肉美は犯罪物だな……
この筋肉美はやれんが、辰無君も頑張れば私の様な筋肉美を作れるぞ。」
……どうやらこの人はかなりの筋肉馬鹿らしい、自分の筋肉が見たいが為に褌一丁でいるのだろう。
とりあえず、適当に頷いておくと満足したのかさらに話を続けてくる。
「月日君に頼んで君の着替えを褌のみにしたのだが、その判断は正しかったようだ!!
君の筋肉はまだ成長段階だがかなり鍛えなれている!!この筋肉ならばここでもやっていけるかもしれんな……」
え?この人が俺を褌一丁にした犯人?なんかここでやっていけるかどうか確める為とはいえ、少々強引過ぎやしませんか!?
俺の呆れ果てた顔を無視して筋肉談義に入ろうとする金剛社長、筋肉談義も嫌だがこれだけは聞きたい事があるのでさえぎるように俺は社長に尋ねる。
「あの…ここって、一体何をする会社なんですか?」
俺はジジイからここが何をする会社なのかの情報を貰っていない。調べようにも急だったし、月日に機構とも思ったがその時はシャワーを浴びる事に考えが夢中だった。
俺の言葉を聞くと、社長は満面の笑みを浮かべながら。
「悪霊退治をする会社だ。」
と言った。へぇ、ここって悪霊退治の店…………って、ちょっとまてぇぇぇぇぇ!!!!
「悪霊退治!?そういうのって、神社やお寺の仕事じゃ……」
大体悪霊退治専門の店ってなんだよ?こちとら生まれてこの方幽霊とかそういった類の物を見た事がないんですけど。
俺が驚くのが想定内だったのか、月日が俺達の間に割り込んで来る。
「そう、辰無君の言う通りなんだけど、実は辰無君の知らない所では普通の神社やお寺では解決できない事件もあるの。そういった問題には私達……」
そう言うと、月日は話すのを止める。すると突然月日の後ろが光りだし、光が止むと和服姿の女性が月日の後ろに立っていた。
月日が一体何をしたのか分からない。俺の戸惑いに答えるように、月日はまた口を開く。
「私達、妖怪と共に戦う者。共生者 《ライバー》の力が必要なんだ。」
次回からこの物語の主軸に入ります。でも、ヴァンガードの方を先に書くのでこっちは大分遅れそうになるかも……