第一話 消えたジジイと借金問題
本編がやっと出来た………と思ったら、プロローグとのかかわりが薄い内容に…
どうしてこうなった。
ジジイがいなくなった。
俺には親父やお袋はいない。お袋は俺を産んですぐ死に、親父はお袋が死んだ後、俺を捨てて何処かに消えてしまった。
産まれたばかりで両親のいない俺を引き取ったのはジジイで、ジジイが俺を引き取ると言わなかったら俺は何処かの施設に入れられることになったらしい。
それからずっと、俺はジジイと二人で暮らしてきた。
ジジイはいつも無愛想で、俺に何かを言う事はない。でも、本当にやってはいけない事は俺に教え、俺が本当に困った時には行動で俺に示してくれた。
また、ジジイは示現流の達人で、たまに近くの剣道場に指南に行く程の実力者だ。俺もよくジジイに付いていってはジジイの指導を受けていた。
幼稚園の頃、餓鬼共はいつも集団で俺に両親がいない事とジジイの事を馬鹿にしてきた。
今だから言えるがあれは集団イジメに近かったかもしれない。その度に俺は取っ組み合いの喧嘩をしては傷だらけで帰ってきた。
そんな俺を、ジジイは何も言わずに傷の手当てをし、ボロボロになった服を不格好ながらも一生懸命に縫い直し、餓鬼共の親が俺に謝罪を求めてきても、ジジイは何も言わず餓鬼共の親の罵詈雑言を一身に受け止める。
ジジイのその姿を見る内に、俺はなんだかジジイに情けない気持ちになっていき、次第に喧嘩を止めていった。
何もしなくなった俺を、餓鬼共は調子に乗ってより一層からかうようになった。
弱虫だの臆病者だのと遂には俺自身への悪口へと変わっていったが、俺はもう奴等の戯言を気にしなくなっていった。むしろ、ジジイの事を馬鹿にされなかった事を嬉しく思ったくらいだ。
それから悪口は小・中とむにつれてイジメへとエスカレートしていったが、それでも俺は気にしなかった
。
友達が一向に出来ないのは少し寂しいが、ジジイがいれば俺にはそんな事どうでもよかった。
イジメを受けても気にも止めない俺を見て奴等は業を煮やし、ある日、帰宅中の俺を鉄パイプを持って集団で襲い掛かってきた。
俺はジジイから示現流を教わっており武には自信はあったが、俺は素手で相手は軽く見積もっても30人以上で武器持ち。数の暴力には勝てず、俺は奴等の猛撃を受け、骨は所々折られ上手く動けず、声を出す事も出来ない程に痛めつけられた。
意識が朦朧とする中、俺は目の前にジジイの幻影が見えた気がした。ジジイの幻影は何もせずにそこに立って居るだけで何もしない。だが、奴等はジジイの幻影が見えた瞬間、急に怯えだし、全員が失禁をしながら気絶していった。
その後、ジジイの幻影は消えて、それと同時に俺の意識もシャットダウンした。
意識が戻った後、奴等は全員少年院送りになったいた。
なんでも、俺が意識を失った後、偶然通りかかった人がこの惨状を見て通報。状況から俺が一方的に殴られた事が分かり、集団イジメとして事件が立証され、イジメについて何の対策もしなかった校長と担任は退職。奴等の親達からは賠償金が支払われるなど、俺の寝ている間に色々と進んでいたらしい。
聞いた話によると、奴等の中には「アイツは化け物だ!!」「化け物退治の何が悪いんだ!!」などと、訳の分からない言葉を並べ立てて、精神的にもおかしくなってる者もいるらしく、そいつらは精神病院に担ぎ込まれたらしい。
かくして、この事件により俺へのイジメは終わった。
高校に入ると、俺に普通に話しかけてくる人が多くなり、親友とまではいかないが、よく話すくらいの友達を作れるようになっていった。
中学まではありえなかった、帰宅路を友達と共に帰ったり、友達と遊びに言ったりという一般的な高校生の活動をするようになり、ジジイ以外にも笑って話せる人が増え、中学とは対象的な生活を送るようになっていった。
今思えば、あの頃からジジイは無断で家を空けていた。そのときからジジイは俺の前からいなくなる準備をしていたのだろう。
高校に入り1年が過ぎた今日の朝、書置きを残してジジイはいなくなった。
ジジイが残した書置きにはこう記されてある。
-旅に出る。家は旅の資金の為に売った。下記に書いてある住所に連絡を入れてある。この手紙を読んだ後はその住所に行け。-
なんというか……ジジイらしい書き方だと思った。詳しい説明もなく要点だけを記してある。現代文のテストだったら、10点満点中良くて5点くらいの文だ。単純明快の言葉がぴったりだろう。
長年住み着いた家がもう自分達の家でなくなった事に少し寂しさを感じたが、ジジイの事だからまぁいいやという気持ちの方が強く、ジジイに対する怒りなどは不思議と一欠けらもない。
よくよく考えたら今の俺の状況ってホームレス中学生ならぬ、ホームレス高校生だなぁとどうでもいい事を考える余裕もあるくらいだ。正直危機感がまったくといていいほどないぞ。これでいいのかホームレス高校生。
とりあえず、書置きに書かれてある住所にでも行ってみようかと元我が家を出ると、何故か893の数字が似合う、サングラスをかけた方々が目の前に陣取っていた。なにこれこわい。
今自分が置かれている状況を把握できない俺を見てわかったのか893さん達の一人が俺に話しかける。
「あんた、伊達辰無君であってるね?」
「あ、はい。そうですけど……」
何故893さんは俺の名前を知っているんだ?なんだろう、嫌な予感がしてきた……
「ちょっと事務所まで来て欲しいんだけど、いいかな?」
「あ、はい。わかりまし…って、えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!??」
嫌な予感が的中したよ!!これはあれですか?バットエンドフラグとやらという奴ですか!?
思わず、町中に聞こえるくらいの大声を響かせてしまったよ。元ご近所の皆さん、朝っぱらから大声を出してしまい申し訳ありません……
893さん達は俺のジャイОン級の大声を真近で聞いたからか、耳を両手で覆って蹲っている。なんだか知らないが逃げるなら今のうちだよな?
「待たんかいぃぃぃぃぃぃ!!!お前のジジイが借りた借金全額、孫のお前がきっちりと払えやあああああああああああああああ!!!!!」
俺に話しかけて来た893さんがフラフラしらがらも俺に向かって走る。他の893さん達も先頭に続きながら俺を追いかけ始める。いやホント893さんの商根には頭が上がらないな……
まぁ、893さん達の目的は借金とかかなぁと予測していたのでそんなに驚く事でもないが、問題はジジイがいくら借りたかわからない事だ。
おそらく、893さんたちの決死の形相から、いち高校生が返せる筈のない額である事はまちがいないだろう………怖くて聞けないや。
とにかく、逃げ切らなければ俺の人生ゲームオーバーなのは間違いない、893さんたちには悪いが、全力で逃げさせて頂きます!!
主人公、辰無のモデルは苗字の通り伊達政宗……ではなく、まったく別の戦国武将だったりします(笑)一話では分かりにくいですが、2話でヒントが隠されているので、是非当ててみて下さいww
ちなみにジジイのモデルは、バンプレの某ゲームの主人公だったりします。
そのゲームのシリーズの中で一番好きなキャラでして、気がついたらジジイはこんなキャラ設定にwww(でも、出てくるのは回想だけになりそうなんですよね…)
ジジイのモデルが分かる人は、是非今度一緒に酒を飲みましょう(笑)