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魅入られた少年

作者: 彗花
掲載日:2025/11/29

 私には幼馴染がいる。⋯⋯いや、いたの方が正しいのかもしれない。彼はもういなくなってしまったのだから。

 彼は不思議な子だった。村の中でも一番賢く、みんなが知らないことまで知っていた。身体能力も大人顔負けなくらい高いうえ、使える人の少ない魔法も人一倍できた。さらに彼が努力家だったこともあって、ぐんぐんとその力は増していった。

 しかし、彼の元には人が集まらなかった。確かに「普通」を知った今の私から見れば、彼の能力は異常だった。でもそれだけならただの天才児──天才をただの、と言うのもおかしいのかもしれないが──だったのだ。

 それならばなぜ人が集まらないのか。理由はひどく単純だ。彼はしばしば『声』が聞こえる、と言っていた。最初はみんなも村人の誰かが話しているのだろう、そんなことまで聞こえるなんてすごい、と褒めていた。もちろん、その能力を妬む者や、気味悪がる者もいた。しかし、それは極小数だけだった。態度が180度変わったのは私が8歳の時だ。あるとき、村人の連続殺人事件が起きた。犯人は今でも分からずじまいだが、一つだけわかっていることがある。それは、彼は誰かが死ぬ夜の前に必ず『声』が聞こえる、と言っていたことだ。

 とうとう村人たちは彼を気味悪がり食事を何日も、何ヶ月も抜いた。それでも彼は生き続けていた。隠れて狩りでも行っているのかと見張ったこともあるそうだが、そんな様子もなく、ただただお人好しな笑みを浮かべながら周りの目線なんて気にすることなく過ごしているだけだった。

 そして彼が──そして、私が10歳になった時、彼は姿を消した。『声』が聞こえる、とだけ言って。

 彼がどこに行ったのかは分からない。でも私は探し続けている。彼が私にだけこそっと教えてくれた、『声』が言っていることだけを頼りに。

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