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聴覚障害者の日常 緊急通報

作者: ぷかぷか

私の実母は高齢で、腰を痛めているので足が悪いが、杖をついてなら歩けたし炊事も出来た。

父が亡くなってからは、週1で病院の付き添い、買い物の付き添いのために帰っていた。

腰のブロック注射のための入院から退院した後、転けて骨折入院3ヶ月。

退院した後は足がすっかり弱って立つのもおぼつかなくなってしまった。

そのため、週1通うのではなくそのまま住み込みになって家事全般をうけおうことになった。

退院して1ヶ月たとうかと言う時に、突然、吐血し倒れた。

その日の朝、私は母がまだ寝ているのを確認して、母が寝起きしている部屋の隣にいた。しばらくすると、ドンドンと床を叩く振動を感じて隣を見ると、母が倒れて呼んでいた。

何事かとよっていったら、立てないと。

トイレへ行きたいと言うので起こそうとしたら、突然隣に置いてあったタオルに吐き出した。見ると、鮮血でしかも何度かはいたような感じ。

これはヤバイと直感的に感じ、救急車を呼ぶことにした。

お守りのように登録した電話リレーサービスを起動、緊急通報を押して待った。

ほどなくしてオペレーターがスマホの画面に写り、『どうしましたか?』と聞かれたので、手話で『母が血を吐いて倒れました

本当は、救急車をお願いしますと言うべきだったんだろうけど、すっ飛ばして早く早くって気がせいてしまったんだろうね。

『住所は?』

『お母さんの名前は?』

『年は?』

『意識はありますか?』

『玄関を開けてお待ちください』

『保険証、お薬手帳を用意してください』

このやり取りは、オペレーターさんが冷静に聞いてくれたので、こちらも落ち着いてきて、伝えることが出来た。ただ、住所も、名前も、ちょっと特殊なので、その時は文字を入力したのだけれど、手が震えてなかなか打てなかった。どうにかして打ち込んだので、正確に伝えられたと思う。

朝の7時半くらいに通報したのだけれど、救急車が来たのは10分後くらいで、来るまでに母が寒くないように布団をかけたり、汚れたものを片付けようとした。

母は元々看護師で、私が片付けようとするのを止めて、それは救急隊員に見せないといけないからそのままにしてと。

その時はまだ意識があって、自ら体を横にし顔を横にタオルをあてがっていた。吐血した血で窒息しないためだ。もう蒼白になっていてぐったりしていた。

病院セットが入った手提げに充電器を投げ入れ、着替え終わったところで、救急隊員がきた。

救急隊員に状態を説明、直ぐに出立できたと思う。救急隊員との会話はスマホの音声認識アプリで、アプリが反応しなかった時の筆談はマーカーで救急車の壁に書いてくれた。救急車の壁に書くなんてなんでもありなんだ!と感心してしまった。搬送先の病院が決まって着こうかという時に、母のバイタルがフラットになったのを見た。救急隊員は何事もないようにさっさと母を運んでいき、私は通路のベンチに案内された。

しばらくして、輸血が必要だからと同意書を書いていたら、今度は出血している所を調べるためにエコーなどすると言ってたくさんの同意書を書いた。

その時は母が非常に厳しい状態だと言われここ1週間は何があるか分かりませんと。

コロナ禍もあって、処置室で対面したあとはもう会えないと言われた。

説明をしてくださった医師は全て筆談してくれた。

処置室に連れていかれ母と対面したら、目を覚ましていて、タオルと管だらけになって、輸血処置されていた。意識回復したばかりだそうで、しっかり応答出来ていたので少しホッとした。

出血箇所を確認、止血するというところまで病院に待機し、後ろ髪引かれる思いで帰宅し、必要なものを持って病院に預けた。

あとから聞いた話だが、母は救急車で1回、入院先で1回、計2回バイタルが止まってたらしい。蘇生中息を吹き返したそうで、医者から「2回死んでるからね」と言われてたらしい。緊急搬送が上手くいって輸血も迅速に行われたので辛うじて救命出来たのだそう。


……


そんな感じで、母の緊急搬送、入院は突然だったけれど、電話リレーサービスをお守りのように登録しておいたおかげで無事に母を助けることが出来た。もちろん、ネット119も登録していたけれど、おそらく手が震えていて冷静に文字打ちができるか自信はなかったので、動揺している状態ならば、手話連絡を利用する方法をおすすめしたいと思う。

母は2週間の入院の後、退院して通院治療になりました。この入院でさらに足が弱って立てなくなってしまいましたが、リハビリを再開、どうにかバーを伝い歩きできるようになり、日々頑張っています。

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― 新着の感想 ―
[一言] お母様退院できて良かったですね。
[一言] お母さま助かって良かったです。 とても緊迫感のあるエッセイでした。
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