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06小麦色と派手な女


 あっという間に町についた。

 誰もいない路地で降ろしてもらい、戦友となった犬にソーセージを少し渡される。

 選別かな?

 満足げな表情をする犬とは裏腹に、僕は犬の卑しさに苦笑いを浮かべた。



「爪の先ほどのソーセージでドヤ顔されてもなぁ」



 早々に犬と別れ、考える。

 さて、どうしようか。

 やるべきことは多いけどやり方が分からない。


 僕は人より圧倒的に足りていない。

 体力、知識、能力。

 食料は結構持ってきたから七日間はもつだろう。


 一番に解決すべきは欠損した身体だ。

 なんとかしないとゴミあさりもろくにできない。


 ボトムズから聞いた話だと義肢装具を作っている店があるらしいが場所がわからない。

 人に聞きたいが特徴的な容姿では記憶に残りすぎる。


 ヤンが生きているかはわからないが、いま居所をつかまれるリスクは負えない。


 あれ? 詰んでる?



「ちょーかわいい!!」



 浮かれた黄色い声が僕の耳に突き刺さる。

 耳がキーンってなったよ。



「手も足もないの? なんで生きてるの? ちょーかわいいんですけど!」

「左腕はあるよ。あなたは誰?」

「あーしはリリだよ! スーパー冒険者やってますっ!」



 リリと名乗った女は目の横でピースを作り自己紹介をする。

 しかし、露出の多い派手な格好に気がとられよく聞き取れなかった。


 スーパー……なんだ?

 肌のコゲ具合がスーパーなの?


 まあいいや、路地で人に会えるなんて好都合だ、人目を最小限に抑えられる。



「そうなんだ。この町に詳しいの?」

「ちょっとぉ。あーしは名乗ったのに答えてくれないのー?」



 外ではゆきずり相手に名前を聞くのが常識なのか?

 赤い眉尻を下げ不満そうに問うリリはなおも僕の名乗りを待っている。



「ごめんよ。僕はハルク。義肢装具を売っている場所を知らない?」

「義肢装具って作り物の脚とか腕とかよね? 知ってるよー」



 よし! 一筋の希望が見えた! 嘘つきの色でもない。細く頼りないが希望にしがみつくぞ!



「でも教えなーい」



 はい希望が消えました。

 目と口を細めてリリはニィッと金属がついた口端をあげる。



「その可愛い身体を変えるなんてダメだよ。そんなことより、あーしの物にならない? ちゃんとご飯とか服とかあげるよ!」

「固いパン?」

「まさか! やらかいパンとスープ! お肉だってついてるよ! あーし結構お金持ってるんだぁ」

「ちょっと考えさせて」



 いやいや何を言っているんだ。

 いくら肉がついてるからって元に戻るだけ。

 死人奴隷に逆戻りだ。



「やっぱ嫌だ。義肢装具は他をあたるよ」

「えー! お布団もあるよ、お風呂だって!」

「嫌だって言ってるでしょ。僕は僕のものだ。誰かにとられるくらいなら死を選ぶ」



 心を生かすために命を賭けるって決めたから。

 リリが赤い頭を抱えて苦悶しているようすだが移動しよう。



「んーーーー!、ぐぬーーーー!、っっっはぁ」

「じゃあね」


「わーった! わーったわよ! あーしが教えたげる。義肢装具の店」



 なんか好転した。



「その代わり条件をつけさせて」



 こっちは手がかり無しなんだ多少の条件くらい是非もない。



「あーしの家に住んで、あーしのペットになって、あーしを癒やして!」

「却下。じゃあね」



 もの扱いから生きもの扱いになっただけで本質的になにも変わっていないじゃないか。



「じょーだん! 冗談よ! 住む場所が決まったら教えて、あーしは『とりのねぐら』って宿に住んでるから」

「それくらいなら……いいよ」



 冗談ではなく本気だっただろう。そんな色だったぞ。

 でも住む場所を教えるくらいならいい。

 面倒なことになれば場所を変えればいい。

 なんなら約束を反故にすることも簡単だ。



「住む場所を変えたらちゃんと教えてよね! 約束を反故にするってのも無しね。絶対探し出すから」

「ちょっと考えさせて」

「あんた結構食えないやつよね」



 なんだかんだ条件付きで義肢装具の店を教えてもらえた。


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