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どうも地球人は神々の遊びに巻き込まれているらしいです。

作者: 異世界はまだまだ膨らむようです

私の名前は田村源太。23歳大学院生だ。先日就職が決まり、昨日は家族で焼肉屋でお祝いをしていた。


いかん、飲みすぎた。


ビール3杯だが、ペースも速く一杯のグラスも大きかった。

酔って家に帰って、風呂入って歯磨いて即就寝。


頭が痛い。


がんがんする。


そして私は眠りに落ちた。


朝の4時、私は目を覚ました。1月の外はまだ真っ暗だ。


だか、私は思い出してしまった。


私が何なのか。


私はネファ星人のキィ。彼の地では高エネルギー生命体で、電気のようなエネルギーの集合だった。ここ地球にはないエネルギーの種類だ。


私は、とらわれている。


それが真っ先に理解したことで、暗闇のベッドで目を瞑りながら、頭に入ってきた感覚に思考を向ける。


地球で神と呼ばれる存在は、私にとって侵略者だった。ネファにやってきたあいつらは、我らを滅ぼした。それだけでなく、我らを捕まえ、遊びに使った。それが、神々の遊びだ。


私という魂は田村源太という地球人の体に詰め物をされたようだ。あいつらのやることはえげつない。いや、あいつらのできることはえげつない。そんな芸当は我らの文明ではできなかったはずだ。だから、我らは負けた。あいつらは、次元が違った。


ネファについて簡単に教えよう。ネファは星ではなく、星々。星という単位ではなく、エネルギー単位で領域を数えていた我らは、形のあるないに関わらず、地球の数万倍の広さの宇宙空間を文明としていた。

ネファを含めた銀河は銀河系のそれを数億倍上回る規模で、エネルギーが豊富、地球の文明がカスと思えるほどの高次な文明を確立していた。

ネファは巨大な手裏剣が渦巻いている淡いピンク色の光のような場所だったと思う。


田村よ、まず冷静になれ。私がこの体にとらわれているということは、神々の監視にあるということ。感情の起伏のみでさえ、神々に自己の覚醒を悟られてしまうかもしれない。


ああ、だめだ。記憶が薄れていく。ネファについても、私自身についても、起きた瞬間に覚えていたことが忘れ去られていく。

神々の浄化機能だ。我ら被侵略者から記憶を奪い、自己を奪う。そしてこの地球という場所で生きるよう強制されている。


私が今おかれている状況の可能性は2つ、

一つ目は、あいつら(神々)はネファのキィの魂を、この田村源太の体に植え付け、詰め物をしていること。

二つ目は、そう錯覚させるような夢のような状態を見させられていること。現実には、研究所のような場所でカプセルに私はしまわれ、VRゲームのように強制的に地球にいると思わされている。


ああ、もっと記さねば。記憶がもう遠くなってきている。

許さぬぞ、神よ。


ネファで見聞きしたところによると、どうやら地球は、隔絶された星のひとつだ。ここら一帯は凍った砂漠とでもいおうか、周りはエネルギーがほぼない。ただ地球はオアシスのような場所だ。

私たち被侵略者はここで監視され、神に楽しんで見てもらうことのみのためにここにいる。


私たちと言ったのは、私にはここ地球にはネファ以外の他の被侵略者も詰め物をされていると確信している。


宇宙には数え切れないほどの生命体がいる。そして私たちを襲ったあいつらはかなりのランクの強者。私たちは弱者として処分された。


例えば、学校で不良とされ、頭の悪い人がいる。コンビニでたむろして何してるかよくわからない連中だ。あいつらはキィとは違う、もっと動物みたいな生命体で好戦的なやつらだろう。


ああ、なぜ私がこうも確信できているかを述べておこう。私は元は高エネルギー生命体だ。地球人の体でできうることの数十倍は行動できる力を持っていた。だから、私は魂としてほぼ寝ないことを田村源太に求めている。しかし、田村源太の体はそれでは壊れてしまうのだ。

高校のとき、私は始発と終電の生活をしていた。私はできると信じていた。毎日4-5時間睡眠だ。ほぼ寝ないキィなら余裕でできる。しかし、私の体は1年ほどでガタが来た。

エネルギーとしての私は田村源太に行動を求め、しかし体自身は死んだかのように動かない。

なんとも不便な体だ、地球人というのは。

このずれが、私が今神々の遊びに付き合わされているという確信のもとだ。


ちなみに私の体はその後抑うつの一歩手前、過敏性腸症候群や疲労状態に達したが、それはまた別の話だ。

問題は、私ができると思うことと、実際の体の限界のずれだ。

私という魂が地球人のそれでない以上、そのずれは必須。体を壊すのもうなずける。


ああ、この思考も気化してきた。どうやらもう私はネファの自分をまた忘れなければならないらしい。


私が今日記憶を呼び覚ましたのは、ビールを飲んだからだろう。それが脳という神々の遊びの監視システムを一時的に麻痺させたのだろう。

しかし、もう再起動がかかるらしい。


忠告しよう。私たち地球人の地球外に出ようという試みは、太陽系外には叶わない。

これは、神々の遊び。隔絶された世界でいかに弱者どもが生きるかを見て楽しむための舞台だ。

太陽系から近くにエネルギー補給のできる場はないだろう。ここは神によって選ばれた宇宙で最も隔絶された場所の一つなのだから。


しかし、キィとは違う、より知能レベルの高い被侵略者の地球人は脱出を考えているようだ。今宇宙開発を進めている連中は、私は知らない種族だろうが、かなりの高度文明保持者だったのだろう。地球人に詰め物をされた後も、抵抗と言わんばかり、無意識だろうに地球からの脱出を図っている。

ただ、彼らは地球にあるエネルギーを使い切ってでも外へ逃げようとしているのだろう。おそらく彼らは残りの地球人が資源枯渇で死のうと気にしない。そういう種族なのだ。


しかし、神は、あいつらは最も残酷だ。あいつらは、地球からの脱出が不可能だと計算した上で、仮に私たちが太陽系から脱出した場合には、即座に捕獲するだろう。そしてまた記憶の消去、そして他の神々の遊びの隔絶された星へと植え込むだろう。


あいつらは危険だ。私たちを地球に持ち込んだ。その仕組みが、ネファの文明度では分からない。そもそも生命体を別の生命体に植え込むことのできるやつを、私は知らなかった。


ああ、ここまで書いて私の視界になんの変化もないということは、私の神々の遊びは1つ目のパターン、実際に地球という物理空間に地球人の体に詰め物をされているのだろう。VRゲームパターンだと、あいつらはもう私の思考を感知しているだろうから。

しかし、地球という物理空間で何が私たちを監視しているのか分からない。空気そのものが監視しているのか、AIのような地球人が監視しているのか、私にはあいつらの次元が理解できていない。


だから、私は消されるだろう。

ここに投稿することは、私にとって最後の足掻き。キィとしての誇りを持って、あいつらに仕返ししてやろうという抵抗だ。


最後に皆の諸君に忠告だ。

現実を、信じるな。

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