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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第95話 モンスター王子の攻撃力は高いです

 いきなり大臣級の役職を用意するなんて絶対ブランとゼランの仕業よね!?


 私がチラリとブランとゼランを見るとブランもゼランもしてやったりというように私の方を見ている。


 くっ! 私が文官として働きたいと言ったのは事実だけど何もいきなりこんな高位職を用意するなんてやり過ぎよ!


 どうせあの二人のことだから高位職に就いている方が自分たちと一緒にいても不自然じゃないって考えたに違いない。

 やられたわ!


「ハウゼン宰相。アリサは既にワイン伯爵領で充分な実績を上げている。その実績は大いに評価するに値するものと思うが」


 それまで黙っていたブランが言葉を発する。


「恐れながらブラント王太子殿下、一つの領地改革の成果がそのまま国政に通用するとは思えません」


 ハウゼン宰相はもっともな意見を言って私をチラリと見た。

 その瞳は明らかに私に憎悪を抱いている瞳だった。


 そういえばゼランの元婚約者はハウゼン宰相の娘だったはず。

 娘の婚約を台無しにした挙句に文官のナンバー2の座に収まろうとしている私のことを憎んでいてもおかしなことではない。

 むしろ私がハウゼン宰相だったら普通にそんな女のことを許すわけないわ。


 ただ一言言いたいとすれば私から首席総務事務官になりたいとは言ってないということだけは言いたいわね。


 でも今は国王の御前であり私は不用意に発言できない。


「ほお。アリサの実績では不十分だというのか。ところでハウゼン宰相は宰相の座について何年になる?」


「は? 私が宰相になった年数ですか?」


「そうだ」


 ブランの突然の話題変換にハウゼン宰相は戸惑いながらも答える。


「私は今年で宰相になって15年目ですが……」


「そうか、もう15年か。ところでその15年の間にハウゼン宰相は何の改革を行った?」


「え? 改革ですか?」


 ブランの緑の瞳は冷たい眼差しでハウゼン宰相を見つめる。


 うっ!超絶イケメンのその視線は恐怖しか与えないわよ!


 案の定、ハウゼン宰相は顔色が変わり冷や汗をかいている。


 う~ん、蛇に睨まれた蛙ってこのことね。


「は、私は国の安定のため尽力しておりまして……」


「そうか。でも国というのは守りだけに重点を置いておいても仕方あるまい。時代とともに国も変わらなければ国の繁栄には繋がらないと私は思う。それ故にアリサはこの国に新しい風を吹き込んでくれる存在だと思っている」


「新しい風ですか?」


「そうだ。アリサは僅か半年間でワイン伯爵領の改革を行い成果を上げている。15年かけても国に新しい繁栄をもたらせない誰かの能力が問われても仕方ないのでは?」


 ブランはハウゼン宰相に言外にこの人事に口出すならお前の責任を追及するぞと脅しをかける。


 さすがはモンスター王子ね。

 攻撃力が高いわ。


「も、申し訳ありません。私も国がより発展するように新しい首席総務事務官と力を合わせたいと願っています」


 ハウゼン宰相はそう言ってブランに頭を下げる。


「ではハウゼン宰相もアリサを首席総務事務官に任命することに賛成してくれるな?」


「はい! もちろんでございます!」


 あ~あ、宰相歴15年の人間もやっぱりモンスター王子には敵わなかったわね。


「父上。ハウゼン宰相も納得していただけたようですし。この人事に問題はないかと思います」


 ブランは最後に国王に向けて言葉を発して国王に一礼する。


「ふむ。ハウゼン宰相も納得してくれたのなら何も問題はないな。ではアリサよ。そなたの力を使って国をより豊かにせよ」


 国王はそう言って私を見つめる。


 その前に私が首席総務事務官を断るって選択肢はないのね。

 私は再びチラリとブランとゼランを見たが彼らは満足そうな顔でこちらを見ている。


 ここで私が首席総務事務官を辞退しようものならモンスター王子たちのそれこそ生贄になるわね。

 ここでの作戦は「命大事に」にしましょうっと。


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