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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第93話 勝負を決めるのはあれです

 その後セーラに私の住む宮殿を案内してもらった。

 寝室は二階でお風呂や食堂などは一階にある。

 私が嬉しかったのは二階に図書室がありいろんな書物があったことだ。


 これなら退屈はしないで済みそうね。


 そしてクリスも一緒の宮殿に住むのかと思ったがクリスには別棟に部屋が用意されているらしく使用人の案内でそちらの方に行っている。

 別棟と言っても私の宮殿のすぐ側にあるのでクリスと会うのは簡単だ。


 きっとブランやゼランが気を使ってくれたのだろう。

 ちなみに私の護衛騎士になったサタンは私と行動を共にしている。


 ほとんど無表情だから冷たい印象を受けるが私の問いかけにはちゃんと答えてくれる。

 これから仲良くしていけばいいわね。


 それとこの宮殿の名前も「ホシツキ宮殿」というらしい。

 まったく私の名前を勝手に付けないでよ。

 だが分かりやすいといえばこれ以上分かりやすい名前の宮殿はない。


 王宮ダンジョンで迷ったら「ホシツキ宮殿はどこですか?」って聞けるものね。


 昼食を食堂で食べると私はセーラに衣裳部屋に案内される。

 これから国王へ会うために私もそれなりのドレスを着る必要があるのだそうだ。

 今着ているドレスもワイン伯爵が買ってくれたドレスの中では豪華な方だ。


「どのドレスになさいますか?」


 私は衣裳部屋にギッシリと並んでいるドレスたちを見て思わず頭痛がしてきた。

 おそらくブランやゼランが私のために用意したであろうドレスの数は軽く100着ぐらいはある。


 あのモンスター王子たちめ!

 あれほど私にお金を使うなと言ったのに!


 だがよく考えてみれば「国のお金を使うな」と約束させたのはさっきの出来事だからそれ以前にこのドレスたちは出来上がっていたはずだから文句は言えない。


「とりあえずセーラに任せるわ」


「分かりました。ではこちらの青いドレスなどいかがでしょうか?」


 セーラは私にドレスを見せる。

 上質の布を使っているのは一目で分かるがそれほど華美な装飾は付いてない。

 どちらかというと私好みだ。


「それでいいわ」


「分かりました。ではお着替えを手伝います」


 それにしても何かの本で「お金持ちのお嬢様は同じ服を二度着ない」ってのを読んだことがあるけどまさに今がその気分だわ。

 このドレスたちを全部着るのに何日かかるのかしら。


 私はドレスに着替えた後に髪をセットしてもらっている。


「それにしてもこのドレスの数ってすごいわよね。セーラもそう思わない?」


「まあ、アリサ様。ここにあるのは普段着に使うようなドレスですよ。舞踏会用のドレスなどは別部屋でちゃんと管理されていますのでご安心ください」


 セーラはニッコリと笑うが私は対照的に顔が青ざめた。


 まさかここにあるドレスだけじゃないの?

 舞踏会用のドレスは別にあるですって!?


 私はさらに頭痛が酷くなった気がした。


 これからは絶対ブランやゼランに散財させたらダメだわ。


 私は準備万端でリビングに戻るとクリスが正装姿で待っていた。


「アリサ。とても綺麗ですね」


「ありがとう。でもこのドレスは私には高価過ぎないかな?」


「王宮ではそれぐらいのドレスを着ている令嬢はたくさんいますから大丈夫ですよ」


「そう? だったら仕方ないか」


 そこへブランとゼランがやって来た。

 ちなみに今回はブランはちゃんと白い王太子の服を着てゼランは紺色の王子の服を着ている。


「アリサ! なんて美しいんだ! やはり君は湖の上の黒鳥のようだ」


「本当にアリサは何を着ても似合うよね。美人がますます美人になって素晴らしいよ!」


 ブランとゼランが私を見て褒める。

 私のどこがそんなに美しいのか私にはまったく分からないけどモンスター王子たちは私の姿に満足したようだ。


 こんな軽い口調で女性を褒めることのできる人間たちが今まで女性に興味を示さなかったというのは本当なのだろうか。

 つい疑ってしまうわ。


「では父上と母上たちが待っているから謁見の間に行こう」


 ブランがそう言った後にゼランを見る。


 うん? なんか二人の間に冷気が漂っているんですけど……。


「ゼラン。いつもの勝負でいいな?」


「望むところだ、ブラン」


 へ? 勝負って何ですか?

 まさか私を賭けた決闘とか?

 危ないことはマジでやめてよ!


 次の瞬間、ブランの声が部屋に響き渡る。


「じゃんけんぽん!」


 二人はいきなりじゃんけんをしてブランがパー、ゼランがグーでブランが勝った。


「よし! アリサをエスコートするのは私だ!」


「くそ! 負けたか!」


 ゼランが激しく悔しがる。

 ブランが私の手を取った。


 はい!? 私をどちらがエスコートするかでじゃんけんしたの? ってかこの世界にもじゃんけんがあるの!?


「ハハ……」


 私は力なく笑った。

 決闘とかよりはいいかもしれないけど超絶イケメン王子が真剣な顔してじゃんけんで勝負を決めるなんて。


 ここは嘘でも剣での決闘してもらいたい場面だったわ。


 私ってじゃんけん大会の商品なのかしら。




 平和でいいじゃないか。




 まあ、そうね。平和が一番ね。


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