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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第90話 国のお金を使ってはいけません

 渡り廊下の先には小さな宮殿があった。

 明らかに最近建てられたばかりの新しい宮殿だと分かる。

 廊下の柱に彫ってある彫刻も美しく廊下に敷いてある絨毯も色彩が鮮やかだ。


 そういえばブランの手紙に私専用の宮殿を造ったとか書いてあったっけ。

 他の宮殿に比べれば小さいかもしれないけどこんな豪華な宮殿を私のために造るなんて税金の無駄遣いよ。


 その宮殿は二階建てで部屋の数もそれなりにありそうだ。

 まさかここを一人で使えというの?


「ここがホシツキ庭園を見ながらゆっくりできるリビングだ」


 ゼランがそう言って私を部屋に招き入れる。


 そうだった。私のためにゼランは庭園を造ったのよね。


 私はそのリビングに入って言葉を失う。

 窓は大きなガラスで出来ていてリビングの中から庭園がよく見える。

 庭園にはいろんな色の花々が咲いている。


 わあ~! すごく綺麗だわ~!


 私は思わず溜息をついた。


 まるでここにいたら自分がお姫様になった気分だわ。


 いつの間にか護衛の騎士は廊下で待機していてリビングには私とブランとゼランとクリスの四人だけになっている。


「気に入ってくれたかな? アリサ」


 ブランが笑顔で私に尋ねる。

 私はその言葉に思わず頷きそうになってハッと我に返る。


 また、超絶イケメンビームにやられそうになったわ。

 ここは最初が肝心よね。

 私のために無駄遣いをさせないようにハッキリと言わないと。


「ブラン様、ゼラン様。私のために住居を用意していただいたのは嬉しいですがこのように新しい宮殿や庭園を私のために造ることは二度としないでください」


 私がハッキリというとブランもゼランも動揺した表情になる。


「この宮殿や庭園が気に入らなかったのかい?」


「そういうことではありません、ブラン様。この宮殿や庭園を造ったお金は国のお金でしょう?」


「あ、ああ。それはそうだが……」


「いいですか。国のお金は国民の税金がほとんどのはずです。そのお金を私的な理由で使うことは今後私が許しませんからね!」


 私の強い口調にブランもゼランもタジタジになっている。


「分かったよ。アリサ。国の金を私的なことには使わないと約束する」


「私もだ」


 ブランもゼランも私の前で誓う。


「絶対に絶対ですからね!」


 私が念を押すと二人は頷く。が、次の言葉に私は唖然とする。


「確かに、この宮殿や庭園を造るのに国の金を使ったことは謝る。これからは自分の個人財産を使ってアリサにプレゼントするよ」


「私もブランと同じように個人財産からお金を使うことにするよ」


「え? 個人財産? ブラン様もゼラン様も個人財産を持っているんですか?」


「ああ。王子として生まれた時に自分用の土地をもらってあるからそこを使った収益はそれなりにあるんだ」


 ブランの説明に私は驚く。


 くっ! 個人財産から支出されたら何も言えないわ!

 さすがにモンスター王子たちね。一筋縄ではいかないわ!


 でも個人財産ならそれほどの収入はないだろう。


「そうですね。個人財産を使うならいいでしょう」


 私は後からこの時の言葉を悔やむことになる。

 王子の個人財産は私の想像を遥かに超えていたのだ。


 私の言葉を聞いてブランもゼランも僅かに口元にニヤリと笑みを浮かべたことに私は気付かなかった。


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