表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/257

第8話 この国は最弱国家のようです

「まず、何から話した方がいいですか?」


 クリスの問いに私は考える。

 まずは「ダイアモンド王国」ってふざけた名前のこの国のことを聞こうかな。

 どんな国か分かれば対処もできるし。


「まずはダイアモンド王国について教えてくれる?」


「はい。分かりました。ダイアモンド王国は国王の治める国ですが王都の付近の直轄領以外は貴族が領地を治めています」


 ふ~ん、東京に内閣総理大臣がいて都道府県に知事がいるのと同じかしらね。


「各貴族は自分の領地を管理して民から税金を徴収して国に納めます。これはお金であったり特産品だったりします」


 なるほど、ちゃんと税金を貴族に納めさせているのね。


「このワイン伯爵領はダイアモンド王国の南側に位置していて領地の一部は海に接している所もあります」


「ちょっと待って。ダイアモンド王国の地図とかはない?」


 頭で想像するより地図を見た方が一目瞭然だ。

 クリスは私の部屋の本棚から一冊の本を出す。


「この本には大陸の地図も載っているのでこれで説明した方が分かりやすいですね」


 クリスが頭の良い子で助かるわ。

 イケメンでも頭の悪い男はNGよ。


「これが大陸の地図です」


 私はクリスが大陸の地図だというモノを見てちょっと驚く。


 私の中では大陸というのは大きな丸いような形の土地だと思っていたがそこに描かれていたのは三つの楕円形の丸型が僅かな中央部分で陸続きになっている形だった。

 トランプの三つ葉の葉っぱだけのような感じって言えばいいかしら。


「この大陸はこのように三つに大きく分かれた形になっています。西側の大陸を治めているのはサファイヤ王国、北側の大陸を治めているのがルビー王国、東側の大陸を治めているのがエメラルド王国です」


「……素敵な名前の王国ばかりね……」


 もうこの世界の神様のネーミングセンスが壊滅的にないことが分かったわ。

 これはある意味モンスターが出てくるより衝撃的だけど、この私がこの程度でビビると思ったら大間違いだわよ!

 この程度は予測の範囲内だもの。


「それでダイアモンド王国はどこ?」


「ここの三大国に挟まれた大陸の中央部分です」


「それってここはめっちゃ小さい国ってこと?」


「まあ、三大国とは比較にならない小さな国ですけど、国土的にはそれなりの大きさはありますよ」


 クリスの説明に私は日本を思い出す。

 世界地図では小さい島国だけど住んでる者の感覚で言えばそれなりの国土はあるように感じるわよね。


 北海道とか沖縄に行くのに飛行機を使えばすぐだけどこの世界に飛行機があるとは思えないし。

 あっても馬車ぐらい?

 だったら広く感じるわよね。


「ということはダイアモンド王国は唯一、三大国と陸続きで領土が接している国ということ?」


「はい。それがダイアモンド王国の悩みであり、今までかろうじて生き残って来た理由というか……」


「生き残って来た理由?」


「はい。元々、東も西も北の大陸にも数々の国があったんですが戦が起こってそれぞれの大陸を最終的に支配したのが先ほど言った三大国でした」


「ふ~ん」


「ダイアモンド王国はどこの国の味方もせず中立でいたんですが約100年前に同時期に三大国がそれぞれの大陸で覇者となってしまい、いざ他の大陸に侵攻しようと考えたらダイアモンド王国を自分の領土にする必要があるんですが……」


 クリスはそこで難しい顔になる。


「ダイアモンド王国が中立を保っていたためダイアモンド王国に攻め入ると他の二大国が黙ってはいないという構図になってしまい、それから三大国はダイアモンド王国を中心にして睨み合いが続いてるんです」


「なるほど。ダイアモンド王国がどこの国の物になるかによって三大国のバランスが崩れるのね?」


「はい。ダイアモンド王国は他の三大国に対抗できる軍事力もないし。どこかの国が「攻める」と決めたらダイアモンド王国はすぐに滅びてしまうでしょう」


 三大国が睨み合っているうちはダイアモンド王国は存続するだろうけど、それは三大国の気分しだいで簡単に無くなってしまう最弱国家ってところかしらね。

 そういえば大国同士の睨み合いで元の国が分断された国もあったわね。


「ダイアモンド王国はどこかの国と同盟を結ぶつもりはなかったの?」


「そんなことをすれば他の二大国に攻められてしまいます。三大国のどこにも属してないということが大事なんです」


「それもそうね。ダイアモンド王国があるおかげで三大国は陸地で国境を接しなくて済むから睨み合ってるんでしょ?」


「そのとおりです。でもそれがいつまで続くか分かりません……」


 いろいろとこの国も大変なのねえ。

 でも私がどうこうできる問題ではないわね。


「えっと、それでワイン伯爵領はどこ?」


「はい。これがダイアモンド王国内の地図です」


 地図はいくつも線で区切られている。


「ここがワイン伯爵領です。自分で言うのもなんですがワイン伯爵家は歴史ある家なんですよ」


「そうなの。けっこうそれなりに領地があるじゃない。なのに領地経営は厳しい状況なの?」


「ええ。父上はあまり事務処理が得意な方ではなくいつも国に報告するために四苦八苦しながら書類を作成してます。その報告書によって国から統治のお金が出るんですがうちはあまり予算がもらえず」


 う~ん、ワイン伯爵家は中間管理職ってことかしらね。

 課長の力量で業務成績に影響があるのは私も経験済みである。


 事務書類は正確な書類であることはもちろんだが上への報告には説明するための分かりやすい資料と説明者である課長の力量が試される。


 ワイン伯爵って人は良さそうだけど良すぎてダメなところがありそうな人物だものね。

 私はワイン伯爵の笑顔を思い浮かべた。


 笑顔は大事だけどそれだけで管理職は務まらないのよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ