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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第78話 警備員の勧誘開始です

 洞窟の中は思ったより広く洞窟の中に家が建ってる。

 しかもどういう理由かは分からないが洞窟の天井や壁は何か光を放つモノが付着しているらしく外にいるのと変わりないぐらい明るい。


 私はウルフについて一軒の家に入る。

 ウルフは部屋に私を入れると他の盗賊たちには部屋の外で見張っているようにと指示を出す。

 盗賊たちは素直にウルフの命令に従う。


 う~ん、やっぱりこのウルフって男を中心に盗賊たちは従っているみたいね。


 よく女を見ると手を出して来そうな盗賊のイメージもあったがここの盗賊たちは下品な言葉を私に言うこともなく統率が取れている。


 ますます手に入れたい人材だわ。


 ウルフは豪華なソファに座ると私にもそのソファに座るように言う。


「お前も座れ」


「私はお前じゃなくてアリサよ」


「イチイチうるさい奴だな。分かったよ。アリサって呼べばいいんだろ」


 ウルフは茶髪をかき上げながらテーブルにあった飲み物をコップに淹れて飲む。


「アリサも飲むか?」


「何それ? お酒?」


「ああ。この国でもなかなか手に入らない珍しい酒だ」


「今から貴方と話をするからお酒はいらないわ」


「そうか。それでわざわざ伯爵令嬢が荷馬車に紛れて俺に会いに来た理由はなんだ?」


 私はウルフの隣に座りながら少し緊張して話し出す。

 ここで失敗するわけにはいかない。


「単刀直入に言うわ。ウルフにワイン伯爵領の警備員として働いてくれないかと思って頼みに来たの」


「はあ!? 警備員!?」


「そうよ」


 そりゃ、驚くわよね。

 盗賊の頭に警備員になってほしいなんて言い出したら。


「お前、やっぱりおかしいのか?」


「何もタダで警備員になって欲しいなんて言わないわ。ウルフにもいい条件を持って来たわ」


「条件? いったいなんだ?」


「ワイン伯爵領の警備員になってくれたら今までの盗賊としての罪は帳消しにしてあげるわ」


「なに?」


 ウルフは僅かに驚いた表情をした。


「俺の今までの罪をチャラにするのか?」


「そうよ。この国で犯罪者は「死刑」って決まってるのは知ってるでしょ?警備員になれば警備隊に捕まって「死刑」になることに怯えることなく安定した収入を得て町で堂々と生活できるわ」


「フン、そんなこと信用できるか。それに俺には仲間たちがいるからな」


「あら、私はウルフだけを警備員にしたいなんて言ってないわよ。当然、この盗賊団の盗賊の人たちをみんな警備員として雇うわ」


「なんだと!?」


 ウルフは明らかに動揺している。

 でもこれは私の狙い通りだわ。

 この漢は部下を大事にするタイプと見たわ。


「部下の人たちも捕まって「死刑」になることもなくなって安定した職に就けるのよ。確かに警備隊よりは給料は少ないけど普通に生活していく分ぐらいの給料は出すつもりよ」


 ウルフは私の顔を見て真剣な顔になる。

 部下も盗賊の罪を免除してもらえるならと考えているのだろう。


「アリサの言ったことが守られるという証拠は?」


「このワイン伯爵領では仕事をする場合雇用契約書を結ぶように義務化されているのは知ってる?」


「ああ。その話は聞いてる」


「だからワイン伯爵との雇用契約書にその内容を記載したモノをウルフや他の盗賊さんたちと結ぶわ。これに違反したら国の仲裁人に申し立てができてワイン伯爵が罰せられるはずよ」


 私の言葉にウルフは悩んでいたが私に確認するように言う。


「なぜ俺たちを警備員にするなんて思いついたんだ?」


「それは貴方たちが盗みはするけど人を殺さず剣の腕がありそして組織として統率が取れた者たちだからよ。そういう人材を探していたの」


「お前はとんでもねえ奴だな」


 ウルフは呆れている。


「それでどうする?私のお願いを聞いてもらえるのかしら?」


「俺の独断ではできない。部下の意見も聞きたいしな。明日、皆を集めて話し合いをしてみる」


「そう。それは大事なことよね。分かったわ。話し合いが終わるまで待つわ」


「待つってここでか?」


「あら、私がいた方が実際に警備員としてどんな仕事をするか説明できるからいいでしょ?」


「俺がアリサを襲うとか思わないのか?」


 ウルフは目を細めて私を見る。


「私を襲うぐらいの男だったらそもそも私の話なんて聞いてくれないでしょ?ウルフを信じているわ」


「はあ……。アリサみたいな女は初めてだ」


 まあ、そうでしょうね。

 とりあえず話は聞いてもらえたし後は盗賊の皆を説得するだけね。


「分かった。とりあえず今日はこの俺の家に泊るといい」


「ありがとう。ウルフ」


 私はニコリと笑みを浮かべた。



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