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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第72話 盗賊が出ました

 次の日。私は町の警備についてもう少しジャッカルの意見を聞きたかったのでジャッカルの部屋に行く。


 私軍のほとんどの兵士は「即応軍人制度」の契約書をワイン伯爵と結び自分の村に帰ったので今は私軍が駐留していた場所は僅かな兵士しかいない。

 それに兵士としての訓練もやるが「即応軍人制度」の事務作業をメインに行う人物たちだ。


 私がジャッカルの部屋に行くとそこにはクリスとジャッカルともう一人見知らぬ男性がいた。


「あれ? クリス、ここにいたの?」


 私が部屋に入ってクリスたちに声をかける。


「アリサ。何か用事でしたか?」


「うん。町の警備に関してのことをもっとジャッカルに聞きたいなと思って」


「だったらちょうど良かったです。アリサは直接会うのは初めてでしたね。こちらにいるのはワイン伯爵領の警備隊長官のマックスです。マックス、こちらは僕の姉のアリサです」


 クリスは私と初対面の男性を紹介する。


「初めまして、アリサ様。ワイン伯爵領警備隊長官のマックス・パワーです」


「ああ、貴方がマックスさんね。ワイン伯爵の娘のアリサです。以前ジャッカルからマックスさんは王都で研修中って聞いてたけど終わったの?」


「はい。先週戻って参りました。ご挨拶が遅れて申し訳ありません」


「いえ、気にしないでいいわ」


 警備隊というのは各領地にいるが警備長官になる者には三年に一度王都で行う警備隊長官を集めた研修を受けなければならないらしい。


 本当は町の警備の話が出た時にその代表である警備隊長官に会いたかったのだが運悪くマックス長官は研修に行って不在だったのだ。


 なのでその間は警備隊の副長官と私軍の軍隊長のジャッカルが協力してワイン伯爵領の治安を守っていたのだ。


「クリスは何でここにいたの?」


「ああ、マックスから盗賊の被害についての報告を受けてどう対応するかジャッカルの意見も聞きながら話し合いしてたんです」


 盗賊? なんか穏やかではないわね。

 このワイン伯爵領には盗賊が出るの?


「盗賊がこの辺りには出るの?」


「はい。主に商人の荷物や貴族の馬車が狙われます」


「へえ、物騒なのね。盗賊は捕まえられないの?」


「それがワイン伯爵領にいる盗賊は人数も多いながら軍隊のように統率された動きをして荷馬車を襲って来るので警備隊が駆け付ける頃には既に逃げた後ってことが多くて」


「面目ありません」


 クリスの言葉にマックスが謝る。

 まあ、マックスとしては盗賊がいると分かっているのに捕まえられないのは責任を感じているのだろう。


「まあ、起こってしまったことは仕方ないわね。それで今回はどんな被害が出たの? 人的被害はどのくらい?」


 盗賊が頻繁に出没することが噂で流れたらワイン伯爵領にせっかく来てくれている商人たちが来なくなるかもしれない。

 対策を練るのは大事だろう。


「今回も人的被害はありません。荷物は全て盗られましたが持ち主の商人もそれを警護していた者たちも無事で怪我人は一人もいません」


「はい?」


 私はクリスの説明を聞いて驚いた。


 普通は盗賊って馬車とかを襲う時にそれを警備する者と切り合いとかになって死なないまでも怪我人ぐらいは出るもんじゃないの?


「ちょっと待って、クリス。怪我人が一人もいないってどういうこと? しかも「今回も」って言ったわよねえ」


「それなら私から説明させていただきます」


 マックスがそう言って私に説明してくれる。


「ワイン伯爵領にいる盗賊は商人たちの荷物は奪いますが人を傷つけることは基本的にしません。もちろん擦り傷程度の怪我をする場合もありますが今までその盗賊団は人を殺したことがないのです」


「え? 人を殺したことないの? でも盗賊って剣とか持って襲って来るんじゃないの?」


「はい。襲われた者たちの話では確かに剣などで襲って来るのですが盗賊団たちは全て当て身だけで警備の者を倒してしまうのです」


「はあ!? そんなこと可能なの?」


「それだけ盗賊団たちの剣の腕がいいってことです」


 それまで黙っていたジャッカルが発言する。


「ジャッカルの言う通りです。しかも彼らは頭をトップにして軍隊のように無駄な動きもしません。なので荷物だけ盗んでさっさと姿を消してしまいます」


 それって一種の義賊っぽい盗賊団なの?


「でもそれだけ分かっているのに捕まえられないの?」


「それが盗賊団の隠れ場所がどうやっても発見できないのです。申し訳ありません」


「ふ~ん、そうなの」


 剣の腕が高く軍隊のように頭をトップに統率された集団で人殺しはしていない……。


 その時私の中にあることが閃いた。

 

 まさにこれは神様からの啓示だわ!


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