第65話 好感度が上がったようです
「あ、あのブラン様、ゼラン様。嫁ぐって言っても今すぐじゃないですよね?」
「アリサの身の回りの品はこちらで用意するから身ひとつで王宮に来ればいいから数日中には王宮から迎えを寄越せるが」
ブランは笑顔で私に言う。
数日中ってそれはいくらなんでも無理!
それに私はブランにもゼランにもプロポーズの返事をしていない。
「あの私はお二人のどちらかをまだ選んでいませんし……」
「迷っているなら共に王宮で過ごしているうちに選べばいいだけだ」
ゼランは「それが何か問題か?」って表情をしている。
いやいや、結婚相手を決めないうちに二人と同棲生活開始とかありえないでしょ!
でも王太子命令や王子命令をワイン伯爵が逆らうことはできないことは分かってる。
「実は私は今ワイン伯爵領でやらなければならないことが残っているんです」
「やらなければならないこと?」
「それは何だ?」
ブランもゼランも首を傾げながら私の次の言葉を待っている。
良かった、話を聞いてくれるのね。
「実は今私はお父様と領地改革を始めたところでして」
「領地改革!? アリサが?」
「アリサが本当に領地改革しているのか?」
まあ、この国の人ならそういう反応になるわよね。
「アリサ姉様は異国で文官をしていたのでその知識を使ってワイン伯爵領を豊かにするために今いろんな事業を始めたばかりなんです」
クリスが私を援護してくれる。
「そうなんです。なのでせめて王宮に行くのをもう少し待ってくれませんか?私は命の恩人であるワイン伯爵様に恩を返してから自分の結婚について考えたいんです」
私は自分の思いをブランとゼランに話す。
お願い分かってちょうだい。モンスター王子様たち。
「そうか。それならアリサをすぐに王宮に呼ぶのは可哀想だな」
「確かに。ブランの言う通りだ。アリサの恩人に恩を返したいという気持ちは尊重したい」
二人とも「どうするか?」と悩んでいるようだ。
しばしの沈黙の後にブランが言う。
「では、半年の猶予を与えよう」
「半年の猶予?」
「ああ、王宮には半年後に来るように。それまでは我々と文通をするというのはどうだ?」
「それがいい。私も文通してくれるなら半年待ってもいい」
文通ですか?
まあ、この世界で遠距離恋愛するなら文通でしょうねえ。
でも私が王宮に行くのは決定事項なのね。
もうこうなったら腹をくくるわよ。
「分かりました。半年後に王宮に行きます。ただ、こちらにも条件があります」
「何だ? 申してみよ」
私はブランとゼランにハッキリと宣言する。
「私が王宮に行く時の身分は文官扱いにしてください」
「なんだと? 私やゼランの婚約者候補では不満なのか?」
「不満ではなく私はこの国の文官の仕事をしてみたいのです。この国をより良くするために。もちろんブラン様やゼラン様のどちらかを選ぶ時間も欲しいですし」
私の言葉にブランもゼランも呆気にとられた顔をしていたが次の瞬間二人に同時に言われた。
『惚れ直した!!』
「はい!?」
何ですか? いったい?
「こんなに国のことを思ってくれる女性に会えるなんて」
「まさに私好みの女性だ」
ブランもゼランも緑の瞳を輝かせている。
え? 嫌われるかもしれない気持ちで条件つけてみたんだけど、まさかの好感度アップですか!?




