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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第52話 市場がバラバラです

「こんにちは。おばさん」


「いらっしゃい。お嬢ちゃん。何を買うんだい?」


「あ、え~と、ちょっとお話を聞きたくて……」


「フン! 冷やかしならよそへ行きな!」


 私の言葉におばさんは機嫌を損ねたように冷たく言った。


 そうよね。何も買わない人間を相手にするほど暇じゃないわよね。


 私がどうしようかと思っているとジャッカルが千円札を一枚おばさんに渡す。


「忙しいところ悪いがこの人の質問に答えてくれないかな?」


 おばさんはジャッカルの手から千円札をひったくるように受け取るとポケットにしまう。


「それでお嬢ちゃんは何が聞きたいんだい?」


 おばさんは先ほどとは違い笑みを見せる。


 さすがジャッカルね。情報の聞き出し方を心得てるわ。

 でもおばさんもあからさまに態度変えるなんてお金って恐ろしいわね。


「あ、質問は何でここで商売しているのかなって思って? この町には市場は無いの?」


「市場はあるけど市場に店を出すには高い場所代を組合に払わないとだから私のような貧乏人はこうやって路上で商売するしかないのさ」


 そうか。市場でお店を出すには場所代を払う必要があるのね。

 それにしても組合って農協みたいなもの?


「ねえ、ジャッカル。この町の市場って大きいの?」


「そうでもないですよ。こじんまりした市場がいくつかあります」


「え? いくつも市場が分かれているの?」


「はい。農産物の市場、果物の市場、肉の市場、織物や木工品の市場などが点在してるって感じですね」


 私の市場のイメージは大きな所にいろんな物が集まって商売人たちが売買している様子だった。

 一か所に集まった方が商売もやりやすいのではないだろうか?


「なんで、バラバラに市場があるの? 一か所に集めた方が売買も効率的じゃないの?」


「それはそうですが一か所で開催できる広い場所を確保するのが大変なんでしょう」


 ジャッカルはそう言って肩を竦める。


 確かに市場は広い場所が必要だ。

 その時私の脳裏にローズ夫人と歩いた広場が思い浮かんだ。


「ねえ。植物園のある広場を使えばいいんじゃない?」


「ああ、あそこですか。まあ、あそこは伯爵家の土地ですからね。ワイン伯爵様が許可すれば使えると思いますが……」


「え? あの広場って伯爵家の土地なの?」


「そうですよ。伯爵家の個人資産の一つです」


 へえ、そうなんだ。知らなかったわ。

 でもそれじゃあ、好都合じゃない。


 ワイン伯爵の裁量で使える土地があるならそれに越したことはない。

 それにそれだったら場所代も安く設定できるし。


「それにしてもあの広場が伯爵家の土地とはねえ。何で今までもっと有効活用しなかったのかしら」


「う~ん。ワイン伯爵様はあんまり商売には向いてる性格ではないし気付かなかったんじゃないですか?」


「……そうね。お父様ってそんな感じよね」


 ワイン伯爵がバリバリに商売やってるイメージが思い浮かばない。

 それどころか商人たちからカモにされそうよね。

 安い物でも高い金額出して買っちゃうような。


 やっぱりワイン伯爵は自分の土地を使って商売しようとか思わないよね。

 クリスは領主貴族の中には自分で商売して収入を得る人もいるけどワイン伯爵は無理ね。

 あ、でもシラーとシャルドネがちゃんと見張ってれば大丈夫かな。




 とことん信頼されていないワイン伯爵が可哀想である。




「とりあえず市場が見たいわ」

「じゃあ、近くの市場に行ってみましょうか」


 私とジャッカルは二人で市場に向かった。


脇田朝洋のトモです。いつも作品を読んでいただきありがとうございます。

私は持病があるため時々通院で執筆活動ができない日もあります。

更新が遅くなりますが皆さんのご理解をお願い致します。

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