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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第51話 教育を受けられることは幸せです

 でも本は貴重なモノだとは思わなかったわね。

 私の感覚だと日本で本を手に入れるのは容易いし、だいたいの本は中学生にもなれば読めるような本ばかりだ。


 私は当たり前に本を読んでたけど、それは学校で文字を習ったから。

 今まであんまり自覚はなかったけど、本当に教育って大事なのね。


 日本に当たり前に教育を受ける権利があることはそれだけで幸せなことなのかもしれない。

 今は大学を卒業するのは当たり前の世の中になりつつあるけど、それがどんなに幸せなことか学生の皆さんも考えてみてね。


 世の中には大学どころか高校にすら家庭の事情で通えない人たちがいるのだから。

 私の同級生にもそういう子がいた。


 最初は普通に受験して公立の高校に通っていたけどその子の父親が失業して高校の授業料を払えず、その子は途中から定時制に切り替えた。

 昼間はスーパーでバイトして夜になると学校に通っていた。


 私は身近な子のそういう姿を見たから「高校に行くのが当たり前」と思っていた自分がいかに幸せだったのか思い知った。


 幸い私は高卒で地方公務員になれたけれど、もし公務員の試験に落ちてたら自分は何をしていただろうと思う時がある。


 日常って失ってみてそのありがたみが分かるんだよね。


「そういえばさっきの本屋では漫画本とかはなかったわね。ジャッカル、この国に漫画本は無いの?」


 私は「ある」という答えは期待してないけど一応聞いてみた。

 中世ヨーロッパ時代みたいな世界に漫画本とかライトノベルとかあったら奇跡よねえ。


「ありますよ」


「そう、あるのね……って、漫画本がある!?」


 私は驚いて声を上げた。


「それってホントにホントに漫画本なの!?」


「え? はい、私も実は漫画が好きでして……」


 ジャッカルは少し照れたように顔を赤くする。


 奇跡が起きたわ!! ありがとう、神様!!


「でもさっきの本屋にはなかったじゃない!?」


「ああ、さっきの本屋は専門書の店ですからね。ほら、こっちの本屋にはありますよ」


 私はジャッカルが指差すお店を見る。

 そこも本屋で店の前にも本を出して売っている。

 そしてそこには確かに漫画本が置いてあった。


「うそーーー!!! 本当に漫画だわ!!」


 私は漫画本を一冊手に取って中身を見る。

 日本の漫画本とそんなに違いはない。


「ねえ、ジャッカル。今人気の漫画本ってあるの?」


「そうですねえ。最近はこの「天使の刃」って奴ですかね」


 うん? なんとなく似たような漫画を日本でも見たような……。

 でもそこは追及しちゃいけないわね。

 ご都合主義の神様がへそを曲げて漫画本のない世界にしたら困るもんね。


「でもジャッカル。本は貴重なモノじゃないの?」


 漫画本って子供たちとかが見るから貴重なモノって言えるのかな?


「貴重ですよ。その漫画本の値段見てください」


「え? 値段?」


 私は漫画本の値段を見て驚愕した。


「二、二千円!? 漫画本一冊で!?」


「そうです。だから漫画本は大人が買うのが普通です」


 マジですか!?

 大人の漫画って怪しい漫画本じゃないんだからさ!


 私が漫画本を手にしてる時にその本屋から少し離れたところの道に敷物を敷いて野菜を売ってる人がいた。


 こんなところで野菜を売ってるの?


 私は興味を引かれてその売り子のおばさんに話かけてみた。


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