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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第42話 子育て支援は大切です

 私たちはまず一軒の家を訪ねた。

 そこには若い女性が1歳ぐらいの子供を背負いながら洗濯物を干していた。


「こんにちは。私はアリサ・ホシツキ・ロゼ・ワインです。ちょっとお話を聞かせてもらっていいですか?」


 私が笑顔でその女性に話かけると女性は驚いて洗濯物を干す手を止める。


「こ、これはワイン伯爵様のお身内の方ですか? 失礼しました」


 女性は慌てて頭を下げる。


「いいのよ。気にしないで。ちょっと話を聞きたいだけだから」


「私にですか?」


「ええ、そうよ」


 女性は明らかに困惑している。


 まあ、私は養女とはいえ領主の娘。いきなり声をかけたら驚くよね。

 これが身分制度ってやつなんだろうけどさ。


「実はね。村の女性が普段どんなことをやってるか知りたくて……」


「普段やっていることですか?」


「そうよ。例えば貴女はどのような仕事をしているの?」


「はあ……。家族の食事作りや掃除や洗濯や買い物でしょうか」


 なるほど、典型的な専業主婦ね。


「それで貴女自身は何か収入を得るような仕事はしてるの?」


「いいえ。私は子供がまだ小さいので働きに出ることはできません」


 私は公務員時代の女性職員たちのことを思い出した。

 彼女たちのほとんどは子供を保育園に預けて働いている。

 そう、女性が働くためにまず必要なのは子育てに関する支援だ。


「もし、子供を誰かが預かって面倒を見てくれたら貴女は働きたい?」


「もちろんです。少しでも家計の役に立つように仕事をしたいです」


「それは畑仕事?」


「畑仕事の手伝いもしたいですし、織物などを織って売ったりしたいですね」


 なるほどね。この人は働く意欲はあるけど子供が小さいから専業主婦をしているのか。


「クリス。この国には保育園とかあるの?」


「ほいくえん……ですか?」


「そうよ。幼い子供たちを集めて面倒を見てくれる場所よ。私の国では若い母親はそこに子供を預けて仕事に働きに出ていたわ」


「そうなんですか。残念ながらこの国にはそのような施設はありません。孤児を集めて育てる場所はありますが普通の家庭の子供は母親が育てますので」


 う~ん、その言葉も「男女差別」って言われるから日本ではあまり言わないようにね。

 まあ、クリスが日本に行くことはないでしょうけど。


 それにしても孤児院はあるけど保育園は無いのか。

 これは早急に保育園を作るべきね。


 私たちは他の女性にも話を聞いてみたがやはり答えは同じようなモノだった。

 幼い子供がいるから働きに出られないということと、女性を雇ってくれるような職場があまりないという意見が多かった。


「ねえ、クリス。女でも学校には行けるわよね?」


「はい。それは可能ですが男子に比べると女子が学校に行ける割合は少ないですね」


 それはつまり「男尊女卑」の考えかもしれないわね。

 女性にも教育を受ける権利はあるはず。


 ダイアモンド王国の法律書には女子だから学校に行って教育を受けられないとはどこにも書いてない。

 そうなると学校に通わせるために「義務教育」にした方がいいかもね。

 将来の人材確保のためには教育は必須だわ。


 でもまずは即戦力が期待できる女性の働き手を確保するために保育園の設立は必須項目ね。


「ねえ、クリス。保育園の設置なんだけどさ……」


 私は簡単に保育園の役割やそれによって得られる女性の働き手の確保の話を説明した。

 クリスは真剣に私の話を聞いてくれる。


「確かにアリサの言う通り、そうすれば多くの女性が働けますね」


「そうでしょう?」


「父上に話してみます」


「そうね。私からも進言してみるわ」


 働くお母さんたちは大変だ。

 もちろん保育園には有料で子供を預けてもらう。

 保育園の全ての財源を賄うとワイン伯爵領にとっても大変だからだ。


 使用料は安く設定するつもりだがそれでも支払うのが厳しい家庭には幾分かの助成金を支給した方がいいだろう。

 「保育園使用料券」みたいなのを作って使用料の一部を助成してあげるのだ。


 私たちは視察を終えて馬車に乗りワイン伯爵家に戻ることにした。


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