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第3話 美の基準が分かりません

 着替えの部屋に入ると私用の着替えが置いてある。

 私はその置いてある着替えを見てげんなりする。


 分かってはいたけどさあ。やっぱり伯爵なんて貴族の家だから着替えはドレスなのね。


 用意されていたのは若草色のフリフリのレースが使われたドレス。

 小説に出てくる貴族のよくあるコルセットとかはないから一人で着れるけどこの年齢でフリフリのドレスとか痛くない?

 でも夜着のまま伯爵に会うわけにはいかない。


 仕方ない、着るか。


 私は夜着を脱いでドレスに着替える。

 するとちょっとウエスト部分がキツイ。

 着れない訳じゃないが。


 私に合わせて作った訳じゃないから多少サイズが合わなくても仕方ないわよね。それにしてもまた太ったのかなあ。


 私は最近体重計に乗ってなかったことを思い出す。


 最近大好きなイチゴ大福食べてたからなあ。あのモチ大福屋のイチゴ大福は最高なのよね。

 待って! このままこの世界にいたらモチ大福屋のイチゴ大福は一生食べられないということ!? いやあああああああ!!


 私は心の中で気づいた事実に声にならない悲鳴を上げた。

 モチ大福屋のイチゴ大福は私の一番の好物で美紀と二人で食べた想い出たっぷりの品なのだ。

 それがもう食べられないとなると私は家族に会えないことよりも心にグサリとナイフが刺さったような痛みを覚える。


 うう、神様のバカああ!!


 イケメンがいたことにお礼を言われたりイチゴ大福を食べられないことで貶される神様も可哀想である。


 なんとかドレスを着て鏡を見る。

 思ったよりは酷くはないがやっぱり痛さを感じてしまうアリサだった。


 でも、これが普通なら諦めるしかないか。でも後で他の服がないかクリスに聞いてみようかな。


 そして私が着替えの部屋から出るとクリスが待っていた。


「お似合いですよ。アリサ。でもそれは母上の若い頃のドレスなんでお古ですみません」


「いえ、大丈夫よ。それより本当に似合ってる?」


「ええ。この国では黒い髪に黒い瞳の方はほとんどいないのでどうかとも思ったんですがアリサはどこかミステリアスな雰囲気がありますね」


 ミステリアス……それは褒め言葉なのかな。

 それにしても黒髪に黒い瞳は珍しいってことは初めて聞いたわね。

 この国の人はクリスみたいにキラキラの人が多いということかしら。

 銀髪の方が私的には衝撃なんだけどな……。


「じゃあ、両親が待っているのでリビングに行きましょう」


「分かったわ」


 クリスの両親ってどんな方かな。

 やっぱりイケメンの子供がいるだけあって綺麗な人たちなのかしら。


 私はクリスについてリビングに行く。

 クリスが扉を開けるとそこには男女が二人でソファに座っていたが私を見て立ち上がる。


「これは美しいお嬢さんだ。部屋に運んだ時も綺麗な顔をしている人だとは思ったけれどドレスを着ると美しさが際立つね」


 茶髪に青い瞳の男性が笑顔で私に声をかける。


 へ? 美しい? 私が?


 日本にいた頃は私を間違っても「美人」という人間はいなかった。

 まあ、「ブス」とも言われなかったけど。


 私は自分の職業同様に平凡な顔で友達と一緒に合コンに行っても相手に与える印象は薄くてうまくいったことはない。

 それともこの国の美人の基準は違うのかな。


 私は昔テレビでやっていた番組のことを思い出す。

 国によって美人の基準が違い、お尻が大きいのが美人とか、ふくよかなことが美人とかって国もあると。

 そして私は自分の身体をチラリと見る。


 お尻は大きいとは言えず胸も大きいとは言えない。

 う~ん、私のどこに「美人要素」があるのか分からないわ。


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