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ただの日本のヒラ公務員(事務職)だった私は異世界の最弱王国を立て直して最強経済大国にします  作者: 脇田朝洋


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第29話 伯爵に恩返しします

 ワイン伯爵を見送った後、私はクリスとリビングでお茶を飲んでいた。


 ああ、やっぱりイケメンの顔を見ながらお茶を飲めるって幸せだわ~


 美紀には昔から「イケメンかどうかで人を区別しちゃダメよ」とよく言われた。

 確かにイケメンが善人かと言われればそうでないことは知っている。

 でもイケメンもその人物が持っている財産の一部だと私は思っている。


「そうだ。クリス、知ってたら教えてもらいたいことがあるんだけど」


「はい。何ですか?」


「ワイン伯爵家の年収っていくら?」


「年収……ですか?」


「そう。領地経営するためのお金は別にしてワイン伯爵家で使えるお金の金額よ」


「そうですねえ……」


 クリスは何かを思い出すように考えてる。


 う~ん、考えてるイケメンもいいわ~


 いい加減美紀が側にいたら怒られそうなことを私は思いながらクリスの答えを待つ。


「以前に父上に聞いた話では約700万円ぐらいでしょうか」


 700万円かあ。

 村長の年収が100万円だから確かに伯爵家はそれより多い金額よね。


 でも国から土地の領主を任されてることを考えるとむしろ安いぐらいね。

 貧しくはないけど贅沢三昧できる金額ではない。


「伯爵家のお金って国からもらうの?」


「基本的にはそうです。あとは領主によっては自分で商売をして収入を得ている人もいます」


「どうすれば伯爵家のお金を増やすことができるの?」


「一番手っ取り早いのは領地を豊かにして税収を上げることです。そうすれば国にも多くの納税ができるので国からはその分多くお金がもらえます」


 なるほど。つまりワイン伯爵領が豊かになればこのワイン伯爵家の収入も増えるということか。

 ならばこのワイン伯爵領を豊かにしてワイン伯爵に恩返しがしたい。


 だって普通は身元も分からない娘を養女にするとかありえないのにワイン伯爵のおかげで私は今優雅にお茶を飲むことができる。

 この恩を返さなかったら人間として失格よね。


 私の頭の中に新人の頃によく食事を奢ってくれた女性の主任の顔が浮かんだ。

 新人の私が給料が安いのを知っていて昼食にいろんなお店で食べさせてくれた。


 いつか恩を返したいという話をしたらその主任は言った。

 「私に恩を返すことはないわ。もし貴女が公務員を続けて給料をたくさんもらえるようになったらその時に入って来た新人さんに私と同じことをしてあげなさい」と。


 ワイン伯爵は私より遥かに年上だが事務職としてのスキルは私の方が上だ。

 つまりワイン伯爵は命の恩人でもあり事務職としての新人とも言える。

 先輩としてワイン伯爵に恩を返すのは私を助けてくれた主任に恩を返すも同じ。


「実績報告書は保存分があるわよね?」


「はい。実績報告書は二部作って一つは国に出してもう一つは伯爵家で保存します」


「今回の実績報告書を見せてもらってもいい?」


「いいですよ」


 私はクリスと予算要求書を作る段階で過去の実績も見ていて心に引っかかった部分があったのだ。


 この領地には12の村がある。

 だけどある村だけどうみても農作物などの収穫量が少ないのだ。


 私の公務員としての勘が告げる。

 これは不正に数値を誤魔化しているのではないかと。


「各村の納税額って収入に応じた税金を徴収するのよね?」


「はい。収入が多ければ納める税金は多くなりますし、反対に収入が低ければ納める税金は少額になります」


 つまりはその制度を利用して収入を誤魔化した村があってもおかしくない。

 ワイン伯爵は村への立ち入り調査なんてしそうにないものね。


「実績報告書に何か不備がありましたか?」


「不備というかちょっと確かめたいことがあってね」


 私は不敵に笑みを浮かべる。

 公務員は税金を誤魔化す人間には厳しいのよ。


 そう、悪質な滞納者の財産を差し押さえたらその住民が税務課に殴り込んで来て「この悪魔!」って叫んでたこともあるぐらいにね。

 税金の誤魔化しをする者たちには税務課の職員は悪魔に見えるのでしょうよ。


「フフフッ」


「アリサ……なんか顔が怖いです」


 あら、いけない。

 スマイルを忘れちゃいけないわね。


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