表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

257/257

第257話 ロゼッタの離婚成立です


「ではアリサ。約束のハニー男爵とやらを今連れて来るから。おい、あの男を連れて来い!」


「はい、タイガー様」



 タイガーの命令に熊男が返事をしてどこかへ消える。



 おっと、そうだった。

 事の成り行きはタイガーにもブランたちにも話したから本題を片付けないとね。



 少し待っていると熊男がひとりの男性を連れてくる。

 姿の特徴からこの男性がハニー男爵だと分かった。


 ハニー男爵は私たちの前に連れて来られて熊男によって床に座らされる。

 目をキョロキョロさせて怯えているのか蒼ざめた顔で私やブランたちの顔を見た。



「こいつがハニー男爵だ。煮るなり焼くなりアリサの好きにしていいぞ」


「ひっ!」



 ハニー男爵がタイガーの言葉に震えあがる。



 ちょっと! たとえ自分の奥さんと子供を放り出してキャバクラ行って借金つくったクズ野郎でもそんな言い方したら可哀想じゃない。



「この男が騒動の原因か。アリサ、自分の手を汚すのが嫌なら私がこの男を切り捨ててやるぞ」


「ひいいっ!」



 ちょっと! ブランまで物騒なこと言うんじゃないわよ!

 ハニー男爵には離婚証明書にサインしてもらえればそれでいいんだから!



 タイガーにもブランたちにも睨まれてハニー男爵の顔はさらに蒼ざめる。

 このまま放置したらハニー男爵が恐怖で気を失いかねないので私はさっさと目的を遂げることにした。



「タイガーもブラン様も落ち着いてください。ハニー男爵には離婚証明書にサインをもらわないといけないので殺してはいけません」



 まあ、離婚証明書にサインしてくれて命させ奪わなければロゼッタを苦しめた罰は受けてほしいけどさ。



 私はハニー男爵にニコリと笑みを向ける。



「貴方がロゼッタの夫のハニー男爵で間違いないかしら?」


「ロ、ロゼッタ? は、はい、確かに私はハニー男爵でロゼッタは私の妻ですが……それが何か……?」



 ロゼッタに散々苦労させておいて「それが何か」なんてよく言えるもんだわ。

 やっぱりこの男とロゼッタは離婚するべきよ。



 私は持って来た離婚証明書の紙をハニー男爵に見せる。



「貴方にロゼッタと離婚して欲しいからこの離婚証明書にサインしてくれないかしら?」


「え! ロゼッタと離婚! そ、そんな、ロゼッタと離婚したら誰が私の面倒をみてくれるんですか!」



 ハニー男爵が必死な形相で叫ぶが私の心はその言葉を聞いて怒りの炎に包まれた。



 この男はどこまでクズ男なの?

 妻は夫の面倒をみる存在だけと思ってるんじゃないわよ!

 夫婦はお互いに助け合うから夫婦なんでしょうが!



「ロゼッタは貴方の面倒をみるための存在ではありません。自分の面倒は自分でみなさい。貴方といるとロゼッタは幸せになれないわ。だから離婚してちょうだい」


「い、いや、でも……」


「アリサが離婚しろと言ってるんだ。さっさと離婚証明書にサインしろ、ハニー男爵」


「ひっ! は、はいっ!」



 ブランが冷たく低い声で命令するとハニー男爵は身体を震わせて承諾の返事をした。

 超絶イケメンが凄むと迫力がダイナマイト並みになることは私も承知済みなのでハニー男爵がブランを怖がる気持ちは分かる。


 でも今は脅してでもハニー男爵のサインが欲しいのでそのことでブランに文句など言わない。

 テーブルの上に置かれた離婚証明書に震える手でハニー男爵がサインをした。



 ふう、これでロゼッタの離婚が認められるわね。離婚成立だわ。

 目的が達成できて良かった!



「これでロゼッタと貴方は他人ですからロゼッタにつきまとわないでくださいね? そんなことしたら私が許しませんから覚えておいてください」


「は、はい、そのようなことはしないと約束します……」



 離婚成立後の元夫につきまとわれる女性もいるので私はハニー男爵に釘を刺す。

 ハニー男爵は弱々しい声で私と約束を交わした。



「大丈夫だ、アリサ。この男はまだしばらく借金の返済のために俺のところで働かせる予定だから」


「ありがとうございます、タイガー。でも命を取ったりしないでくださいね?」


「ああ、アリサがそう願うならそのように扱うから安心しろ」



 しばらくタイガーのもとで強制労働させてこのハニー男爵の性根を叩き直して欲しいわね。

 命を取らないというなら後のことはタイガーに任せましょう。



「そうだともアリサ。もしこの男が自由の身になった後にアリサに迷惑をかけるようなら今度は私がこの男を処罰するから」


「そうそう、ブランの言う通りだよ。アリサに迷惑かけるなんて私たちだけの特権なんだから」


「そうだ。ゼランの言う通りだ」



 いや、私に迷惑かけるなら相手がブランでもゼランでもお断りなんだけど。

 っていうか自分たちが私に迷惑かけてるって自覚あったのか。



「……アリサ様に迷惑かけたら……殺す……」


「ひいいいいーっ!! あわわ……」



 最後にサタンがそう呟くと恐怖に耐えきれなかったのかハニー男爵はその場で泡を吹き気絶して倒れた。



 う~ん、やっぱり悪魔の言葉が最高に恐怖を感じるわよね。

 悪魔に地獄に落とされたくなかったらハニー男爵も約束守りなさいよ!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ