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第250話 マフィアのボスの登場です

 店の中は日本のお店とあまり変わらない様子。

 大きなソファが置いてありお客と思われる男性たちとド派手な衣装と化粧をしたキャバ嬢たちがお酒を飲んでいる。


 私の赤いドレスも派手だと思ったが他のキャバ嬢には負けるわね。

 なんか悔しいわ。


 基本的に私は負けることが嫌いなのだ。

 仕事では妥協することも大切だから自分の意見を必ずしも押し通すことはしない。


 公務員の仕事はある意味どれだけ良い「妥協案」を示せるかも大事なのだ。

 全ての人たちが納得できる事業など無いと言ってもいい。


 その中で行政側も住民側もある程度納得できる妥協案を示し事業を進めていく調整能力が公務員には必要不可欠とされる。

 もちろん法律に違反することなどは妥協できないのだが。


 店内を見まわすとひとつの席だけキャバ嬢がたくさんいる席があった。

 そこに座っているお客は短い刈り上げた金髪の熊のような大男。


 あれがもしかして支配人の言っていた猛獣のタイガーかしら。

 虎というより熊ね。この世界の神様はネーミングセンスないけどセンスだけじゃなくてミスもするのかしら。


 まあ、でも虎も熊も危ない猛獣に違いないわね。

 マフィアのボスなんだし気を付けないと。


 ロゼッタの旦那を見つけるために猛獣狩りすることを決めた私だが自分の命は惜しい。

 できるなら猛獣の相手はしたくないのが本音。


 ダメダメ、弱気になったら負けるわ。

 猛獣は弱っている獲物に襲いかかってくるものだって誰か言ってなかったっけ。

 

「ああ、リサ。準備はできたかい?」


「あ、支配人さん。ええ、準備はできましたわ」


「やはりリサは美人だな。さっそくタイガー様の席についておくれ」


「えっと、タイガー様の席ってあそこですよね?」


 熊の大男がいる席を小さく指で示すと支配人は僅かに頷いた。


「そうさ。タイガー様は気性の荒い御方だから怒らせることだけはしないでくれよ。タイガー様を怒らせて行方不明になった奴は数知れずなんだからな」


 タイガーを怒らせた者は行方不明って殺されたってこと?

 でもそれなら行方不明って言わずに殺されたって言いそうよね。


 ということはどこかに連れ去られたってことなのかな。

 あ、そう考えたらロゼッタの旦那が行方不明ってもしかしてタイガーを怒らせてどこかに連れ去られたってことかも。


 もしそうならやっぱり猛獣狩りするしかないわね。

 いざ、出陣!


 私は気合いを入れてタイガーのいる席に近付く。

 席に近付いた私にタイガーが気付き視線を私に向けた。

 近くで見て分かったことだがタイガーの瞳は金色のようだ。


 うわ! 金色の瞳なんて初めてだわ。

 ちょっとだけ異世界感が増したかも。


 サタンの銀の瞳もとても綺麗で自分の世界にいた時は見たことがなかったから異世界感を感じたものだがタイガーの金の瞳も異世界ならではな気がする。


 ようやくこの世界も異世界ファンタジーに近付いてきたじゃない。

 こういうのを私は求めていたのよ!


 しかし金色の瞳は珍しいが身体が熊男な上に顔がイケメンじゃない。

 イケメン好きな私としては残念でならない。


 ここはイケメンの設定にしておいた方がこの物語の女性ファンが喜ぶんじゃないの?

 そこんとこ考えるのが大事よ、神様。






 イケメンが出てきて喜ぶのはお前だろ






「すみません。今日から入った新人のリサと申します。よろしくお願いします!」


 窓口スマイルを顔に張り付け私は愛想よくタイガーに挨拶する。


 まずは正面から戦うより相手の懐に飛び込む作戦よ。


「へぇ、この店にこんな美人な女がいたとはな」


 その言葉は目の前に座っているタイガーではなく私の後ろから聞こえた。

 私が振り向くとそこにはクリスぐらいの少年が立っている。


 タイガーと同じ金髪に金の瞳だがタイガーと違うところはこちらはイケメンの美少年だということだ。


 まあ、こんなところでイケメン美少年に会えるなんて今日はラッキーだわ!

 ん? でもなんでこんなお店にまだ少年の子供がいるの?


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