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第235話 合い言葉が必要です

 私は総務事務省に戻り勤務時間終了まで働いた。

 そして勤務時間が終了して首席総務事務官室を出るとイリナに話しかける。


「イリナ。悪いんだけど先にホシツキ宮殿に戻ってセーラに夕飯は少し遅くていいって伝えてくれる?」


「分かりました!姐さん」


 イリナはホシツキ宮殿の方に小走りで向かって行く。


 これでイリナを遠ざけることはできたわね。


 サタンは口が堅いので問題ないがイリナにエディを探していることがバレると何かの時にイリナの口からブランやゼランにエディのことがバレかねない。


 護衛に気を遣う主人ってなんか変な感じもするけど仕方ないわね。


 まだイリナは見習い護衛騎士だからこれから護衛騎士としての心得をゆっくり教えてあげればいいだろう。

 無理してサタンの護衛レベルまでのことをイリナに求めたりはできない。


「ねえ、サタン。特殊部隊棟に寄りたいんだけど場所は分かる?」


 ブランたちから奥宮の近くに特殊部隊棟があるとは聞いたが詳しい場所が分からない。

 以前もらった王宮の地図にも特殊部隊棟の名前の場所はなかった。


 まあ、考えてみれば特殊部隊というぐらいなのだから秘密の任務もあったりするだろうしそれに関する資料などがあるだろうからすぐ分かるようにはなっていないのだろう。


「……はい……ご案内します……」


 サタンは私を先導するように歩き始める。

 私はサタンの後をついて行った。


 するとホシツキ宮殿より少し手前の建物の所でサタンが足を止める。


「……ここがそうです……」


「ここ?」


 私の目の前には扉があるが門番のような兵士はいない。


 勝手に入っていいのかな?

 一応、ノックした方がいいわよね。


 私は扉をノックしてみた。

 すると中から声が聞こえた。


「入室許可の合い言葉を確認します」


「え?」


 合い言葉? 合い言葉が必要なの?


 ブランたちからは特殊部隊棟に入るのに合い言葉が必要なんて聞いてなかったから私は焦る。


「この国で一番守るべき御方は?」


 扉の中の人物が問いかけてくる。


 この国で一番守るべき御方?

 普通なら国王であるブラウン国王かな。

 でももしかしたら何か別の意味があるのかもしれない。


 う~ん、どうしよう。

 ここで合い言葉を間違えたら入れてもらえないわよね。


 ブランやゼランに合い言葉を聞いてから出直そうかな。

 でもなるべくならあの二人にはエディ探しはバレたくないのよね。


 私が悩んでいるとサタンが私に声をかけてきた。


「……アリサ様……私が答えましょうか?……」


「え? サタンは合い言葉を知ってるの?」


「……はい……」


「それならお願いするわ。サタン」


 サタンが合い言葉を知ってるならここはサタンに任せた方がいいだろう。


「この国で一番守るべき御方は?」


「……アリサ・ホシツキ・ロゼ・ワイン様……」


 へ? 今なんて言ったの?

 私がこの国で一番守るべき人間ですって!?


 その後も扉の向こうから質問が聞こえる。


「この国で一番美しい御方は?」


「……アリサ・ホシツキ・ロゼ・ワイン様……」


 はあ!? 私がこの国で一番美しい!?


「この国で一番怖い御方は?」


「……アリサ・ホシツキ・ロゼ・ワイン様……」


「合い言葉を確認しました。どうぞ」


 その言葉と同時に扉が開いた。


 ちょっと、待ちなさいよ!

 何なのよ! その合い言葉は!

 しかも守るべき御方と美しい御方が私なのは百歩譲っていいとしても最後の「この国で一番怖い御方」がなんで私なのよ!


 だが私はこの合い言葉を考えた人物に心当たりを感じた。


「サタン! この合い言葉ってずっと昔からこの言葉ではないわよね?」


「……はい……以前は違う言葉でした……」


「今の合い言葉を考えたのは誰?」


「……ブラント王太子とゼラント王子です……」


 やっぱりあのモンスター王子たちね!

 私をなんだと思ってるのよ!


 私がこの国で一番怖い人間だって言うならいつか本当に怖い思いさせてやるわよ! 覚悟してなさい!!


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