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第230話 敵モンスターを撃退しました

 私は溜息交じりにグリーン王妃と別れて自分のホシツキ宮殿へと向かう。


 はあ、首席事務官の仕事だけでも大変なのにブランの婚約者としての勉強もしないとなんてけっこうハードよね。

 でも首席総務事務官として働いてこの国に真の平和をもたらしたいと思ったのは自分だもんね。


 あまり文句は言えないわ。

 やれるだけやってみよう!


 最初から何もせずに文句ばかり言うことは私は好きではない。

 自分が最大限に努力しても実現できないなら諦めるけど努力せずに最初から諦めていては何も人生は変わらない。


 たとえ異世界転移したって今の私が私であることに変わりはない。

 元の世界に戻れなくても私の人生はここで続いていくのだから私は悔いのない人生を送りたい。


 もう二度と本当の家族と会えなくてももう二度とイチゴ大福を食べられなくても私は自分のやりたいことをして自分の「幸せ」を見つけてみせるわ。


 そう。この国で出会った人たちが幸せになることは私が幸せになることでもあるのだから。


 頭を切り替えて明日からの闘いに向けて私は自分に気合いを入れる。


 アリサ。あなたならできるわよ。

 歩むことを忘れたらそこで終わり。

 ゆっくりでいいから歩き続ければゴールに辿り着けるわ。


 気合い十分で奥宮の出入り口から出ようとしたところでさっそく私はこの奥宮に住む敵モンスターに遭遇した。


「ちょっと! 待ちなさいよ!」


 私の前に現れた敵モンスターは紫の瞳をらんらんと光らせて私を睨みつける。


 そうね。このキャサリンが私をブランの婚約者として素直に受け入れるわけないわね。


「これはキャサリン様。いかがいたしましたか?」


 キャサリンが私を怒って引き留めた理由なんて分かり切ったことだけど私は冷静にキャサリンに一礼をしてからキャサリンの紫の瞳を見つめる。


 敵と戦う時は相手から視線を外してはいけないわね。


 キャサリンが攻撃に出る。


「あなたがブランと婚約したって聞いたけど、本当なの!?」


「はい。まだ表向きのお披露目はしませんが私がブラント王太子殿下と婚約したのは本当です」


 私は努めて冷静に答える。


「どうせあなたがブランを騙したんでしょ! 王太子を騙すなんて処刑されても文句は言えないわよ!」


 キャサリンはさらにヒートアップする。

 今度は私から攻撃を仕掛ける。


「確かに私がブラント王太子殿下を騙していたら処刑も免れないでしょう。しかしキャサリン様はブラント王太子殿下が私ごときに騙される程度の人間であると思われますか?」


「なっ!?」


 私の言葉にキャサリンは言葉を詰まらせた。


「このダイアモンド王国の王太子で在られるブラント様が私のような小娘に騙されるとキャサリン様は本気で思っていらっしゃるのですか?」


「っ!」


 キャサリンは悔しそうに唇を噛み締める。


 もしキャサリンがこれ以上私にブランが騙されたと言うのならこの国の王太子は女一人に騙されるぐらいの人物だとキャサリンは言うことになる。


 それは私ではなくブランを侮辱したと取られても仕方ない。

 ブランを貶めることはそのブランと同じ王族のキャサリン自身も貶めることになるのだ。


 私はニコリと笑みを浮かべる。


「このダイアモンド王国の次期国王になられる方がそんな愚かな行為をするでしょうか?」


「そ、それは…で、でも……」


 怯んだキャサリンに私は最後の伝家の宝刀を抜く。


「もし愚かな行為をしていると思われるなら私ではなくブラント王太子殿下に進言してみてはいかがでしょうか?」


 つまり私はキャサリンに文句があるならブランの方に言いなさいよと言ってやった。


 まあ、あのモンスター王子のブランがキャサリンと戦っても負けるはずがないけどね。


「それにここで騒いでは何かと問題になるのではないですか?ここは王族の皆様が住んでおられる奥宮ですからどこで誰がキャサリン様の言動を聞いてるか分かりませんし」


「くっ!」


 王族のキャサリンでも王太子を侮辱すれば侮辱罪に問われる可能性はある。

 身分制度とはそういうものだ。


 顔を真っ赤にしてキャサリンは奥宮の王族宮殿の方に行ってしまった。


 ふう、とりあえず敵モンスターを追い払うことはできたわね。

 でもあのキャサリンのことだから今度は何か別の武器で攻撃してきそうね。


 油断大敵だわ。

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