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第228話 食事がしょっぱい理由が分かりました

「イリナは何か欲しい本はあったの?」


「あ、はい! これです!」


 イリナが私に見せてくれたのは『最強の剣士になる方法』という本だ。


 最強の剣士になる方法ねえ。

 まあ、イリナは私の護衛をするのを生きがいにしてるみたいだからイリナらしい本だとも言えるけど。


「イリナは最強の剣士になりたいの?」


「はい! 姐さ…アリサ様を護るためにはサタンさんのようにならないとですから!」


 イリナは笑顔で答える。


 確かにサタンの剣術はすごいけどサタンの真似をしてたらイリナの身体が持たないだろう。

 そのためにイリナには「命令」と言って休息や食事をちゃんと取るように私は配慮しているつもりだ。


 なんだかんだ言ってもイリナはまだ14歳なのだから。

 過度な身体への負担をかけさせてはいけない。


「イリナ。別にサタンと同じようになる必要はないわよ。前にも言ったけどイリナにはイリナにしかできない役割があるんだから」


「はい! それは分かってます! でも護衛には剣術の技術は必要ですから」


 それもそうね。イリナは私の護衛である以上、危険なことに巻き込まれる可能性もあるし。

 その時にイリナ自身が自分を護るぐらいの腕前がないと逆に危険かもしれないわ。


「じゃあ、その本を買って少し街を歩きましょう」


「はい! アリサ様!」


 私も一応何かの参考になるかもしれないと先ほどのジパング大陸の本を買った。


 そして私たちは街を歩いてみる。

 するとあるお店から甘い匂いがした。

 何のお店か見てみるとどうやら紅茶やケーキが食べられるカフェのようなお店だ。


「ねえ、ここに入ってケーキを食べながらおしゃべりしない? イリナ」


「はい! 喜んで!」


 女友達とカフェでおしゃべりなんて元の世界のようだわ。


 お店に入ると店員さんがテーブルに案内してくれた。


「何を食べようかな。イリナは何がいい?」


「えっと、甘い物なら何でもいいです!甘い物は好きなんですけど自分の国にいた時には滅多に甘い物は食べられなかったので」


「え? ケーキとかはあまり食べなかったの?」


 イリナの家はケーキを買うお金がなかったのだろうか。


「はい! サファイヤ王国ではケーキやお菓子に使う砂糖は高級品なんです。なので王族や貴族もなかなか普段からケーキなどは食べられません」


「へえ、王族や貴族もケーキがあまり食べられないなんて意外ね」


「私も姐さ…アリサ様の護衛になってから食事に甘いデザートが付くのでとっても嬉しく思ってます!」


 イリナは満面の笑みを浮かべて嬉しそうだ。


 なるほど、サファイヤ王国は砂糖が貴重なのか。

 イリナの家が貧し過ぎてケーキが買えないってわけじゃないのね。


 もう少しサファイヤ王国のことを聞いてみようかな。

 敵を倒すにはまず敵を知ることが大事だもんね。


「ねえ、イリナの家ってサファイヤ王国のどの辺にあるんだったっけ?」


「私の家はサファイヤ王国の王都にあります。海に面してるので魚とかは新鮮な物が食べられるんですけど」


「サファイヤ王国の王都って海の側なの?」


「はい! だからダイアモンド王国からは陸路よりも海路を使って行った方が早くサファイヤ王国の王都に着けます!」


 海の側に王都があるのね。

 だから新鮮な魚は食べられるのか。


 そういえばこのダイアモンド王国に来てから私はまだ「魚の刺身」とかは食べていないわね。

 なんか美紀と食べに行った海鮮のお店のおいしかった魚のお刺身を思い出してきたわ。


「私は逆に新鮮な魚が食べれるサファイヤ王国の食事を食べたいわね」


「そうですか? 他の国の人がサファイヤ王国の王都に来ると食事がしょっぱいってよく言われたんですけど。アリサ様は食事がしょっぱくても大丈夫ですか?」


 ん? 食事がしょっぱい?

 それって以前サタンにサファイヤ王国の特徴を聞いた時にサタンが言ってたことよね。

 そうか!サファイヤ王国の王都は海に面してるから味付けが塩辛くなりやすいのね。


「ええ。ある程度は大丈夫よ。でもそうするとサファイヤ王国には「塩」はたくさんあるの?」


「はい! 塩なら腐るほどあります!」


 塩ってあんまり腐るイメージはないけどこれはサファイヤ王国と交渉する時に何かのヒントになりそうね。


「とりあえず今日は甘いケーキをイリナもたくさん食べてね」


「はい! ありがとうございます! 姐さ…アリサ様!」


 イリナはどのケーキにしようかメニュー表を見ながら考えている。


「サタン。あなたも好きなケーキを食べていいわよ」


「……いえ……私のことはお気になさらず……」


「そうはいかないわよ。お店に入って何も注文しないのはダメよ。サタンもちゃんと注文してちょうだい。さあ、このメニュー表から選んで」


 私はサタンにメニュー表を見せる。


「……分かりました……では私はこれを……」


 サタンが選んだのはカットされたケーキではなくお祝い用とかのためのホールケーキだ。


「え? これってかなり量があると思うけど大丈夫?」


「……はい……甘い物は好きなので……」


 へえ、サタンは甘い物が好きなのか。

 私も人のことは言えないぐらい甘い物は好きだけどさ。

 甘い物は悪魔も魅了するってことかな。

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