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第225話 イリナに特別任務を与えます

 クリスと誕生日パーティの打ち合わせが終わって私はホシツキ宮殿に戻る。


 そういえば明日は仕事が休みだけど特に何も用事がないわね。

 ブランとゼランからも何の連絡もないし。

 何をして過ごそうかな。


 私はそう思いながらホシツキ宮殿の自分の部屋に辿り着く。


「姐さん。今日はこれでもうご用事は終わりですか?」


 サタンと一緒に護衛のため私がクリスの部屋に行く時にもついて来ていたイリナがそう言った。


「ええ。今日はホシツキ宮殿から出ることはないからイリナも休んでいいわよ」


「分かりました。明日のご予定は?」


「う~ん。明日の予定はまだ決めてないけど……」


 そこまで言って私は気が付く。


 イリナが護衛になってからまともにイリナに休暇を与えていないわよね。

 サタンは休んでいいって言っても絶対に私の護衛を休むことはしないから既に諦めているけどイリナにはちゃんとした休みをあげたい。


「イリナ。明日はイリナも休んでいいわよ」


「え? 休みですか?」


「ええ。だって私の護衛をしてから自分の休みを取ったことないでしょ? イリナにもやりたいことあるでしょ?」


「いえ! 私は姐さんの護衛がやりたいことです! 私はもう護衛として用済みですか? 姐さん!」


 イリナは悲しそうな顔をする。


 いやいや、別にそうじゃないって。

 ただイリナにも休暇を取って欲しいだけだって。

 何でそんな極論に走るのよ。


「そうじゃないわよ、イリナ。ただイリナに護衛の仕事を休んで自分の好きなことをしてもらいたいだけよ」


「私の好きなことは姐さんと一緒にいることです!」


 イリナは拳を握って断言する。


 う~ん、これってまさに部下に慕われる「姐さん」のようね。

 イリナの気持ちも分かるけどイリナにも休日を満喫してもらいたいんだけどな。


 そこで私は思いつく。


「イリナは外国から来たのよね?この王都の中のことは知ってる?」


「王都ですか? いえ、あまり知りません。王都に辿り着いた時にはお腹が空いてて姐さんと出会った場所で座り込んでしまったので」


「じゃあ、イリナはほとんど王都のこと知らないの?」


「はい。あ、でも姐さんの護衛で行った場所なら分かりますが」


 なるほど。じゃあ、この作戦で行くか。


「じゃあ、イリナには護衛以外に特別任務を与えるわ」


「特別任務ですか? はい、姐さんの命令なら何でも従います」


 イリナは嬉しそうに答える。


「特別任務の内容は私の「友達」になることよ」


「え? 姐さんの友達ですか?」


「そうよ。役所が休みの時は私の「友達」として私と過ごすことよ」


「姐さんと友達ですか……」


 イリナはかなり戸惑った様子だ。


 イリナに休みを与えても私の側にいたいと言うなら「護衛」ではなく「友達」としていればイリナにも護衛の時にはできないことをさせてあげられる。

 休日に友達と遊ぶなんて私もこの世界に来てからやっていないことだ。


 元の世界では美紀がいたから休日にはよく遊んだけどさ。 

 だからイリナが私の友達になって一緒に遊んでくれれば私にとっても嬉しいことよね。


「イリナが私と「友達」になりたくないならこの「特別任務」は取り消すけど……」


「いえ! ぜひ姐さんの友達になりたいです!役所が休みの時は姐さんの「友達」として姐さんと一緒にいます!」


「そう。なら友達の時は私のことは「姐さん」じゃなくて名前を呼んでね」


「分かりました! 姐さん!」


 う~ん、本当に大丈夫かなあ。

 でも私も一緒におしゃべりができるような友達が欲しかったもんね。

 「特別任務」なんて言っちゃったけどイリナにはそう言わないと納得しそうにないもんね。


「じゃあ、とりあえず明日は私の友達として一緒に王都にお出かけしましょ? イリナ」


「はい! 姐さん!」


 イリナは元気よく返事をした。


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