第223話 人に恵まれることは幸せです
とりあえず「学校」で習う内容は分かったけどこの内容では事務員みたいな事務をする人は確保できるけど私が考えてるようないろんな職業の技術を身に着けられるというわけにはいかない。
この「オタク」の授業のテーマによっては若干専門的知識や技術を身に着けられるかもしれないがそれだけでは不十分だろう。
「あの、スタディ先生。この「学校」ではいろんな職業で使うような技術力をつける授業とかありますか?」
「職業で使うような技術ですか。そうですねえ、それなら「学校」というより「大学」の「技術学問」を選択すれば多少の技術を身に着けられますよ」
「技術学問ですか? それは「大学」に行くと習う教科ですか?」
先ほど見せてもらった「大学」の教科書ではそんな専門的な技術のような内容は書いてなかった気がするんだけどな。
「大学に行った全ての者が習うわけではありません。大学は三年生から「普通学問」と「技術学問」に分かれるんです」
「三年生になると「普通学問」と「技術学問」か選択することになるってことですか?」
「ええ、そうです。ここにある大学の三年生の教科書は私が習った「普通学問」の物です。内容は大学の二年生までの勉強を応用したような内容に近いですが「技術学問」は専門的な職業に近い勉強内容になります」
「ちなみに「技術学問」で習う専門的な職業ってどういうものがあるんですか?」
「代表的なものは医者になるための技術とかですかねえ」
う~ん、それって「普通学問」が普通の基本的な勉強内容で「技術学問」は日本でいう「医学部」とかそういうものってことか。
確かに医者になるのには「言語」とか「算数」とか以外にも知識や技術が必要だもんね。
「まあ、より詳しく知りたければ一度「大学」にも視察に行かれた方が良いと思いますが」
スタディ先生はそう私に勧めてくれる。
そうね。「大学」にも一度視察に行った方がいいわね。
百聞は一見に如かずってことがあるし。
「職業専門学校」ではその「大学」で習っていることを教えても仕方ないもんね。
「そうですね。今度「大学」にも視察に行くことにします。今日は忙しいところありがとうございました」
「いえ、何かあったらいつでも来てください。ご協力します」
私はスタディ先生にお礼を言って帰ることにした。
帰りの馬車の中で私は考える。
「学校」を卒業すればとりあえず中学卒業レベルの知識は得られる。
そして「大学」に行けば高校や大学レベルの知識は得られることは分かった。
できればみんなが「大学」まで行って卒業できれば一番いいけどお金もかかるしこの国では12歳で大人扱いだから12歳から働くことが普通だろう。
ということは「大学」に通うのは日本とはかなり違う感覚になるってことだ。
日本でも働きながら大学に行く人はいるけどそれはとても大変なことだと以前知り合いから聞いた。
それはこのダイアモンド王国でも同じだろうし働かずに「大学」に通える人が少ないのは当たり前かもしれないわね。
やっぱり「大学」よりは手軽に行ける「職業専門学校」を作った方がこの国では役立つ可能性は高い。
とりあえず、また日を改めて今度は「大学」に行ってみよう。
「ギーク。「大学」には知り合いとかいる?」
「それなら僕の兄の一人が「大学」で働いてるけど」
「え? ギークのお兄さんって大学の先生なの?」
「うん。二番目の兄が大学の先生だよ」
なんて便利なギークの一ダース兄妹なの!
それなら今度はそのお兄さんに「大学」の話が聞けるわね。
「そのお兄さんに「大学」の視察に協力してもらえたりする?」
「う~ん、連絡してみないと分からないけど、アリサが望むなら連絡してみるよ」
「ありがとう! ギーク。それと今日は「学校」の視察に協力してくれてありがとう」
「別にいいさ。アリサのことは気に入ってるからね。これぐらいの協力ならいつでもするよ」
ギークはそう言ってニコリと笑う。
私ってなんだかんだ言ってもこのダイアモンド王国に来て周囲の人に助けられてるなあ。
どこの誰かも分からない私を養女にしてくれたワイン伯爵には感謝だしその後に出会って私に協力してくれた人はたくさんいる。
そりゃあ、宰相とかパープル殿下とか敵もいるけど基本的に私は「人に恵まれた」幸せな人間よね。
神様、ありがとうございます。
いえいえそれほどでも
私とギークは王宮へと戻った。
あ、そうだ。クリスに私が一人二役になること話しておかないとよね。
私とクリスの誕生日パーティの準備がどれくらい進んだかも確認しないとだしやること多いなあ。
こういう時こそ「イチゴ大福」を食べて疲労回復したいわ。
イチゴ大福ちゃん。あなたは何処におられるのですか。
あなたに再び会えることを心待ちにしています。くすん(泣)