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第221話 クリスと学歴が一緒です

 五年生用の教科書には私が中学生で習った内容が書いてあった。


 ちょっと待って! この国は五年生で中学生レベルの勉強をしているの?


「どうかした? アリサ」


「ギーク。この国の五年生って基本的に10歳よね?」


「そんなの当たり前じゃん。満6歳になる年が一年生で満12歳になる年が七年生なんだからさ」


 ギークは当たり前のようにそう言った。


 そうよね。ということはこのダイアモンド王国では12歳までに日本の中学生レベルの勉強まで修了するのかな。


 私は次の六年生用と七年生用も見てみる。

 やはり内容は中学生レベルだ。


 なるほど。「学校」に通えば中学生レベルの知識が身につくなら子供の「義務教育」の制度を考えた時には「学校」を卒業することを対象にすればいいのか。


「この五年生から七年生の内容って他の学校でも同じよね?」


「ん? そうだよ。国の中ではみんな同じ教科書を使っているからね」


 そこで私はふとクリスたち貴族が家庭教師に勉学を習っていることを思い出す。


「ねえ、ギーク。貴族の子供が家庭教師に習う内容もこれぐらいのレベルなの?」


「いや、違うよ。僕も男爵家に養子になってから少しの間家庭教師に教えられたけど、その時に教わった内容はこの国の「大学」の二年生までのレベルぐらいだったよ」


 え? この国の「大学」の二年生レベル?

 七年生までで中学生の内容ならこの国の「大学」の二年生は日本の高校生レベルなのだろうか。


「大学の教科書ってここにはないわよね?」


「ああ、それなら「大学」の教科書は私の私物があるのでお見せしましょうか?」


 そう言ったのはスタディ先生だ。


「あるなら見せてもらえますか?」


「いいですよ」


 スタディ先生は校長室にある本棚に行き本を取り出す。

 そして私にその教科書を見せてくれた。


「これが大学の一年生と二年生の教科書。こっちが三年生と四年生です」


 私は大学の一年生と二年生の教科書を見て確信する。


 やっぱり私が高校で習ったぐらいのレベルだわ。

 そうなるとクリスのような貴族の子供は12歳までに高卒レベルの知識が身についているってことか。

 私も高卒だからクリスは私と同じ学歴ってことね。


 ハハ、それならクリスが文官として働けているのにも納得だわ。


 そして一応、私は大学の三年生と四年生用の内容を見るがそれは高卒の私が習ったことがないレベルの内容だ。

 以前大学は4年行くのが普通って聞いたから「大学」では二年生までに高校生レベルの内容を習い、三年生と四年生で大学レベルの勉強をするのか。

 

 くっ! このダイアモンド王国の勉学レベルを侮っていたわ!

 これってかなりの英才教育になるんじゃない!?


 そして私はもう一度「学校」の教科書を見ながらふと疑問に思う。

 

 この教科書って私が習ったような教科の数より少ないような。


「あのスタディ先生。「学校」で教えている教科ってどんな種類がありますか?」


「教科ですか? えっと、「言語」「算数」「歴史」「オタク」ですよ」


 え? 教科にも「オタク」があるの?


 私はギークの顔を見る。

 ギークが首席事務官をやっているのは「オタク事務省」だ。

 だから「オタク」という教科があっても不思議ではないけど「オタク」の授業って何をするんだろ?


 みんなで漫画本読むとか?

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