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第215話 1ダース兄妹です

 グリーン王妃からは最後に「だからブラントとゼラントには妃はなるべくなら一人にして欲しいのよ」という言葉をもらって王妃との夕食は終わった。


 まあ、グリーン王妃の心配は分かるわね。

 妃が多ければ多いほど後継者問題は勃発しやすくなるし。

 たとえ年長の男子が後を継ぐって決まってても自分の子供を国王にしたいっていう欲望は母親なら持っても仕方ないわよね。


 今のブラウン国王にはグリーン王妃の産んだブランとゼランがいるから王妃同士の争いにはならないわよね。

 う~ん、ブラウン国王って自分の経験もあったから妃はグリーン王妃しか娶らなかったのかな。


 でもブランとゼランは双子で正式には二人とも王位継承順位は同じ第一位なのよね。

 ということはゼランが「国王になりたい」って思ったら今度は違う王位継承問題が起きる可能性もあるってこと?


 私はそこまで考えて首を振った。


 あのゼランがブランを差し置いて国王になりたいなんて言い出すとは思えないわね。

 だってもしそんなことを思ってたらとっくにブランとゼランは不仲になっててもおかしくないもの。

 それにゼランが命を張ってまでブランの身代わりになることをするわけないもんね。


 ブランとゼランは私を巡って争う(主にじゃんけんで勝負は決まるけど)ことはあるけどそれ以外では二人は固い絆で結ばれているのは身近にいれば分かることだ。


 でもブランとゼランのどちらかが国王になってその跡継ぎが私が産むことになると考えると王位継承問題も他人事とは言ってられないわ。


 これって普通の恋愛系の小説なら二人の超絶イケメン王子に求婚されてどっちにするか悩む「姫」の「贅沢な悩み」ってところよねえ。

 マジで悩むわあ。 






 いつからお前は「姫」になった






 まあ、今はこの国をどうにかすることが先だしブランとゼランのことは追々考えればいいわね。


 そう思って私は就寝した。




 次の朝、総務事務省に出勤しようと中央宮殿までやって来るとなぜかギークに出会った。


 あれ?ギークの職場って東中央宮殿のオタク事務省なのになんでこんな朝早くに中央宮殿にいるんだろう。


「ギーク」


 私はギークに声をかけた。


「あ、アリサ。おはよう」


「おはよう。ギーク。こんなに朝早くに中央宮殿に何か用事なの?」


「ああ、僕の一番上の兄貴が経済事務省の入札の案件でやって来るって聞いたからちょっと兄貴に実家の様子を聞こうと思ってさ」


 ん?ギークのお兄さんが経済事務省の入札で中央宮殿に用事で来たの?

 あれ?ギークって確か男爵家の人間だって聞いてたけどギークの男爵家は何か商売してるってことかしら。


「ギークの実家の男爵家って何か商売をしてるの?」


「ん? 違うよ。男爵家じゃなくて僕の実家の方が商人なんだ」


「は? 実家が商人?」


「ああ、そうか。アリサは知らないのか。僕は男爵家に養子で入った人間で僕は元々は平民だよ」


 え? ギークって男爵家の養子だったの?


「ギークって養子だったの?」


「そうだよ。僕の生家は商会をやっていて僕はそこの11番目の息子だったのさ」


「じゅ、11番目!?」


「うん。僕の上に10人の兄貴がいて下に妹がいる」


「じゃあ、全部で12人兄妹ってこと!?」


「ああ、そうだよ」


 12人兄妹ってすごくない!?

 兄妹が1ダースってことでしょ!?


「ギークってそんなに兄妹がいたの?」


「まあね。僕の本当の両親が「娘が欲しい」って頑張った結果12人兄妹になったわけ」


 確かに世の中には「息子が欲しい」「娘が欲しい」って子供をたくさん産む人がいないわけじゃないけどよくそこまで産んだわね。


「あれ?今、妹がいるって言ったわよね?じゃあ、ギークの両親は願いが叶ったってこと?」


「まあ、結果的には最後に娘が産まれたから親の粘り勝ちってことかな」


 粘り勝ちって言葉もどうかと思うけど念願の娘を授かったんなら良かったってことかな。


 ん?ってことはギークは元は平民ってことよね。


「ギークって平民だって言ってたけどいつ男爵家に養子に入ったの?」


「え? 大人になってからだけど」


「じゃあ、ギークは王都の「学校」で勉強してたことある?」


「もちろん。学校には行ってたよ」


 やった!身近な人間で私に臆せずものが言えて「学校」に通ったことのある人物を見つけたわ!

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